介護施設の入所を考えたとき、有料老人ホームは費用的に難しいという悩みに行き詰ってしまうことも多いものです。
そこで今回は、要介護度3以上で申し込みができる最も安価な介護施設「特別養護老人ホーム」の費用にスポットをあてていきます。
特別養護老人ホームは、2種類
特別養護老人ホームは公的施設のため、料金も比較的安く抑えられるので、多くの方が、特別養護老人ホームを希望されています。
特別養護老人ホームは、2種類あるという事をご存じでしょうか。
1つは、大人数の利用者を1フロアーに集めて介護する「従来型特養」です。
もう1つは、1フロアーを10人前後に分けて、フロアーごとに少人数で介護する「ユニット型特養」です。
1フロアにつき、40~50人の従来型特養
従来型特養は、利用者が40~50人と多く職員も数が多いので、利用者同士や職員とさまざまな交流をもつことができます。
ユニット型に比べて、1つのフロアーで多くの職員が働いているので、利用者に何かあった時の緊急時は素早い対応がとれるので、安心です。
しかし、居室から出たらすぐに廊下で、少し離れた所に共有スペースか食堂があるため、死角が多く、職員の目が届かないということがあります。
居室は、多床室・個室と分かれています。
居室を出るとすぐに廊下になっていて、一見すると病院のような雰囲気です。
従来型の個室は、病気の疾患が重くても自分の意思疎通をはっきりとされている方が、個室を利用している方が多い傾向にあります。
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
1フロアーを10名程度のユニット型特養
ユニット型特養は、1フロアーを10名程度の利用者に分けて介護を行っています。
このユニット型は、福祉大国スウェーデンで生まれた介護のやり方を取り入れた方式で、個人のプライバシーを重視しており、新しいタイプの特養として新型特養とも呼ばれています。
構造は、共有スペース兼食堂を真ん中に配置して、周囲には、利用者の居室が作られています。
共有スペースに職員を配置することで、利用者の動きが一目で分かるようになっています。
個人のプライバシーを重視するという意味で個室が多いのが特徴です。
1フロアー10人前後の利用者しかいないので、利用者同士の人間関係は濃くなりやすく、職員とも深い関係が作れます。
しかし、職員の配置人数は従来型と比べて少ない人数のため、1人の利用者に手をとられてしまうと、見守りや業務に大きな支障をきたしてしまうのがデメリットです。
居室は、多床室より個室が多くなっているのが特徴です。
真ん中の共有スペースに職員がいるので利用者の動きが分かりやすく、部屋に閉じこもりがちな時でも声掛けしたり気にかけやすい配置になっています。
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
従来型とユニット型の気になる料金
介護費用については、利用者の所得で計算します。(同居している家族がいれば、家族の所得も確認されます。同居している家族が働いている場合には、通常料金の第4段階になることがあります。)
参照:厚生労働省(pdf)
従来型・ユニット型といっても基本的には特養なので、料金の決定は所得・居室のタイプ・要介護度で決まっています。
従来型特養は、昔からある大人数の利用者を集めて介護するタイプの特養なので、その分料金は安くなっています。
ユニット型は、利用者を少人数にわけて介護を行い、利用者のプライバシーや家と同じ生活ができるように、配慮された構造・仕組みとなっています。
そのため、料金も従来型に比べて高くなります。
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
また、特別養護老人ホームは施設介護なので、施設サービス費というものがかかってきます。
施設サービス費は要介護度で決まっています。
要介護度5、従来型の多床室であれば、1日829円になります。
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
特別養護老人ホームの利用料金の計算方法
特別養護老人ホームの費用の計算方法は、次の通りです。
レクリエーションの際に、材料費や散髪代は別にお金をとられますが、オムツ・パット代は施設持ちとなっています。
所得によって料金が変わってきますので、所得が少ない方は月額費用もさらに安い金額で済みます。
一時金もないので、金銭的な負担は少なく安心です。
実際のユニット(個室)型特別養護老人ホームの料金表
≪画像元:社会福祉法人巡音会 特別養護老人ホーム≫
介護費用と本人の暮らし方に合わせて検討する
毎月の利用料金を安くしたい方やたくさんの方と交流したい利用者の方の場合は、従来型がおすすめです。
料金は少し高くなっても少人数でゆったりとした空間で介護を希望する場合は、ユニット型を選ぶとよいでしょう。
施設内で行っているイベントやレクに関しては、従来型もユニット型も大きな差はありません。
介護費用と本人の暮らし方に合わせて検討することで、安心して入所することができます。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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