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長期間塩漬け状態となっている株式 「保有継続か、手放すか」の見極め方


現物取引において、株式を買う際は、誰もが株価の上昇を期待して注文しているはずです。

しかし、

上昇を期待して買った株式の株価は、徐々に下がり始め、気が付くと買値の遥か下を彷徨い、しかも長期間低迷が続いて売りに売れない

このように、どうしょうもない状態の株は、一般的に「塩漬け株」と呼ばれていますが、よく聞かれる話です。

保有継続か、手放すか」の見極め方

「米国株式の低迷は今後10年間続く」とみる理由 積立投資家はどうとらえるべきか?

保有を継続しても大丈夫な「塩漬け株」の見極め方

投資スタイルは長期間保有

高値掴みした銘柄については、売却の機会を失い、否が応でも長期間保有する結果となります。

しかし、その会社の業績が好調を維持し、それに伴い配当金も毎期継続して一定額を受取れる状況では、今、投資スタイルを短くしている場合でも10年や20年長期間保有することで塩漬け状態から脱却する可能性も大いにあります

保有している銘柄が塩漬け状態になっているか否かは、受取った配当金などで判断する!

まず、「毎期連続して配当が確実にあること」これは一つの条件ですが、この配当金の有無によって簡単に知ることができます。

長期投資については、毎期受取る配当金も投資によって得た利益なのでこれが儲けとなります。

たとえば、A社の株式を1株当たり1,000円で購入するとします。

その途端、株価が700円に下落、ただし、会社の業績は好調で、配当金(30円/1株)は毎期受取っています。

株価と配当金が10年間変わらないと仮定します。

その株を10年後売却した場合、運用損益(売買差益)は300円の損失ですが、実際はプラス・マイナス0円となります。

その理由は、

売買差益(▲損)は▲300円 (売却時株価700円-購入株価1,000円) のキャピタルロス(資産価値の低下)となる一方で、受取配当金累計額は、+300円 (30円×10年)、のインカムゲイン(資産価値上昇による利益)

となるためです。

また、保有期間中であれば、配当金を受取った都度、購入株価を(購入株価-受取配当金累計額)と修正すれば、時価との比較が容易になります。

このように、毎期受取る配当金を記録しておき、購入株価を実質購入株価(仮称)に引き直すことで、株価は意外と購入時の株価に近づいているか又は超えているかも知れません。

配当金の他にも貨幣価値が測定可能な株主優待や主にネット証券が扱っている貸株料などの収入があれば、それらも加算します。

※株式価格は全て1株当たりで表示、税金は考慮していない。

ナンピン買いすることで塩漬け状態を改善する方法もある

その銘柄が売られ過ぎの状況においては、投資資金を持っていることが条件ですが、思い切ってナンピン買いをすることも検討に値します。

ナンピン買いとは、株価が下がっている時にその銘柄を買い増し、平均買入株価を下げることで、現在の株価は買入時の値段に近づくことになります。

「塩漬け株」となった時に常にウォッチすべき主な投資指標

現在保有している株が、不幸にして塩漬け状態に至った場合、その銘柄が割安であればより有利です。

割安とはその株が売られ過ぎの状態をいい、どこかの局面で上昇の余地を残している株式といえます。

投資指標を数多く知っておくことに越したことはありませんが、長期投資の場合は、短期投資と異なり、詳細な指標を駆使する必要がないため、ポイントとなる指標を最低限押さえておけば十分と考えます。

割安株を探すのに最適な投資指数のPBR(株価純資産倍率)

これは、会社が保有している純資産(株主から集めたお金(資本金)や営業活動によって得た利益)、つまり会社の純粋の財産額を発行済株式総数で割り、1株当たりの純資産額(株主資本)と株価の割合を比較した投資尺度で、バリュー投資を判定する指標の一つです。

式は、「株価÷1株当たりの純資産額」で株価水準を測定する重要な指標となります。

PBRが1倍の場合、その会社が万一倒産した際、理論上株主にその株価で清算できる水準となります。

もし、この指標が1倍以下に低迷している場合は、利益性や成長性などの指標も考慮する必要はありますが、その銘柄は割安と判断できます。

PER(株価収益率) は倍率が高くても割安株の場合がある!

PERは、利益(税引後利益)に対して株価水準が割安か割高かを判断する指標で、現在の株価が1株当たり利益の何倍まで買われているか、仮にPERが15倍としたら利益の15倍まで買われていることになります。

この指標は、高ければ、株価が割高で、その逆ならば割安という見方が一般的ですが、成長度合いの高い会社の場合は高い倍率でも割高とは必ずしも言い切れません。

高配当銘柄の選定は配当利回りが目安

配当利回りは、「1株当たりの年間配当金額÷株価」で計算。

イメージ的には預貯金で言うところの金利に当たるので高いに越したことはありません。

塩漬け株を早く解消するためには、その会社が毎期継続して配当金をだし、しかも目安として3%以上の利回りであれば理想的です。

ここでは、3つの指標を紹介しましたが、この他にも

・ 株主重視の尺度となる配当性向

・ 株主が出資したお金を会社が効率良く使って経営を行っていくらの利益を上げたか

・ 会社の収益度合を測るROE(株主資本利益率)

・ 売上高の推移と伸び率を測る売上高成長率

・ 会社の財務状態の健全性を測る自己資本比率

などがあります。

ここに挙げた指標については、保有している個別銘柄だけでなく、業種別の傾向や同業種の平均指標と比較して判断することも有効です。

これらの投資情報は、個別の会社(同業他社も含む)や証券会社などのHP、投資専門情報誌などから入手可能です。

避けたいパニック売り

その場合、心理的には、長期保有のスタイルを決めたら株価の多少の変動には一喜一憂してはいけません。

保有銘柄に株価に影響するような悪材料がなくても株価が急落した場合や相場全体が下落している状況であれば、歴史的にみてもどこかのタイミングで反転してくる確率が高いので、売り急がないことが鉄則といえます。

 

「塩漬け株」を手放すタイミングは

ここまでは塩漬け株の保有継続を判断する目安を示しましたが、ここからは、売却する場合について、いくつかの目安を挙げてみます。

・ 特に、株式相場全体が下がっていないにも拘わらず、その銘柄の株価が下落している。

・ 会社業績の急激な悪化、それに伴い配当金の大幅減額や株主優待の見直し等

・ 会社の業績予想が下方修正されている場合

・ 同業他社を含めた業種を取り巻く経済環境の悪化

・ 不正会計やコンプライアンス違反などの企業不祥事が発生しその後の対応も不十分

以上の項目が1つでも該当すれば、その銘柄の状況を常にウォッチしながら、株価がさらに実質購入株価の水準を下回るようであればその株を手放すことも検討に値します。

本稿では、「塩漬け株」の運用について述べてきましたが、最悪の状況においても損失を最小限に抑え、少なくとも負けない株式投資を目指したいものです。(執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志)

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