投資を実践していく中で、他の人がどんなファンドに投資しているのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
日頃ネットで情報収集している方にとっては
- eMAXIS Slimシリーズ
- 楽天シリーズ
- SBI・Vシリーズ
といったあたりが王道であり、実際に投資しているファンドになると思います。
ところが、こういった低コストのインデックスファンドが絶対人気というわけではないのが、おもしろいところです。
人気投資信託ランキングで検索してみると、ポツポツとアクティブファンドの名前が出てきます。
例えば2022年9月10日現在、人気サイトである「みんかぶ(投資信託)」や「価格.com」で第1位を獲得しているのが
というファンドになります。
このアライアンス・バーンスタイン、聞いたことがないという方も多いと思います。
2位以下は
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- SBI・V・S&P500インデックスファンド
といったよく耳にするファンドが並んでいます。
これらのファンドを押し退けたアライアンス・バーンスタイン、いったいどんなファンドなのでしょうか。
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成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資するアクティブファンド
目論見書に特徴として、以下の記載があります。
- マザーファンド(アライアンス・バーンスタイン・米国大型グロース株マザーファンド)を通じて、主として成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資
- 企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本としたアクティブ運用を行う
つまり簡単にいうと、成長の可能性が高いと判断される米国株式に集中投資するアクティブファンドということになります。
また、4つのコースがあり、投資家は好みに応じて各コースを選択できます。
- Aコース(為替ヘッジあり)
- Bコース(為替ヘッジなし)
- Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
- Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
4コースの中で1番人気が、毎月分配金を受け取れる為替ヘッジをかけない「Dコース」となります。
毎月分配型の投資信託と聞くと、投資元本を切り崩してでも毎月受け取るタイプ、いわゆる元本切り崩し型のファンドを想像する方も多いのではないでしょうか。
ということに気づかずに、後にトラブルとなる例が多発し、一躍有名となりました。
ですがこちらのファンドについては予想分配金提示型という形式を取っており、その時の基準価額に応じて受け取れる分配金が変動します。
※目論見書より抜粋
という点が、他の毎月分配型投資信託と比べて良心的な気がします。
実際に直近では基準価額が下がっておりますので、分配金が支払われていない月もあるようです。
また、アクティブファンドということもあり、手数料は高い設定となっております。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)と比較
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)と比較してみます。
購入時手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 | |
アライアンス・バーンスタイン | 3.3%(ネット証券買付の場合はなし) | 1.727% | なし |
eMAXIS Slim米国株式 | なし | 0.0968% | なし |
ネット証券で購入すれば購入時手数料はかかりませんが、当ファンドが多く販売されていると推測できる証券会社や銀行の窓口などで購入する場合は3.3%かかります。
また、信託報酬もインデックスファンドと比べるとかなり高く設定されています。
この手数料差を埋める運用成績が必要となります。
組入上位銘柄には
- マイクロソフト
- アルファベット
- アマゾン
など、ハイテク銘柄を多く含んでおり、好調な成績を収めてきたようです。
ベンチマークとなるS&P500と比べて遜色ない運用成績
では実際の運用成績はどうなのでしょうか。
以下、月次レポートより抜粋です。
切り取るタイミングによって大きな差は出ますが、設定来騰落率243.5%は驚異の成績です。
分配金を再投資した仮定とはいえ、インデックスファンドを超える成績を残せているといえるでしょう。
情報技術セクターの組入が多い分、それらが好調な時期は運用成績も良かったというのが原因だと考えます。
ですが、問題はこれからです。
上昇相場が終了し、高値と底値を行ったり来たりするボックス相場、もしくは下落相場となった場合、その経費が重くのしかかります。
これまで同様、好調な運用成績が残せるかが注目でしょう。
長期で考えるなら低コストなインデックスファンドがベスト
好調なセクターへの集中度合いが高いほど、運用成績は良くなるものです。
S&P500よりも組入銘柄数が少ない分、情報技術セクターの割合が高いのがこのファンドの特徴です。
確かに情報技術セクターの強さには目を見張るものがありました。
ですがこれからも同様に強いとは限りません。
もちろん組入銘柄の調整は入りますが、相場が軟調な時ほどその経費が運用成績の足枷となってしまいます。
より広く分散された低コストなインデックスファンドへ投資をする方が、長期的にみると安全でしょう。
当ファンドについては
- 運用成績が好調
- 毎月分配金が受け取れる
という2点から、証券会社や銀行などの外務員(販売員)を通して投資されていると推測されます。
聞こえの良いセールストークが使えるファンドほど販売しやすいですし、手数料の高いファンドの方が見入りも大きいので販売員の間でも人気だったことが容易に想像できます。
ですが長期的に考えるとこの運用成績、人気がずっと続くとは考えにくいでしょう。
- セクターの偏り
- 経費率の高さ
- 分配金の支払い
この3点はどれも長期投資にとってはマイナスとなる要因です。
その時の「人気」に惑わされることなく、本当の意味での資産形成に向いているファンドへ投資したいものです。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)