不動産を所有している人は、毎年固定資産税の支払いが発生しますが、年によって税額が変わることもあります。
また不動産所有者が亡くなった際は、相続人が代わりに固定資産税を支払わなければいけませんので、今回は固定資産税の計算方法と、相続が発生した際の手続きについて解説します。
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固定資産税とは
固定資産税は、土地や建物、償却資産などの固定資産を所有している場合に課される税金です。
納税義務者は、登記簿や土地補充課税台帳等に所有者として登録されている固定資産所有者であり、納める税額は保有している固定資産の資産価値に応じて算定されます。
固定資産税の納付先は固定資産の所在する市町村ですが、固定資産が東京都23区内に所在する場合には、都税として納税することになります。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、次の算式により税額を求めます。
課税標準額 × 税率=固定資産税
課税標準額とは、固定資産税を課税するために基準となる金額です。
・ 土地の評価額は地価公示価格等の7割相当とされており、
・ 建物については、再建築価格に建築年数分の価値の減少を加味した金額を評価額
とします。
土地・建物の評価額は3年ごとに評価替え(償却資産は毎年評価替え)を行うため、土地は周辺地域の相場が上昇すれば評価額は上がります。
一方、建物は年数が経過する分だけ老朽化しますので、基本的に評価額は上がりません。
評価額と課税標準額は同じケースが多いですが、土地・建物を居住用として使用している際は、評価額に減額補正を行った金額を課税標準額とすることがあります。
固定資産税の税率は、原則1.4%です、
しかし市町村は条例により、1.4%と異なる税率を適用することも可能であり、新築物件等を購入した際、一定期間税率を軽減する措置を適用する市町村も存在します。
そのため同じ価値の不動産を所有している場合でも、用途等によって納める固定資産税の金額は変わってきます。
固定資産税の納税方法
固定資産税の納期は、固定資産が所在する市町村の条例で定められており、原則は年に4回に分けて支払います。
納税通知書は市町村から納税義務者へ送付されますが、不動産が共有名義の場合は代表者に送付されます。
注意点としては、固定資産税は共有者全員が連帯して納付することになっていますので、代表者が固定資産税を支払っていない場合、他の所有者が代わりに固定資産税を納めなければなりません。
相続が発生した際の固定資産税の納付方法
固定資産税は、1月1日時点で不動産等を所有している人に対して課される税金です。
年の途中で相続が発生した場合、亡くなった人が1月1日時点で固定資産を保有していれば固定資産税の納税義務者となっていますので、相続人が代わりに固定資産税を支払うことになります。
相続登記手続きを行えば、翌年からは新しい所有者に納税通知書が送付されますが、相続が発生した年については、亡くなった人宛てに通知書が送られてきます。
なお特定の相続人が代表として固定資産税を支払う場合、市町村へ「相続人代表者届出書」を提出することにより、後日相続人代表者へ納税通知書が送ってもらうことも可能です。
代表者の手元に納税通知書が届きましたら、指定された期限までに固定資産税を納めてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)