国民年金は、日本に居住している20歳以上60歳未満のすべての方が加入しなければならない日本の公的年金制度です。
その中でも自営業者、学生、無職の方などの「第1号被保険者」 は、自分で国民年金保険料を支払う必要があります。
令和4年度の国民年金保険料は、月額1万6,590円です。
この国民年金保険料を毎月きちんと納付することができればいいのですが、収入の減少などによりはらえないこともあるかもしれません。
そのような時に、国民年金保険料を未納のままそのままにしておけば、将来受給するはずの老齢基礎年金が受給できなくなったり、受給額が減ってしまったりする可能性があります。
また、障害状態になってしまったり、亡くなってしまった時に、障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できなくなってしまうかもしれません。
このようなことを防ぐために、国民年金保険料が払えない場合には、国民年金の保険料免除制度と保険料納付猶予制度があります。
今回は、国民年金の保険料免除制度と保険料納付猶予制度について解説するとともに、両制度の違いについても解説していきます。
大学生の時に国民年金保険料が未払いだった場合、年金受給にどのような影響があるか?
1. 国民年金の保険料免除制度
国民年金の保険料免除制度とは、申請をして認められると国民年金の保険料が免除される制度です。
免除される額によって、全額免除 、4分の3免除 、半額免除 、4分の1免除 の4種類があります。
2. 国民年金の保険料納付猶予制度
国民年金の保険料納付猶予制度とは、本人、配偶者の前年所得が一定以下の20歳から50歳未満の方が、申請をして認められると国民年金の保険料の納付が猶予される制度です。
国民年金の保険料免除制度と保険料納付猶予制度の違い
国民年金の保険料免除制度と保険料納付猶予制度の違いは、免除または猶予された期間に老齢基礎年金の年金額への反映があるかないかです。
国民年金の保険料免除制度と保険料納付猶予制度ともに、免除または猶予された期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間に算入されます。
しかし、保険料免除制度の免除された期間は、老齢基礎年金の年金額への反映がされるのに対して、保険料納付猶予制度の猶予された期間は、老齢基礎年金の年金額への反映はありません。
保険料免除制度の免除された期間の老齢基礎年金額への反映は、全額免除の場合は2分の1、4分の3免除の場合は8分の5、半額免除の場合は8分の6、4分の1免除の場合は8分の7です。
受給資格期間も確認しよう
このように、保険料免除制度や保険料納付猶予制度を利用しないで国民年金保険料を未納した場合には、年金の受給資格期間への算入も、老齢基礎年金の年金額への反映もありません。
そのため、この状態が続くと、将来年金が受給できなくなる可能性もあります。
一方、保険料免除制度や保険料納付猶予制度を利用することで、年金の受給資格期間へは算入されるため、年金が受給できなくなる可能性はありません。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)
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