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【ねんきん定期便を確認!】「年金未納で約2,100万円の差し押さえ」を、他人事と思ってはいけない


先日Twitterを見ていたら「年金未納」が、トレンドワードになっているのに気が付きました。

どうやら有名な漫画家の方が、年金未納で約2,100万円の預金が差し押さえられた話をツイートすると共に、その記録が残された銀行口座の取引明細を公開したことが発端になったようです。

国民年金に加入するのは今のところ、20歳から60歳までの40年間であり、また各人が納付する保険料の金額は、2022年度額で月1万6,590円になります。

そのため生涯に納付する国民年金の保険料の総額は、796万3,200円(月1万6,590円×12か月×40年)が目安です。

けっこうな負担になりますが、差し押さえられた約2,100万円とは、大きくかけ離れているため、漫画家の方が公開した取引明細は、偽物の可能性があると思ったのです。

一方でTwitterを見ていたら、延滞金が加われば約2,100万円になる場合もあるので、本物だとツイートする方がおりました。

国民年金の保険料を徴収する権利は、納付期限(納付対象月の翌月末日)の翌日から2年が経過した時に、時効によって消滅します。

ただ日本年金機構から督促状が送付されると、進行中の時効が振り出しに戻るため、時効を迎えるのは難しいのです。

そのため期間が経過するほど、未納の保険料が蓄積されていき、これに対して延滞金が課せられると、約2,100万円に達するというわけです。

また法人(株式会社、合同会社など)の事業所や、従業員が常時5人以上いる個人の事業所(農林漁業などは除く)は、厚生年金保険に加入する必要があります。

こういったルールになっているため、約2,100万円の差し押さえには、厚生年金保険に加入するアシスタントなどの、保険料の未納分も含まれているのではないかと、ツイートする方もおりました。

ねんきん定期便

国民年金の強制徴収の基準は徐々に下がっている

日本年金機構は財産(預貯金、自動車など)や、給与などの差し押さえによって、国民年金の保険料を強制徴収する対象者を、ここ最近は拡大しているのです。

例えば2014年度の対象者は、「年間の控除後所得が400万円以上で、未納月数が13か月以上」でした。

しかし2017年度からは、「年間の控除後所得が300万円以上で、未納月数が13か月以上」に変わったのです。

また2018年度からは、「年間の控除後所得が300万円以上で、未納月数が7か月以上」になっているため、対象者は更に拡大しております。

強制徴収の基準になるのは年収ではなく、年収から必要経費(会社員の場合は給与所得控除)などを差し引いた後の控除後所得になるため、年収が300万円以上あると強制徴収されるというのは、間違った情報になります。

ただ預金を差し押さえられた漫画家のような、高収入の方だけを対象にしているわけではない点に、注意する必要があります。

また強制徴収の基準は徐々に下がっているため、将来的には対象者の中に含まれる可能性があるのです。

そのため年金未納で約2,100万円の差し押さえがあった話を、他人事と思わない方が良いと思います。

なお国民年金の保険料は世帯主や配偶者が、連帯して納付する義務があるため、自分が保有する財産だけでなく、これらの方が保有する財産も、差し押さえられる可能性があります。

差し押さえの前には催促状や督促状が送付される

漫画家の方は突然に銀行口座の残高が減り、手が震えるほどの驚きを感じたため、銀行に対して問い合わせたそうです。

そうしたら銀行員の方は、年金事務所から差し押さえがあったと説明したそうなので、約2,100万円が年金未納と関係しているのは、どうやら間違いないようです。

ただ日本年金機構が未納者の財産や給与などを、いきなり差し押さえることはなく、一般的には次のような順番で、各種の催促状や督促状などが、ハガキや封筒で送付されます。

・催促状 → 特別催告状(封筒の色は「青 → 黄 → 赤」に変化する) → 最終催告状 → 督促状

最後の督促状に記載された期限までに納付しなかった場合には、差押予告通知書を送付したうえで、未納者の財産や給与などを差し押さえます

また本来の納付期限(納付対象月の翌月末日)の翌日から、納付日の前日までの日数で算出した、延滞金が課せられます。

そのため漫画家の方が、日本年金機構から送付されたハガキや封筒の中身を、きちんと確認していれば、差し押さえを避けられただけでなく、延滞金を課せられずに済んだ可能性があります。

これに加えて最終催告状までの段階であれば、分割納付に応じてもらえる可能性があったのです。

ねんきん定期便で保険料の納付記録を確認する

漫画家の方が差し押さえられた約2,100万円には、厚生年金保険に加入するアシスタントなどの、保険料の未納分も含まれているのではないかと、ツイートする方がおりました。

これが事実だった場合には、アシスタントの方は未納の分だけ、将来に受給できる年金が減ってしまうのです。

また従業員の給与から控除した厚生年金保険の保険料の、全部または一部を納付しないで、事業の運転資金などに使ってしまう経営者は、ごくまれですが存在するのです。

そのため厚生年金保険に加入している方も、年金未納で約2,100万円の差し押さえがあった話を他人事と思わず、給与から控除された保険料が、きちんと納付されているのかを、確認した方が良いのです。

これを確認するための手段としては、誕生月(1日生まれの場合には誕生月の前月)になると、日本年金機構などから送付される、ねんきん定期便があります。

例えばハガキ形式のねんきん定期便の中にある、「最近の月別状況です」という部分を見てみると、直近1年間の月給や賞与から控除された、厚生年金保険の保険料の金額がわかります

ここに記載された金額と、給与から控除された厚生年金保険の保険料の金額が一致していない場合には、きちんと保険料が納付されていない可能性があります。

また賞与から厚生年金保険の保険料が控除されていたのに、ねんきん定期便の「標準賞与額(千円)」の部分に、何の記載がない場合にも、きちんと保険料が納付されていない可能性があります。

もし何かしらの間違いを発見した場合には、例えば年金記録の訂正請求手続きを行います

この手続きを実施する際には、給与明細書などの状況が分かる資料があった方が有利になるため、ねんきん定期便の確認が終わるまでは、破棄しない方が良いのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

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