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住宅ローンは繰り上げ返済するべきか? シミュレーションで検証・比較で銀行員が解説


 

「住宅ローンは繰り上げ返済をして、早く完済するべき」

「繰り上げ返済するお金があるなら運用にまわすのが賢い選択」

 

これらは正反対の考えですが、住宅ローンに関する記事でよく見かけるフレーズでもあります。

住宅ローンを

  • 繰り上げ返済すべきか?
  • 運用するほうが良いのか?

繰り上げ返済するか?は、個人の自由で、正解不正解もありません。

運用と繰り上げ返済の二択を問われたなら、間違いなく繰り上げ返済を選びます。

勤続30年の銀行員として私の考えを紹介します。

記事の中では、シミュレーションを使い、繰り上げ返済の効果を確かめる方法も説明しています。

繰り上げ返済するべきか?

なぜ繰り上げ返済をえらぶのか?

理由はいくつもありますが、ここでは2つ紹介します。

理由1:銀行員は無責任に運用を進めることができないから

顧客からどちらにするか問われた銀行員が、繰り上げ返済でなく運用をすすめたため、結果的に損をした顧客から苦情になった事例を聞いたことがあります。

運用が好調なら、結果が違ったかも知れません。

繰り上げ返済のために準備したお金である場合、銀行員は(自分の身を守る意味で)運用はすすめないものです。

理由2:繰り上げ返済は確実だけれど、運用は不確実だから

繰り上げ返済をする場合、実際に返済で得られる効果は現実のもの、つまり繰り上げ返済は確実です。

投資や運用は元本保証ではなく、また当然と言えば当然ですが利回りやキャピタルゲイン(売却益)なども、すべて確定しているものではありません。

繰り上げ返済は確実だが、運用は不確実なので、銀行員としては確実な方をおすすめするのです。

不確実とは言いましたが、それだからこそ投資や運用の妙味もあるわけで、銀行員として投資や運用を全否定するつもりはありません。

繰り上げ返済効果をシミュレーションしてみる

繰り上げ返済の効果をシミュレーションで見てみましょう。

純粋に効果を測るため、

  • 全期間固定金利
  • 毎月〇万円ずつ積み立てる
  • 1年分を毎年繰り上げ返済する

繰り上げ返済して期間(返済回数を減らす)という方法です。

毎回返済額を減らす、回数はそのままという方法もあります。

繰り上げ返済をいつ、いくらするかは人それぞれですので、自由にシミュレーションしてください。

繰り上げ返済シミュレーションの前提条件

  • 借入金額:3,000万円
  • 返済期間:35年・ボーナス返済なし
  • 返済から10年経過し、残り年数は25年
  • 借入金利:固定金利・年1.360%(*みずほ銀行金利を参考)
  • 毎回の積立には金利は付かないと仮定

全く繰り上げ返済しなかった場合

上記の前提条件で、まったく繰り上げ返済しなかった場合は以下のようになります。

  • 住宅ローンの残高:22,830,170円(繰り上げ返済前)
  • 残り返済回数:300回(25年0ヵ月)

このローンが、繰り上げ返済によってどうなっていくでしょうか?

参照:
金融広報中央委員会「知るぽると」

Mizuho Bank, Ltd.「みずほ住宅ローン金利一覧」

銀行のサイトなどで繰り上げ返済シミュレーションも多くありますので、自分に合ったものを探してみるのも良いでしょう。

シミュレーション1:毎月1万円積立して、毎年繰り上げ返済

  • 繰り上げ返済額:120,000円
  • 住宅ローンの残高:22,646,233円(繰り上げ返済後)
  • 残り返済回数:299回(24年11ヵ月)
  • 減少する利息額:48,289円

毎月1万円積み立てて、そのまま1年分の12万円を繰り上げ返済すると、返済回数では1回の短縮にとどまりますが、それでも利息は減少します。

効果は決して小さくないと言えます。

シミュレーション2:毎月10万円積立して、毎年繰り上げ返済

  • 繰り上げ返済額:1,200,000円
  • 住宅ローンの残高:21,566,233円(繰り上げ返済後)
  • 残り返済回数:282回(23年6ヵ月)
  • 減少する利息額:467,003円

100万円以上繰り上げ返済すると、効果もより大きくなることがわかります。

シミュレーション3:毎月30万円積立して、毎年繰り上げ返済

  • 繰り上げ返済額:3,600,000円
  • 住宅ローンの残高:19,166,233円(繰り上げ返済後)
  • 残り返済回数:246回(20年6ヵ月)
  • 減少する利息額:1,299,416円

繰り上げ返済の効果も相当大きく実感でき「返しがいがある」と言えます。

効果の比較表

シミュレーション結果から、繰り上げ返済の効果を一覧表で比較してみましょう。

シミュレーション結果残り返済回数(メリット)減少する利息額(メリット)
繰り上げ返済しない場合300回
毎月1万円 → 全額繰り上げ返済299回(▲1回)▲48,289円
毎月10万円 → 全額繰り上げ返済282回(▲18回)▲467,003円
毎月30万円 → 全額繰り上げ返済246回(▲54回)▲1,299,416円

 

住宅ローン繰り上げ返済の注意点1:団体信用生命保険も考えて決断する

住宅を購入する際にローンを組んだ場合に、そのローンの年末残高の0.7%をその年の所得税の額から差し引くのが住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)です。

繰り上げ返済して期間を短縮したために、住宅ローン減税を受けられなくなる可能性もありますので、注意が必要です。

参照:財務省

住宅ローン繰り上げ返済の注意点2:団体信用生命保険も考えて決断する

団体信用生命保険は、住宅ローンの返済途中で借りている人が死亡または高度障害状態になった場合、生命保険でローンの残債を立替払いしてもらえる仕組みです。

保険料は毎月の返済に含まれて分割払込しているもので、ある意味「自分に万一のとき、住宅ローンが全額返済できる保険に加入している」とも言えます。

「団体信用生命保険があるし、金利も記録的な低金利だから、ほとんど金利ゼロでローンを借りているようなものだから、繰り上げ返済なんてもったいない!」

といった口コミを見受けますが、ある点では一つの考え方でしょう。

参照:一般財団法人住宅金融普及協会

繰り上げ返済の効果

シミュレーション結果を比較したとおり、より多く繰り上げ返済すれば効果も大きくなると言うことがわかります。

例えば360万円を返済した場合の利息減少効果は約130万円です。

もちろんこれは最終回までトータルしてのメリットなので、繰り上げ返済した瞬間に130万円が戻ってくるわけではありません。

しかし、これはゆるぎない事実であり、投資と比較する大きな材料となります。執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)

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