国民
年金納付期間を現行の40年間から45年間に延長する検討がされています。
現行の法律では20歳から60歳までの40年間にどれだけ保険料を納めたかによって国民
年金からもらえる
年金額が決まります。
現時点では検討段階ですので決定しているわけではありませんが、その中身について検証してみましょう。
国民年金の経緯
直近では1986年が国民
年金の大変革を迎えた日であり、現在の
年金制度の根幹となる仕組みが導入されています。
例えば会社員の夫に扶養される妻が対象となる「第3号被保険者」制度の導入などが挙げられます。
保険料を原則として25年納めていなければ
年金はもらえませんでした。
ただし、2017年8月1日以降は10年納めていれば
年金をもらえるように改正が行われました。
10年納めただけでは、
労働収入がなくなったあとに生活していくための
年金額としては十分ではありません
。
改正へ向け議論される部分と現在の法律
改正案としては60歳から65歳までの
5年間を延長して20歳から65歳までの45年間、
保険料を納めるように改正する
という議論がされることと考えますが、現在でも60歳から65歳の間は任意加入制度という形で、
保険料を納められる制度はあります。
これは「任意」の制度ですので強制ではありません。
現行の法律では国民
年金には20歳から60歳までの40年間(480か月)、加入義務があります。
外国人であっても例外ではありませんが、旅行のために短期間在日する程度の場合、加入義務は生じません。
年金制度は先に触れた「第3号被保険者」とは別に2つの種類があります。
1つは自営業者などが加入対象となる「第1号被保険者」であり、もう1つは会社員や公務員が加入する「第2号被保険者」という制度です。
「第2号被保険者」は厚生
年金に加入する形ですが、同時に国民
年金にも加入しています。
厚生
年金は70歳で資格を喪失しますが、国民
年金については老後の
年金の受給資格を持っている場合、
65歳で資格を喪失
しますので、例えば70歳まで会社員として働く場合、65歳から70歳は厚生
年金のみに加入している状態ということです。
改正へ向けた議論がされる背景
年金制度は世代間扶養という考え方が採用されており、現役世代で高齢者を支える仕組みです。
日本は国難ともいえる高齢化社会が到来しており、昭和時代と比べるまでもなく、高齢者1人に対し、11.2人の現役世代で支えられていた1960年に対し2030年には高齢者1人に対し、1.8人の現役世代で支えなければならない事態が想定されています。
1989年に約22兆円であった
年金分野における社会保障給付費は、
2019年に約55兆円
に達しています。
医療の発展と平均余命
医療の発展は目覚ましく、それを証明する部分として、平均余命の延びが挙げられます。
1955年には男女ともに70歳を下回っていたものの、2040年には女性が89歳、男性が83歳と予測されています。
平均余命が延びることは大変喜ばしいことですが、それを支える
年金給付の財源確保に目を向けないわけにはいかなくなります。
現行制度の活用では難しいのか?
現行制度でも「マクロ経済スライド」という制度があり、端的には
年金額を目減りさせる仕組みです。
しかし実際に発動できたことは現時点では数回しかなく、根本的な解決には至っていないという現状です。
現在の保険料額と年金額の関係
現在の状態を勘案すると少なくとも
保険料が下がり続けるということはありません。
しかし
。
受給開始年齢を現行の65歳から遅くするという議論も想定されますが、自己防衛策として、私たちが今できることは、漏れがなく保険料を納め、可能な限り多くの
年金を受け取れるための準備を進める
ことが適切と考えます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
\ この記事をシェア /