病気やけがになった場合、安心だからという理由で大病院を受診していませんか。
筆者もその一人ですが、これからはそれは控えた方がよさそうですよ。
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紹介状なしに大病院を受診すると「特別料金」がかかる
≪画像元:厚生労働省の3ページ目≫
「大きな病院の方が安心」だからといって、いきなり大病院を受診していませんか。
実はこれ、非常にお金がかかるんです。
紹介状なしに大病院(200床以上)を受診すると、特別料金(選定療養費)がかかります。
選定療養費には、紹介状なし受診以外にも、差額ベッド代、時間外診療、歯科の金合金などがあります。
現在は初診だと最低5,000円(歯科は3,000円)、再診だと最低2,500円(歯科は1,500円)です。
選定療養費は病院で自由に料金設定できますが、5,000円~6,000円(初診)のところが多いです。
軽症(軽傷)の患者が大病院に殺到すると、本来大病院でしか治療できない患者が十分な治療を受けられない可能性があります。
病院の役割分担のため、選定療養費がかかるのです。
選定療養費は保険適用されない
差額ベッド代などが保険適用されないことはご存じだと思いますが、紹介状なしの大病院受診も保険適用されません。
例えば、選定療養費5,000円の病院を受診し、3,000円の治療費がかかったとしましょう。
紹介状があれば選定療養費5,000円はかからず、3,000円の3割負担で900円しかかかりません。
紹介状がないと、3,000円の3割負担の900円に、選定療養費5,000円がまるまる加算され、合計5,900円支払う必要があります。
2022年10月より選定療養費が値上がり
≪画像元:厚生労働省の3ページ目≫
それでも、紹介状なしに大病院を受診する人は後を絶ちません。
病院の役割分担、そして病院同士の連携を深めるため、2022年10月からは、以下のように最低の選定療養費が改定されます。
・初診:5,000円 → 7,000円(歯科は3,000円 → 5,000円)
・再診:2,500円 → 3,000円(歯科は1,500円 → 1,900円)
初診の場合は、約28%の値上がりです。
選定療養費がかからない場合
ただし、全ての人に選定療養費が必要なわけではありません。
紹介状があればかからないのはもちろん、初診の場合は以下の場合も選定療養費が不要です。
・ 同じ病院の他の診療科から紹介された人
・ 同じ病院の医科と歯科の間で紹介された人
・ 特定健康診査、がん検診などの結果により精密検査受診の指示を受けた人
・ 救急搬送された人
・ 労働災害・公務災害で受診した人
・ 災害罹災者
・ 治験協力者
・ 外来受診から継続して入院した人
・ 地域に他に当該診療科を標榜する病院がない人
上記以外に、病院が直接受診する必要性を特に認めた人も、選定療養費がかかりません。
紹介状の作成にもお金がかかる
≪画像元:独立行政法人国立病院機構埼玉病院≫
選定療養費をなくす手っ取り早い方法は、かかりつけ医に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらうことです。
紹介状があれば、病院での順番待ちも少しは短くなります。
しかし、紹介状の作成にも「診療情報提供料」という名目で、2,500円かかります。
選定療養費とは異なり、診療情報提供料は保険適用されますので、3割負担なら750円です。
確定申告で医療費控除を受けよう
≪画像元:freee≫
選定療養費、診療情報提供料とも、医療費控除が可能となる可能性が高いです。
選定療養費のうち差額ベッド代などは、自己都合で入った場合は医療費控除の対象外かもしれません。
治療の都合上どうしても個室が必要な場合は、医療費控除の対象となるでしょう。
しかし、紹介状なし受診や診療情報提供料は治療に必要な費用といえるので、医療費控除の対象となる可能性が高いです。
しっかりと確定申告をして、支払ったお金を取り戻しましょう。(執筆者:キャッシュレス研究家 角野 達仁)
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