老後の生活設計の柱となる年金については多くの方が関心をお持ちです。
総じて関心を持たれる部分として、
「いくらくらいもらえるのか?」
「増やす方法はないか?」
等が挙げられます。
また、実際に年金は申請をしなければ勝手に振り込まれるということはありませんので、申請後は「いつくらいに振り込まれるのか?」という疑問が多くなります。
今回は、年金の振り込まれるタイミングについて解説します。
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年金が振り込まれるタイミング
原則として、年金は前月までの2か月分を偶数月の15日に指定の金融機関口座に振り込まれます。
もし、15日が金融機関の休日と重なった場合は前日の営業日に振り込まれます。
他方、初めて年金の申請をした場合はタイミングによっては奇数月に振り込まれる場合もあります。
年金の時効は5年間ですので、例えばパートでの収入があったため、年金の申請を3年ほど忘れていた場合でも時効の5年間にはかかっていませんので、まとめてもらうことが可能です。
他方、5年を超えて申請を忘れていた場合、もらえない分が発生してしまうということです。
例えば前者の3年前に年金をもらいはじめられる条件が整ったにもかかわらず申請を忘れていた場合、申請後、約4か月後に年金がまとめて振り込まれることになります。
年金の振り込みが遅くなる原因
第一に挙げられるのが、書類の不備や誤記載です。
現在は押印が必須でなくなりましたので、押印がなかったために、受付しないということはありません。
しかし書類の不備は押印とは無関係ですので、あらかじめ年金事務所や社労士に相談し、不備のない形で申請することで振り込みが遅くなることを防げます。
次に、これは、申請する方だけの問題ではありませんが、年金記録に疑義が発生した場合です。
一例として、過去に勤めていた会社で誤った名前や生年月日で年金の資格取得をしてしまっていた場合、あるいは資格取得の申請自体を忘れていた場合です。
その間の記録は紐づいていない可能性が極めて高く、空白期間となっています。
年金事務所でも、当人と思わしき記録という形でデータを発掘できる場合もありますが、その時点では広い日本の中で考えると、理論上、他人の記録という可能性もあります。
その期間は間違いなく自身が勤めていた期間である旨の証明をしなければなりません。
ここで何度かやりとりが発生しますので、その期間、年金の振り込みまで時間を要するということです。
これを防ぐには年金の支給開始前に記録の確認という形で年金事務所に記録の疑義がないか、抜け落ちている可能性がある期間がないかを確認しておくことが有用です。
年金支給開始前に記録を整備しておくことで、いざ年金を申請できるタイミングになったら時効の問題が生じないことはもちろん、スムーズに年金をもらいはじめることができます。
特に退職後、失業保険をもらい終わり、固定的・定期的な収入がなくなった後に、年金の支給開始も大幅に遅れるとなると生活に支障をきたす可能性が高くなります。
不備となることが多い書類
会社役員や代表者と同居の親族であった場合等を除き、週に20時間以上かつ継続して31日以上の労働契約を結んでいる場合、(一部の業種を除き)雇用保険へ加入することとなります。
老後の年金を申請する場合、原則として、雇用保険被保険者証のコピーも必要となります。
健康保険の保険証と異なり、使う機会がほとんどないため、紛失されていることも珍しくありませんが、申請時には必要なものとなりますので、年金の申請が近づいてきたら準備をしておきましょう。
事前の準備を
老後の年金は自身が亡くなるまでもらえる貴重な収入源です。
労働収入がなくなり、年金生活を開始するタイミングにおいては、何らかの理由で振り込まれないタイミングが長くなると不安が大きくなりますので、事前の準備を心がけましょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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