実店舗でのお買い物の際、クレジットカードの直接決済(カード現物を出してレジで決済する)はしていますか?
クレジットカードの利便性は大きく上がり、少額決済でもカードが手間なく使えるようにはなっています。ただ、利便性イコールお得ではないのです。
スマホ決済より得になるカード直接決済は、ほとんどありません。
キャッシュレス全盛の現代ならではのクレジットカードの選び方と活用法を見ていきます。
PayPay「墨田区30%還元」は地元飲食店やスカイツリーで使おう エリアごとの使えるお店紹介
キャッシュレス決済に付加価値を求めるために
「カード払いをすれば、ポイントがたまって得になる」。
現代ではそんな発想はシンプル過ぎます。
現代のキャッシュレス事情と、効率的なリターンを考えます。
カード直接払いほか、得をしていない決済をチェック
最初に、付加価値が小さく、避けたい決済方法を確認します。カッコ内は、例外的にその支払方法で構わないケースです。
・カード直接決済(系列商業施設で割引やポイントアップがある)
・iD(LINEプリぺをセットして2.0%)
・QUICPay(セゾンパール・アメックスをセットして2.0%)
カッコ内に該当しない使い方は、キャンペーン期間を除くと付加価値がないので損している可能性が大です。
上記の支払いをやめて適切なスマホ決済に移行すれば、ポイントがもっとつく可能性があります。ただし、キャッシュレスと相性がいいクレジットカードを選ぶ必要があります。
スマホ決済にも要注意
iDやQUICPayと同様、スマホ決済ならなんでも得というわけではありません。
QRコード決済とクレジットカードとの組み合わせについても、付加価値の小さい支払い方があります。
いまだに多くの人が使っているに違いない、危険な組み合わせの例です。
・PayPayカードをセットしたPayPay
・PayPayカードからのチャージで支払うPayPay
・au PAYカード(スタンダード)からのチャージで支払うau PAY
2023年1月から、PayPayあと払い以外の支払いは明らかに損になりました。
いずれも還元率0.5%で、特に前者はPayPayステップの対象からも外れています。
PayPayカードホルダーは必ず、「PayPayあと払い」で支払うようにしましょう。
還元率1.0%と改善されています。
au PAYカードは、2022年12月よりチャージ時ポイントがつかなくなりました。
Orico Card THE POINTなど他系列への切替えをおすすめします。
カード直接決済が得(必須)のケース
筆者の場合ですが、2022年におけるカード直接決済(実店舗)はわずかに次のケースのみでした。
・歯医者での高額支払(ただしPayPayでも支払えた)
・カード入会キャンペーン達成のため、新たに手に入れた(スマホ決済との相性が悪い)カードを積極的に使う
・JRや都営地下鉄の券売機で、1日乗車券を購入する
・「セゾン・アメックス・キャッシュバック」に登録したセゾンパール・アメックスで支払う
・イトーヨーカドー「8の日」にセブンカード・プラスで支払う
これのみで、あとはほぼすべてスマホ決済です。
三井住友カードのタッチ決済(特定店舗で5.0%以上還元)はカード直接決済ともいえますが、現物は持ち歩かずGoogle Payを利用しています。
入会キャンペーンで新規取得カードを積極的に使った際は、今さらながら差し込み決済に大きな違和感を覚えました。
なぜこのようなカード直接払いをしないスタイルになるのか?
理由は明確です。
・QRコード決済の大型還元(10~30%)獲得の機会が多い
・クレジットカードとスマホ決済の適切な組み合わせを知っている
・モバイルSuicaが便利でお得
・特定店舗で割引を受けられるカードの多くも、すでにスマホ決済に対応している(例:イオンPay、マルエツScan&Go)
・PayPay(とLINE Pay)のみ使える小規模店舗も多い
・スマホ決済で、大小さまざまなキャンペーン、クーポン発行を常時実施している
すでにカード直接決済(およびタッチ決済、iD、QUICPay)は、原則に対する例外になっています。
リクルートカードのように還元率1.2%と高い数字なら、組み合わせによるキャッシュレスに勝る場合もありますが、同時にリクルートカードのスマホ決済対応がよくない事実も物語っています。
オフラインでもスマホ決済
実店舗だけでなく、通販などオフラインでの決済も、スマホ決済のほうが有利なシーンが増えてきました。
この典型例が税金です。
税金のキャッシュレス払いには、大別してクレジットカードとQRコード決済がありますが、手数料が掛からないのは後者による支払いです。
PayPayやd払いのように、税金を支払ってもポイント対象外の決済もありますが、au PAYやLINE Payのようにポイントがたまり、カード払いより確実に得になるものも存在します。
スマホ決済時代のカード選び
結局「クレジットカードの原資」に基づき、「スマホ決済」を使うのが最強です。
この使い方に合わせたクレジットカード選びを見ていきます。
クレジットカードとスマホ決済の組み合わせ例
すべてのクレジットカードがスマホ決済との組み合わせに優れているわけではありません。
有利な組み合わせは限定されていますし、急に上乗せが廃止されたりすることがあるので気が抜けません。
つい最近も、クレジットカードの「au PAYカード」からQRコード決済のau PAYへのチャージ時還元率がゼロとなりました。
この組み合わせは崩壊したことになります。
・LINE Pay & LINEクレカ(p+)… 5.0%(月500ポイントまで)
・QUICPay & セゾンパール・アメックス … 2.0%(年間6,000ポイントまで)
・楽天Edy & リクルートカード(VISA、Mastercard)… 1.7%
・モバイルSuica & ビューカード … 1.5%
・au PAY & Orico Card THE POINT … 1.5%
・楽天ペイ& 楽天キャッシュ(楽天カード) … 1.5%
・Apple Pay or Google Pay & 三井住友カードのタッチ決済 … 特定店舗で5.0%以上
「カードを持っていないから関係ない」と思っているのは早計です。
対応するクレジットカードを持ちましょう。
筆者はモバイルSuicaを、エポスゴールドカードから還元率2.6%でチャージして利用しています。
「選べるポイントアップショップ登録」と「年間100万円利用」それから「ファミリーボーナス」の成果です。
エポスゴールドカードもタッチ決済可能(Apple PayおよびGoogle Pay)ですが、Suicaと比べ明らかに損になるため、使う気が起きません。
プリペイドカードも
すでにスマホ決済を支える立場のクレジットカードですが、他の種類のカードも役に立ちます。
少ないながら、次のものがあります。
・Apple Pay or Google Pay & Visa LINE Payプリペイドカード
プリペイド式のバーチャルカードであるVisa LINE Payプリペイドカードは、Apple Pay、Google Payに設定して還元率2.0%です。
銀行即時引落しのデビットカードも、今後はキャッシュレスとの組み合わせが強化されていくでしょう。
スマホ決済とクレジットカードは相互補完関係
クレジットカードは財布の中にあったほうがいいのですが、直接決済をおすすめするシーンはもはやそれほどありません。
直接決済するカードに限り、キャッシュレスとの組み合わせがよくないのかもしれません。
常にスマホ決済と組み合わせてお得を得ることを考えていきましょう。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
2023年のキャッシュレス戦略 特にQRコード決済各種の優先順位を考える