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【介護保険】要介護度は適正に診断するのが一番 その方法と理由


要介護認定には、認定調査員が行う「認定調査」と主治医が作成する「主治医の意見書」の2つの書類が必要になります。

認定調査で認定調査員にうまく状態を伝えられないと正しい介護度が出ず、必要なサービス量が確保できないという場合があります。

そのため、介護負担が大きくなってしまうほか、介護度が重くなりすぎて、必要以上に金銭的負担が多くなるという事態につながる恐れがあります。

また、主治医の意見書に関しても、同じことが言えます。

適切な要介護認定を受けるために状態をどう伝えれば良いか等のコツをご紹介します。

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認定調査とは

まずは、認定調査員が行う認定調査とは実際にはどういうものなのか知っておきましょう。

認定調査の項目としては、次の5つの群があります。

「身体機能・起居動作」

「生活機能」

「認知機能」

「精神・行動障害」

「社会生活への適応」

「過去14日間に受けた特別な医療について」

この項目を見ると、申請した方の生活のすべてを網羅する内容となっていることが分かります。

さらに、群ごとに「寝返り」「排尿」等のさらに細かい項目に分けられています。

認定調査員は、概ね調査前の1週間の状況で、どのような介護の手間やどのような心身状態かを聞き取ります。

聞き取った内容で、より頻回に見られる状況や日頃の状況で、

「介助されていない」「一部介助」「全介助」

「ときどきある」「できる」「できない」

等の項目ごとに設定してある選択肢を選んでいきます。

困っていることや介護の手間が生じていることは必ず認定調査員に伝えること!

場面によって、介護の手間が違う場合などは、頻度の高い方を選択する方法になります。

例:日中は、自分でトイレを済ませるが、夜間はポータブルトイレを利用。後始末は、朝1回、家族が行なっている。

この場合、日中のトイレの方がより頻回な為、「介助されていない」を選択します。

精神・行動障害については、過去1か月間で、その行動が何回現れたかにより、選択肢の選択が行われます

1か月に1回も現れない場合 → 「ない」

少なくとも1か月1回以上、1週間に1回未満の頻度で現れる場合→ 「ときどきある」

少なくとも1週間に1回以上の頻度で現れる場合→ 「ある」

ここで注意したいのは、精神・行動障害の項目に当てはまる行動があっても、介護者が対応していない、問題としていない場合では、当てはまらないという点です。

しかし、特記事項と言って、どうしてその選択に至ったかという内容や症状等が選択肢の条件に当てはまらないが問題がある等と記載する部分があります。

認定調査員が当てはまらないと判断しても、特記事項に記載される場合もありますので、困っていることや介護の手間が生じていることは、認定調査員に伝えましょう。

参照:厚生労働省 認定調査員テキスト2009改訂版(平成30年4月改定)【分割版】

主治医の意見書は誰に頼む?

次に、介護保険申請に必要な主治医の意見について少し触れておきましょう。

主治医の意見書は、申請した方が通院している医療機関の医師が作成するものです。

基本的にはかかりつけ医ですが、何か所も通院している場合は、介護が必要になっている原因の疾患を診てもらっている医師に依頼すると良いです。

要介護認定の申請用紙に主治医の意見書の依頼先を記入する箇所がありますので、そこに依頼したい医療機関や主治医名を記載します。

主治医の意見書に記載される項目は、「傷病に関する意見」「特別な医療(過去14日間以内に受けた医療のすべてにチェック)」「心身の状態に関する意見」「生活機能とサービスに関する意見」になります。

医療機関によっては、主治医の意見書作成の前に、状態の聞き取りの診察を行うことがありますので、その際には、医師に聞かれたことや困っていること、どのような介護サービスを利用したいか等を伝えましょう

参照:沖縄県介護保険広域連合 認定課 要介護認定における「主治医意見書様式」、「主治医意見書記入の手引き」及び「特定疾患にかかる診断基準」の見直しについて

実際に認定調査を受ける時に気をつけたいこと

よくある困りごとなのですが、訪問調査時に申請した方が張り切って「普段はできないこともできてしまう」ということがあります。

訪問調査は、訪問調査時にできたことを記載するのではなく、普段の状態を記載しますので、そのような時には、「今はできているが普段の状態はこうだ」という事実を認定調査員に伝えましょう。

また、本人の目の前で言いにくいことや訂正したいことは、のちに別室で話すか、前もって文章にして認定調査員に渡す等をすると良いです。

上手く伝えられるか不安がある場合には、ケアマネジャーが同席できるようであれば、同席してもらいましょう。

ケアマネジャーは、介護者だけではなく、利用している介護サービス事業所からも申請した方の状態を聞いていますので、訪問調査員に上手く補足説明ができます。

同席が難しい場合には、訪問調査前にケアマネージャーへ訪問調査への疑問等確認し、どう伝えたら良いかの打ち合わせを行うのも、1つの手です。

適正な認定を受けるために

認定調査の項目や主治医の意見書等を知ることで、要介護認定の制度が、申請した方の状態がよく分かるようになっていると思われたのではないでしょうか。

いざという時に利用できるように、より重い要介護認定がおりるように大げさに伝える方もいますが、他の調査項目との整合性やサービス利用時との違いで、認定調査員は気づきます。

同じ介護サービスを受けても介護度によって料金設定が決まっているサービスが多いので介護度が重いと介護費用もかさんでしまいます。

元気なうちは介護サービスも少なくて済みますので、限度額が多くないと不安だという気持ちから適正よりも重い介護度の認定を受ける必要はありません。

また、疾患などで急に心身の状況が変わって、介護サービスをもっと利用したいけどできなかったらどうしようと不安になられる方もいるとは思います。

もし、その状況が続くようならば、区分変更申請を行うことができます。

申請後は、再度、認定調査を受け、主治医の意見書も新たに作成されます。

その後、その状態にあった要介護認定がおります。

また、区分変更申請をした時から、新しくおりるであろう要介護度で暫定的に介護サービスを利用できます。

区分変更申請で暫定的に介護サービスを利用できますので、急な状態変化へも対応してくれます。

未来の安心の為に、より重い介護認定は介護費用の負担になることもあります

今困っていることを優先して伝えるようにしましょう。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)

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