所得税の確定申告書はパソコンやスマホから作成できますし、e-Taxを利用することで自宅に居ながら申告書を提出できます。
e-Taxの利便性は年々向上していますので、混雑する税務署へ行くのを避けるためにe-Taxを使ってみるのも選択肢です。
今回は、e-Taxで令和3年分の確定申告をする際の変更点を3つご紹介します。
※本記事は12月24日時点の情報をもとに作成しています。
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ICカードリーダライタを使わずにe-Tax送信が可能に
令和4年1月上旬以降に提出する令和3年分確定申告から、パソコン・スマホのアプリ表示される2次元バーコード(QRコード)を読み込むことで、ICカードリーダライタを使用せずにマイナンバーカード方式でe-Tax申告ができるようになります。
パソコンやスマホで確定申告書を作成することは、令和2年分の確定申告以前から可能でした。
しかしマイナンバーカード方式でe-Tax申告をする場合、ICカードリーダライタを用意しなければいけなかったのは大変面倒でした。
「ICカードリーダライタ」とは、ICカードに記録された電子情報を読み込むための機器で、マイナンバーカードをICカードリーダライタと接続することで、e-Tax申告が可能になります。
ただICカードリーダライタは確定申告以外で利用することはほとんどありませんし、住宅ローン控除や医療費控除など、1回だけの申告をするために購入するのはもったいないので、e-Tax申告をしていない人も多かったと思います。
今回の仕様変更によりICカードリーダライタが不要になったのは、単純に準備する機器が少なくなったことを意味しますので、利用者にとっては大きな改善点です。
源泉徴収票をスマホカメラで読み込み可能!
スマホでe-Tax申告を使用する場合、数字の入力が面倒でしたし、入力する場所を間違えると正しく計算ができませんでした。
しかし令和4年1月上旬からは、給与所得の源泉徴収票をスマホカメラで撮影すると情報を自動入力してくれるため、入力作業を省略できるようになります。
年末調整が完了している人が医療費控除や寄附金控除を申告する場合、入力する手間が少なくなりますので、より手軽に申告書が作成できます。
スマホ申告できる範囲が拡大する
e-Tax申告はパソコンとスマホどちらからでも可能でしたが、スマホから申告するためには所得の種類などの範囲が決まっていました。
しかし令和3年分確定申告からは、特定口座年間取引報告書の内容を申告する場合も対象になるなど、スマホ申告の範囲が拡大されます。
スマホ申告の対象範囲
対象となる所得の範囲
- 給与所得
- 雑所得
- 一時所得
- 特定口座年間取引報告書
- (上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)
- 上場株式等の譲渡損失額
- (前年繰り越し分)
所得控除・税額控除の範囲
- すべての所得控除
- 政党等寄附金特別控除
- 災害減免額
- 外国税額控除
- 予定納税額
- 本年で差し引く繰越損失額
新たにスマホ申告可能になった項目は、株式関係の所得と外国税額控除です。
上場株式の売却損失が発生した場合、申告することで損失額を最大3年繰り越すことが可能なので、会社員・公務員の方はスマホから譲渡損失の繰越申告ができるようになります。
一方で、事業所得や不動産所得、不動産売却した際の譲渡所得などについてはスマホ申告できませんので、パソコンで申告書を作成してください。
確定申告準備はお早めに
確定申告書の作成は不慣れだと意外と時間がかかりますし、納税申告の場合は申告期限までに申告書を提出しなければいけません。
申告期限と納税期限は同日なので、申告期限ギリギリに申告書を作成すると納税が間に合わなくなる可能性もあります。
還付申告の場合、書面申告よりも還付金の振り込みが早くなりますので、交通費や郵便料金の節約する観点からも、e-Taxへの挑戦もご検討してみてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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