40代・50代といえば老後資金準備の分岐点にあたる年齢です。
20代・30代と比べると残り運用期間が短くなりますし、大きなリスクを冒すことが難しくなってきます。
安定性高く堅実な運用が必要になるのがこの年代です。ですが悪い点ばかりではありません。
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より堅実な投資が必要になる理由
いまだ年功序列が残る日本において、収入も増えている方が多いのではないでしょうか。
また、子育てがひと段落し、余剰資金の多くを自身、夫婦の老後に充てることができるようになったという方も多いかもしれません。
総じて20代・30代と比べるとより多くの資金を老後準備に充てることができ、また、充てなければならない年代が40代・50代といえるのではないでしょうか。
ですが今40代・50代を迎えている方は若かりし頃は企業戦士、ずっと本業に没頭し、労働収入で生きていくのが当たり前。
資産運用なんて聞いたこともやったこともなかったなんて方も多いと思います。
今でこそSNSなどで様々な知識を得ることができるようになっていますが、昔は今のように情報が溢れている時代ではありませんでした。
そんな現状に焦りを感じてる方も多いと思います。
金融機関からするといいカモと言い換えることもできます。
ある程度の余力がありながらも残された運用期間も短くなっている40代・50代だからこそより堅実な投資が必要になってきます。
本記事で解説するような資産運用には間違っても手を出さないようにしましょう。
手を出してはいけない (1) 利回りを追求し過ぎる投資
ある程度の余力がある中で、残された運用期間も短い。
そんな焦りからか利回りを追求し過ぎた運用に手を出す傾向にあります。
最初は皆堅実な資産形成から学び、実践していくのですが、いつからか「お金を増やす」ということに注力し過ぎるあまり危険な投資に手を出してしまうのです。
普通の積立投資では飽き足りず、◯倍の運用成績を目指すレバレッジ投信や、保有資金の◯倍の資金量で取引できる信用取引など危険な投資に手を出してしまうと赤信号です。
これら高利回りの誘惑に打ち勝つことが必要です。
とにかく効率を優先する利回り至上主義に陥ってしまわないようにしましょう。
もちろんこういった危険な投資をしてしまうのは40代・50代に限った話ではありません。
年齢に関係なく、投資に慣れてきた頃に陥りがちな罠です。
ですが20代や30代の多くの場合は取り返しがききます。
残り投資可能期間が長いからです。
対して特に50代を超えた方にとっては一度大きな失敗をしてしまうと厳しくなってしまいます。
最初から最後まで堅実な投資を実践するべきだと考えます。
また、老後資金全てを投資で準備する必要がない方も多い年代だと思います。
退職金で大きな金額を受け取れる方も多いでしょうし、老齢年金も相応の金額が受け取れることが想定されています。
堅実な積立投資をするにしても、全てをS&P500や全世界株式といった株式ファンドに投資するのではなく、債券ファンドや現金の割合を多くするなどして年率1〜2%程度の投資でも十分な可能性もあるはずです。
「とにかく増やす」という発想ではなく、自身にとってどの程度の資金が必要なのかをしっかりと検討し、それに見合った投資をするべきだと考えます。
併せて注意していただきたいのが「元本保証」や「配当確実」といった甘い誘惑の商品です。
冒頭にも解説しましたが、余剰資金がある程度あるうえで投資知識があまりなく、なおかつ早く資産形成したいと焦っている方ほど金融機関から見るといいカモに見えてしまいます。
元本保証で年利7%以上
毎月5%の配当金を約束
といったような類の商品には絶対に手を出さないようにしてください。
資産運用において「元本保証」はあり得ませんし、毎月5%だと年率60%というとんでもない数字になってしまいます。
相場の常識を知っていれば絶対に手を出さない詐欺商品です。
手を出してはいけない (2) 集中投資
特に一つの企業の株式に集中投資するようなことは避けるべきだと考えます。
トヨタやソニー、任天堂など誰もが知っている大企業ほど安心だと考えがちです。
特に日本全体が好調だった頃の時代を知っている人ほどこれらの企業に対する信頼感は大きなものがあるでしょう。
だからといって「トヨタの株式に全力投資!」なんてことは絶対にしてはいけません。
大企業でも何が起こるかわからないのが今の時代です。
「倒産しない限り大丈夫でしょ!」なんて安易な考えは禁物です。
悪いニュースが出るだけで株価が大きく下がる可能性は大いにあります。
集中投資していた場合は資産の減り方もとても大きなものとなってしまいます。
現役引退間近という時に資産の大部分が減損してしまった時の気持ちは想像に絶するでしょう。
投資に慣れている方ならまだしも、始めたばかりの方なら狼狽売りをしてしまう危険性大です。
「少しでも資産を守りたいがために売ったのに、結局売ってしまったために大きな損失を出してしまった」
「売らずに持っていれば大きな損失を被ることにならなかった」
なんてことはあるあるです。
逆にそのうち回復するだろうと売らずにいたけど結局回復しなかったといったパターンもあります。
株価がどう動くかは誰にもわかりません。
悪い方に動いてしまった場合のリスクを回避するために分散して投資をするべきです。
個別株投資をするなら資金量にもよりますがどんなに少なくても10社以上に分散する方が良いでしょう。
併せて債券投資や現金での保有割合も検討する必要があります。
また、SNSで人気のS&P500インデックスファンドや全米株式、全世界株式インデックスファンドも集中投資の一種です。
投資する企業については広く分散されていますが、全て株式への投資という意味では集中投資にあたります。
個人的には全世界株式インデックスファンドへの集中投資を是と考えておりますが、それはあくまでも投資期間が20年以上、短くても15年以上取れる場合の話です。
40代後半以降の年齢の方については安定的な資産の保有割合を高めておくべきでしょう。
40代・50代は個別の必要資産に応じて投資配分を!
投資可能期間が短くなるほど、失敗した場合のリカバリーが効きづらくなります。
若い世代のような無鉄砲な資産運用は慎んだほうがよいでしょう。
現在どの程度の資産を保有しており、どの程度の資産をこれから準備する必要があるのか。
自身、家族にあてはめて個別具体的に検討していく必要があるのが40代・50代だと考えます。
よりアクティブな運用が必要な方もいれば、1%〜2%程度の運用で十分な方もいるはずです。
「増やす」ことも大切ですが「より賢く運用する」という視点も併せて持っておきたいものです。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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