岸田内閣は、官僚内閣と揶揄されるだけあって、各省庁がやりたい放題です。
ウクライナ危機での燃料費の高騰や電力危機を口実に、原発の新設という話が飛び出してきています。
原発では、運転期間の延長が打ち出されています。
福島原発の事故を受け、原発の運転期間は原則40年で、点検で安全確認ができ場合に限っては最長60年となっていました。
ところが、ここにきて岸田内閣は政策を大転換し、経済産業省の悲願であった「新増設もできる」という方向に舵を切りました。
福島の事故後、歴代総理は「建て替えや新増設は想定していない」と言ってきたのですが、この方針を真っ向から変えたということです。
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電気料金に上乗せされています
では、福島の問題はすでに片がついたのかといえば、そうではありません。
知らない方も多いのではないかと思いますが、2021年10月から、こっそりと福島原発の「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」が、みなさんの電気料金に上乗せされています。
そもそも、東京電力が引き起こした事故ですから、「賠償負担金」は東電が全額負担するのが筋ですが、そのお金が不足しているということで、2.4兆円を電気代に上乗せしました。
さらに廃炉についても、莫大なコストがかかるので、その一部の4,740億円を電気代に上乗せし、合計約3兆円を目立たないように多くの家庭で長期にわたって払う仕組みにしてしまいました。
つまり、増設も新設もするけれど、後始末はみなさんよろしくお願いしますということ。
「マイナ保険証」のツケは、利用者に
家計につけを回すという意味では、突然発表になった「マイナ保険証」の義務化もそうです。
「マイナ保険証をつくればポイントがもらえる」と大宣伝しているいっぽうで、マイナ保険証が使える病院に行くと、使えない病院よりも、窓口での支払いが増える仕組みを厚生労働省がつくりました。
「マイナ保険証」を病院の窓口で使うと、初診料が6円上乗せになります。
しかも、マイナ保険証が使える医療機関で「紙の保険証」を出すと、初診での負担は12円の上乗せになります。
ちなみに、「マイナ保険証」に対応していない医療機関にはこうした負担はありません。
つまり、勝手に制度をつくって、かかる費用は利用者負担ということです。
さらに極めつきは、来年から保険料が上がる自賠責保険です。
こともあろうか財務相が「借りパク」!
交通事故の被害者支援を充実させるため、自賠責(自動車損害賠償責任)保険の仕組みを変更する改正法が成立しました。
これを受けて政府は、来年度、自賠責保険の保険料を車1台につき最大150円値上げする方針です。
自動車事故は、毎年減っていて、死傷者の数も減っています。
だとすれば、事故を対象とする保険である自賠責保険の保険料も、下げるのが当たり前でしょう。
それなのに、なぜ保険料が上がるのか。
実は、自賠責保険には、約7,500億円の積立金があります。
それは、私たちが事故を起こした時に保障するための積立金ですが、このうち約6,000億円を財務省が借りたまま返さない、いわゆる「借りパク」状態になっています。
そのために、保険料が足りなくなって値上げするというのですから、空いた口が塞がらない。
こうした状況に、鈴木財務大臣は「申し訳ないと」と陳謝しましたが、22年度に返すのは54億円で、このままだと全額返すには100年くらいかかるというふざけた話になっています。
普通の会社なら、客から預かったお金を勝手に流用したら社会的制裁を受けますが、これが財務省ならお咎めなしというから驚きです。
「イージス・アショア」の代替え品は1兆円?!
軍備の拡大で、これから大増税をするといいます。
ウクライナ戦争などの行く方を見ていると、日本もしっかり防衛しなくてはならないと思っている人も多い。
ただ、本当に大増税し、そのお金は、適正に使われるのでしょうか。
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」が、当時防衛大臣だった河野太郎氏の鶴の一声で配備断念になったのは、2020年のこと。
結果、どれだけのお金を使って、どれだけの損失を被ったのか、何がダメだったのか具体的には説明されていません。
その検証もないうちに、今度は代替策の「イージス・システム搭載艦」の話が浮上。
総経費は1兆円を超える可能性もあるとのことで、与野党はもちろん、軍事評論家などからも疑問の声が出ているようです。
各省庁のやりたい放題のツケを、ただでさえ疲弊している家計に回す。
この省庁のやりたい放題に、ますます景気が悪化しそうです。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)
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