株を保有していて、日々の値動きに心動かされないようにしたいと思うものです。
それができるのが「恩株・元とれ銘柄」です。
「恩株」は「資金回収」ができた株のことで、そうなれば、たとえ株価がゼロになっても構わないわけです。
どうすれば「恩株」になるのか、基本のやり方と、筆者の株への考え方についてまとめました。
株投資で10万円をいかに増やせるか? 実際にやってみました~第3回~
「恩株・元とれ銘柄」の例
≪執筆者撮影≫
「恩株・元とれ銘柄」のわかりやすい例です。
上新電機株式会社(8173)の株主優待は、9月末は全株主に200円の金券25枚、つまり、5,000円分の金券です。
税込2,000円以上購入時、2,000円ごとに1枚使えます。
9月末の株主優待は、全株主が対象なので「1株」保有でも取得できます。
上新電機株式会社(8173)の株価
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
「上新電機株式会社(8173)」は、優待族の中でも有名で、株主優待も長く続いています。1株は1,895円。
株主優待券をすべて利用できる場合、2,000円弱で5,000円がお得になり、1度の株主優待で「元とれ」です。
「恩株・元とれ銘柄」とは“資金回収できた株”
≪執筆者撮影≫
恩株とはいろいろな考え方があるのですが、総じて、“資金回収ができた株”のことです。基本的な方法は、「2倍になった時点で半分を売る」ものです。
「恩株」の基本の作り方
恩株の作り方は、日本株は2単元以上保有して株価が2倍(ツーバガー)になったら半分を売る方法が一般的です。
【例】100株で5万円の株を200株買った場合
……支払う金額は10万円
1. 株価が2倍になる(100株で10万円になる、200株では20万円)
2. 半分の100株10万円分を売る
3. 投資資金10万円を回収できた「恩株」が完成する
恩株になれば、「資金回収できている」ため、赤字企業でも株価が下がっても気にすることなく保有しつづければよいのです。
長期保有では、株主優待や配当金があれば、廃止されない限りもらい続けることができます。
「恩株」のデメリット
デメリットもあります。
株価上昇による「恩株」は狙ってできるものではありません。
「恩株」にしようと狙っていても、株価に絶対はなく、思うようにはいかないものだからです。
これは「恩株」と言っていい?筆者が実践「元とれ銘柄」狙い
2単元保有して2倍になったら売る「恩株」と比較して、筆者は、紹介した上新電機株式会社(8173) をはじめとした、中長期投資で元本が回収できそうな「恩株・元とれ銘柄」を狙っています。
銘柄1:東京日産コンピュータシステム(3316)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
TwitterなどSNSで話題になった「東京日産コンピュータシステム株式会社(3316)」、2022年9月末日の1株以上保有者は500円分のQUOカードPayが株主優待でした。
2022年9月末日に権利取りした人で、もしかすると500円より安く買え、「恩株」になった方もいるのではないでしょうか。
2022年12月時点、1株554円。来年のことはわかりませんが、来年も同じ株主優待なら「恩株・元とれ」銘柄です。
2021年9月の際、1株以上保有の株主にカレンダーがもらえた実績もあり、端株・単元未満株保有者にも優しい企業だと推測できます。
銘柄2:株式会社アマガサ(3070)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
株式会社アマガサ(3070)は、靴がもらえる優待です。
7月末日権利時は、株数や保有期間によってJBダイヤモンドのピアス、ネックレスなどがもらえることでも話題になりました。
筆者は200株保有し、自社運営ECサイト「JERRY BEANS」掲載の靴をもらいました。
≪執筆者撮影≫
定期的に欲しいデザインの靴がもらえ、これまでに2万円弱の還元は受けられているため、100株にして年1度もらうようにすれば、その時点で「恩株」に近い状態に。
サイトから自分好みの靴を選べる自由度があります。
筆者は年2度の靴がほしいこともあり、200株のまま保有していますが、恩株になりえる銘柄です。
銘柄3:ビジョナリーホールディングス(9263)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
メガネスーパーなどを展開する「ビジョナリーホールディングス(9263)」は、200円弱で5,000円分の金券がもらえます。
優待券はメガネのほか、アイマッサージ時にも利用できます。
すべての金券を利用すれば1度の権利取りで「元とれ」銘柄です。4月末日、10月末日の年2回権利です。
1度の優待で「元とれ」であれば、赤字企業であれ、1株だけ買って放置しておいてもいいような気がしてしまいます。
店舗を利用してお金を払ってもらうための優待であるような気もしますが、それでもサービスが安く受けられるメリットはうれしいのではないでしょうか。
注目銘柄4:三菱商事株式会社(8058)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
三菱商事株式会社では、9月の中間配当時点、端株・単元未満株保有者にも美術館の無料ご招待券がもらえました。
≪執筆者撮影≫
静嘉堂文庫美術館の無料ご招待券が2枚。同伴者の人は200円引きになります。
一般1,500円の招待券なので、大人2人で2回行くとして1,500円+同伴者200円、2回分で3,400円分。
1株4,505円なので、1度で「恩株・元とれ銘柄」とはなりませんが、配当金もありますし、数年間、無料招待券をもらって利用するだけでも「元とれ」になりそうです。
注目銘柄5:丸紅株式会社(8002)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
丸紅株式会社(8002)は、隠れ優待を実施している企業です。
≪執筆者撮影≫
中間配当金の支払い封筒に入っていたのは、丸紅ギャラリー無料招待券でした。入館料は一般500円。
2022年3月の配当時にももらえていた記憶があるため、同じ隠れ優待が継続されるなら、1株保有、2年間ホールドするだけで、「恩株・元とれ銘柄」に。
高配当株でもあり、魅力的な銘柄です。
おまけ銘柄:イオン株式会社(8267)
≪画像元:Yahoo! ファイナンス≫
イオン株式会社(8267)は、長期間保有しているからこそ、筆者にとっての「恩株・元とれ銘柄」です。
2月末、8月末に100株保有でイオンオーナーズカードがもらえ、100株だと、半期ごとに3%分がキャッシュバックされます。
そして、イオンシネマでの割引も受けられます。
独身時代からイオン株を保有している筆者、キャッシュバック特典、イオンラウンジ使用、イオンシネマ割引にポップコーンやドリンクの無料サービスを何度も利用してきました。
ずぼらのため、実際にこれまで得した金額を計算していないものの、相当額が節約できていた実感もあり、私の中では「恩株・元とれ銘柄」銘柄です。
「恩株・元とれ銘柄」は中長期保有でこそ達成する
元本回収できるには、短期予定だとなかなかうまくいかないかもしれません。
また、デイトレードやスイングトレードと比較すると、効率も悪いと思われる方もいそうです。
しかし、株主優待や配当金をもらいながら「資金回収」ができた株なら、その後は、たとえ株価が0円になってもいいわけです。
決算があまりよくなく赤字企業であっても、恩株になれば精神的にも楽です。
あまり売買しないガチホ傾向の筆者でも挑戦できる「恩株」の考え方を紹介しました。
保有株の中で「恩株」や「元とれ銘柄」が増えると焦らずにいられるはずです。
※2022年12月の株主優待内容を参考にしています。
※特定の金融商品の売買の推奨を目的としたものではありません。(執筆者:株歴15年以上 優待株・高配当株・J-REIT・米国株も世帯保有250銘柄以上 谷口 久美子)
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