還付申告は、納め過ぎた税金を戻してもらうために行う手続きです。
税金が還付されるのは嬉しいですが、申告手続きをしたことで損をしてしまうケースもありますのでご注意ください。
還付金が少ないと申告手続きの費用対効果は低くなる
還付申告は納税者本人が手続きをしなければならないため、申告書を作成する作業が発生します。
申告書の内容が簡潔であったとしても、はじめて申告書を作成する場合には時間がかかりますし、還付金が少額だった場合、申告手続きする労力(費用)の方が高くなることもある点は理解してください。
たとえば会社員が医療費控除を適用する場合、会社から交付される源泉徴収票と医療費の領収書を用意して、申告書を作成することになります。
計算ミスがあれば申告書を再作成しなければなりませんし、パソコンでe-Tax申告をするのであれば、マイナンバーとマイナンバーを読み込む機器(ICリーダライタ)が必要です。
・ 申告書作成
・ 計算ミスで再作成
・ マイナンバーとマイナンバーを読み込む機器(ICリーダライタ)が必要
税務署に行く交通費・郵便代は意外と高くなる
還付金が数千円あれば、交通費や郵便代を差し引いても手元に残るお金は多くなりますが、一連の申告手続きの労力に見合った還付金が得られるかは別問題です。
e-Taxは税務署に行かずに申告書を提出できますが、書面で作成した申告書については税務署窓口に持参、または郵送で提出することになります。
所得税の確定申告書の提出先は、住んでいる場所を管轄している税務署です。
東京都など、都心部に住んでいる方は比較的近くに管轄税務署がありますが、それ以外の地域の税務署は複数の市町村を管轄としていますので、住んでいる場所によっては税務署へ行く交通費が高くなります。
確定申告期間は来署者が激増する関係で、駐車場が利用できない税務署もあるので、車で行く予定の方は事前に確認してください。
確定申告書は普通郵便で送ることも可能ですが、確実に届いたことを確認したい場合には、簡易書留などで郵送する必要があります。
申告書の控えを一緒に郵送したとしても、返信用封筒を同封しないと税務署は返送してくれませんので、返信用封筒と切手代も忘れずに入れてください。
≪画像元:JAPAN POST≫
還付申告を行うかどうかは任意
納税申告は義務なので、確定申告手続きは必須である一方、還付申告は任意となっています。
戻ってくる税金の額と確定申告手続きの労力を天秤に掛け、費用対効果が低いと判断した場合には、あえて申告しない選択をしても問題ありません。
また還付申告は最大5年間提出できる猶予が与えられているため、複数年分の申告書をまとめて提出する方法もあります。
期限後に申告書を提出しても還付金は減りませんので、手続き方法や手続き回数を減らすなどの工夫をして、申告するためのコストを抑えてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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