行政手続きのオンライン化は遅れている印象がありますが、e-Taxに関しては利便性向上のために毎年改良が重ねられています。
令和4年分の確定申告を行う今回もバージョンアップしていますので、令和5年1月以降に追加されたe-Taxの便利機能を解説します。
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申告データの自動入力化
e-Taxは「マイナポータル連携」により、確定申告書に記載する情報が自動で入力されるようになります。
マイナポータルとは、政府が中心となり運営するオンラインサービスをいい、マイナポータル連携した上で国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、以下の情報が自動入力されます。
<自動入力対象の控除証明書等>
- 保険料控除証明書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書
- 特定口座年間取引報告書
- 公的年金等の源泉徴収票
- 医療費通知情報
- 住宅借入金等特別控除証明書
マイナポータル連携を利用する際は、マイナンバーカードを用意するだけでなく、事前設定が必要です。
設定してから自動入力が行われるまでに数日要することもあるため、利用する場合は早めに設定を完了させてください。
また自動入力の対象となるのは、マイナポータル連携している控除証明書等です。
ご自身が契約している保険会社等が自動入力の対象になっているかは、国税庁ホームページで確認することができます。
参照:国税庁 マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧
スマホでも青色申告決算書・収支内訳書が作成可能に
e-Taxはパソコンだけでなく、スマホからでも申告書を作成し提出することが可能です。
以前は、スマホでは青色申告決算書・収支内訳書を作成できませんでしたが、令和5年1月からはスマホでも作ることができるようになりました。
筆者の個人的な意見としては、パソコンの方が青色申告決算書等を作成しやすいと感じますが、作成方法の選択肢が増えたのはプラスです。
マイナンバーカードの読み取り回数を削減
去年スマホ申告された方は、マイナンバーカードの読み取りが何度もあり、面倒と感じた記憶はないでしょうか。
その面倒だったマイナンバーカードの読み込みですが、過去にマイナンバーカード方式で申告された方については、令和5年1月以降読み取り回数が1回に削減されます。
スマホの機種によっては、なかなかマイナンバーカードを読み取ってくれないケースもありましたので、今回の変更で少しだけイライラが緩和されます。
申告書を印刷して書面で提出することも可能
国税庁ホームページにある「確定申告書等作成コーナー」は、所得税だけでなく、消費税や贈与税の申告書も作成することが可能です。
自宅から申告したい場合にはe-Taxで手続きすることになりますが、作成した申告書を印刷し、書面で提出することも可能なので、好みの方法で手続きを行ってください。
なお書面申告よりも、e-Taxの方が還付金の振り込みが早いので、すぐに税金を返してもらいたい方はe-Taxがオススメです。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)