KDDIの通信障害から始まった先週ですが、底堅い動きも見せつつ、上値も重いという展開で金曜日を迎えました。
ETFの分配金捻出による1兆円にも及ぶ課金売りが出ると想定されており、様子見ムードが漂っている中、中国の景気対策で地方に30兆円を配るというインフラ投資での景気回復の思惑です。
米国欧州共に株価は上昇し、日経もその流れを受けて、1兆円の課金売りを帳消しにするほど底堅く推移し、買い優勢の展開でした。
しかし、急展開したのは8日金曜日の後場。
お昼休みには報道で安倍元総理大臣の襲撃事件が流れ、先物は下がり、為替は一気に円高に進みました。
容態が心配される中始まった後場は、窓を開けて陰線となり、前場の上げ幅を縮小していきました。後場のザラ場中には防弾チョッキの思惑で3101東洋紡が大きく上昇。
いずれにしても、日経平均株価は2万7000円の節目を前に失速し、上髭を付けて終え、週明けの展開が待たれるところです。
どのような事件があっても、チャートは止まるべきところで止まり、その場所を超えていけたら新しいトレンドの始まりとなります。
米国雇用統計は、市場予想が27.6万人でしたが、結果は37.2万人増となり、米国債利回りが上昇しています。強い雇用統計の結果を受けて、次回FOMCで0.75%の利上げの可能性が強まりました。
今週はインフレ懸念継続から、13日の消費者物価指数の発表に関心が高まっています。
7月第1週の海外投資家動向は現物3673億円の売り越しで、先物は984億円の買い越し、合計2688億円の売り越しとなり、3週連続の売り越しとなりました。
SQ値は2万6659円で、8日終値は2万6517円ですので、SQ値より下でした。
SQ値が上値抵抗となるのか、それともそこを下値支持とするのか、月曜日の株価を確認しましょう。
【今週の日経平均を考える】7月8日ETF分配金捻出売りに警戒
チャート分析
チャートを細かく見ていきましょう。
日足の移動平均線
5日線は、上向きとなり、株価も5日線の上を推移しています。
25日線は、下向きとなり、金曜日に上髭で25日線にタッチしました。
75日線は、上向きから横ばいとなり、金曜日には若干下向きとなっています。月曜日には75日線を25日線が上からデットクロスしてそのまま乖離しています。
並び順は75日25日5日の並び順で、安定下降となっています。
機関投資家や海外の投資家が意識している200日線は、2万7700円処を下向きで推移しています。
トレンドライン
2万7000円処に重要な節目のラインがあり、そのラインと平行して下値メドのライン2万5500円があり、その中を推移しています。
下には3月15日高値2万5441円と16日安値2万4824円に開けた窓があります。7月4日5日に開けた窓は7日木曜日に埋めました。
上には6月10日13日に開けた窓、その上が6月9日10日に開けた窓があります。
一目均衡表
長く続いた雲のねじれ期間が、やっと解消されるという場面ですが、結局雲の下を推移し雲に触れることない一週間でした。
3営業日後に日々線が向きを変え、転換線も下向きとなる為、引き続き弱さがみえます。遅行線は、上下どちらにも動ける位置ですが、4営業日後に天底一致もありえる位置です。
次の雲のねじれは7月25日です。
ボリンジャーバンド
-1σからTPラインに戻しての週末入りです。バンドがそれぞれ均等に幅を保ち、波打っているのでBOX相場と見受けられます。
スローストキャスト
ちょうど50%の半分の値で角度のないゆっくりした動きで、上げ切らず下げ切らず、どっちつかずの一週間の推移でした。
MACDは、引き続き0ラインに到達せずに横ばいの状態です。ヒストグラムも大きく動くことなく、小さな動きにとどまっています。
月の満ち欠けですが、次回の満月は7月14日(スーパームーン)です。
総合判断
下値を切り上げてパラボリックが好転継続となり、底堅い展開となっています。
節目の2万7000円を超えて、その上の2万8000円でのBOXとなるのか、このまま2万7000円を超えられずにもみ合うのか、さてどうなるでしょうか。
参議院選挙や安倍元総理大臣死去の影響は、結局海外投資家によって日本のマーケットがどう動くのかにかかっていますから、海外投資家が政権をどう見ているのか判断の分かれ目だと思います。
安倍元総理大臣の死去でアベノミクスの流れから金融政策での金融緩和が縮小されるのではないかという思惑で、為替が円高に振れ、金利は上昇しています。
どこまで影響が出るのか誰にもわからないことですが、日本の経済にも政界にもそして外交でも影響力があった安倍元総理大臣のご冥福をお祈り申し上げます。
【今週の日経平均を考える】重要な節目ラインに到達し分かれ目の週