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「物価高」だけじゃない 庶民の首を絞める「大増税内閣」


「所得倍増」を唱えて登場したはずの岸田政権ですが、「所得倍増」どころか増税と社会保険料のアップで、家庭の「所得の大幅減」に向かってまっしぐらです。

何もしない内閣でいてくれた方がマシだったということになりそうです。

すでにこの10月には、雇用保険料がアップし、年収500万円くらいのご家庭なら、年間の保険料が約1万円アップしています。

さらに、後期高齢者の医療費の2割負担導入や、パートの社会保険料加入(101人以上の企業)など、負担は増えています。

目白押しの増税計画

収入と所得の見積額がわからない方が「年末調整」の際に参考にすべき書類

目白押しの増税計画

それに加えて、いま検討されているのが、目白押しの増税計画。

高額所得者の税率引き上げ

これは、最初は一部の高額所得者に限られるのでしょうが、徐々に拡大されて一般家庭にもう影響を与えるかもしれません。

退職金課税の強化

勤続40年までのサラリーマンなら、現在2,200万円までの非課税枠を1,600万円までに縮小する検討が始まりそうです。

相続税の強化

年間110万円までの非課税枠の縮小、廃止は回避されそうですが、その代わり、現行の死亡前3年間のものを相続税に繰入れるという期間が、5年から10年に伸びそうです。

つまり、110万円の無税贈与でも、10年以内に亡くなってしまったら、無税ではなく相続税の対象となる可能性があるということです。

そして極め付きは「インボイス制度」の導入で、消費税が上げやすくなることです。

「選べます」というけれど、実際には選択の余地なし

来年10月から、財務省は「インボイス制度」を実施するために、「インボイス(適格請求書)」を発行してほしい事業者の登録申請をしています。

「インボイス制度」がスタートすると、「免税業者」と言われる売り上げ1,000万円以下の業者は、そのまま「免税業者」を続けるか、「免税業者」をやめて「登録業者」になるのかを選択しなくてはなりません。

「免税業者」でいれば、いままでどうりに客が払った消費税を合法的に懐に入れ、わずらわしい消費税の書類処理も必要なくなります。

ただ、「インボイス制度」が導入されると、「登録番号」がない業者は取引からはじかれてしまう可能性があるので、タクシー運転手や一人親方などの個人事業主や小規模経営者は、仕事を干されて食べていけなくなる可能性があります。

なので、不本意ではあっても、多くの人が「登録業者」にならざるをえないでしょう。

これだけなら、「中小、零細業者が困るだけね」と思う方もいると思いますが、問題は、何のために「インボイス制度」を導入しなくてはならないのかということ。

業者に番号をふって、払った消費税を把握しやすくするということは表向きの理由で、私はこの「インボイス制度」導入は、さらなる消費税引き上げの布石だと見ています。

「インボイス制度」は、消費税引き上げの布石

平成元年、消費税を導入する時点で、わが国ではヨーロッパのような「インボイス制度」が導入できませんでした。

なぜなら、消費税の導入には、多くの人が反対し、中でも、中小零細業者の反対は激しく、政府は、こうしたたちを懐柔するために、「売り上げが少ない事業者は、客からもらった消費税を自分の懐に入れてもいい」というルールをつくりました。

これが「免税業者」で、現在は年間売上1,000万円以下の業者が該当しますが、当時は売上3,000万円以下の業者なら、誰もが客からもらった消費税を国に納めず、自分の懐に入れて良いことになっていました。

さらに、年間の売り上げが5億円以下の業者は「簡易課税」という、簡単な計算で消費税を納入すればよいことにして、当時の会計検査院の調査では、簡易課税業者の約8割が、皆さんからもらった消費税の一部を合法的に懐に入れていたと記されています。

結果、消費税導入時点では、皆さんが払った3.3兆円の消費税のうち、なんと約2兆円が事業者の懐に入ったと記録されています。

つまり、何とか消費税を導入するために、税の淵透明さに目つむったので、ヨーロッパのような透明性の高い「インボイス制度」は、導入できませんでした。

けれど、3%で始まった消費税を10%まで引き上げ、この先、15%、20%と引き上げていくためには、「インボイス」の導入は避けて通れなくなったということです。

上がるのは、税金だけではありません。社会保険料でも、負担増が目白押し

60歳まで支払う国民年金保険料を、65歳まで支払うようにしようとか、介護保険料を値上げしようとか、国民健康保険の保険料の上限を引き上げるなど、家計負担を増やす話が、どんどん出てきています。

いまの「物価高」が多少治ったとしても、その先には家計を脅かす大増税と社会保険料のアップが待っていることを肝に銘じ、「大増税時代」に耐えられるように、しっかり節約しましょう。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

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