育児休業に入ると、多くの場合は給与が支払われませんので、雇用保険制度からの「育児休業給付金」をもらいながら生活することとなります。
今回は、育児休業給付金の申請について解説します。
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育児休業給付金の対象者とは
原則として、
です。
(2020年8月1日以降の育児休業の場合、育休開始日前2年間に給与の支払基礎日数が11日以上の月が12か月に満たない場合は、給与の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として取り扱うことも可能)
この要件を満たしていれば、正社員に限らず、パートやアルバイトの方でも対象となります。
他方、育児休業給付金は性別不問で女性はもちろん、男性であっても対象となります。
男性の育児休業は女性と比べて短期間になる傾向がありますが、要件を満たすことで男性も対象となりますので忘れずに申請しましょう。
育児休業給付金はいつまでもらえる?
原則として、子供が1歳になるまでもらうことができます。
また、一定の延長要件にあてはまった場合には、最長で2歳までもらうことができます。
なお、一定の延長要件とは、
等です。
注意点は、当初から定員超過になるであろうと予想し、申し込みをしなかった場合は延長してもらうことができません。
他には、
・ 配偶者が死亡した場合
・ 離婚
・ 転勤(1年程度以上の別居)
があります。
実際の申請手続きは、ハローワークに2か月に1回(希望により1か月に1回も可能)行います。
会社または、育休取得者自身で申請することも可能です。
育児休業給付金の額とは
をもらうことができます。
ただし、6か月経過後は67%から50%に減額となります。
6か月間、6か月経過後共通のポイントとしては、育児休業給付金は非課税であることです。
よって、年間をとおして、給与が全く支払われなく、収入源が育児休業給付金のみである場合、所得税だけでなく住民税も課税されないことを意味します。
その部分での注意点として、例年、家族の「恒例行事」となりつつあるふるさと納税です。
2,000円の手数料は発生するものの、多くの世帯で活用されていますが、そもそも住民税が課税されない場合、(返礼品の恩恵はあるものの)税務的な恩恵はありませんので、注意が必要です。
参考までに、住民税は、住民税(所得割)の非課税限度額が45万円であることから、年間収入が100万円以下で他に所得がない場合、住民税(所得割)はかかりません。
ただし、年間収入が100万円以下であっても、市区町村によっては住民税(均等割)がかかってくる場合はあります。
育児休業給付金の申請期限
育児休業給付金に限った話ではありませんが、各種給付制度は申請期限を設けています。
育児休業給付金は初回の申請ついて、原則として4か月を経過する月の末日までとされています。
以前は天災その他提出しなかったことについてやむを得ない理由があるときに限り、期限後であっても受け付けることとなっていましたが、給付の公平性の観点から、期限内に申請できなかったとしても、2年の時効前であれば、給付対象となります。
年金の時効は5年であるのに対して、育児有業給付金は2年となりますが、給与収入がなくなり、2年間全く忘れていたということは通常考え難いですが、頭にはいれておきましょう。
育児休業に伴うさまざまな制度について理解しておこう
育児休業は育児休業給付金の他にも社会保険料の免除制度をはじめとした、多くの社会保険制度が活用可能です。
ただし、自動的にその恩恵を受けることはできず、全て申請しなければなりません。
どのような制度が活用可能かを整理しておくことで、生活設計の見通しを立てやすくなります。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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