投資信託を購入する際に多くの方が確認するポイントとして、ファンドごとの「手数料」が挙げられると思います。
投資信託にかかる手数料は大まかに
(1) 購入手数料
(2) 信託報酬(運用手数料)
(3) 信託財産留保額(売却時手数料)
の3つがあります。
当然ながら「手数料 = 経費」なので安いファンドに人気が集まります。
手数料についての解説は、さまざまなところでされているので、注目ポイントとして理解されている方も多いのではないでしょうか。
人気のファンドについては、基本的にこれらの手数料も割安なファンドが多いです。
・ 楽天シリーズ
・ eMAXIS Slimシリーズ
など、とりあえず人気の指数連動型インデックスファンドを購入していれば問題はありません。
これらのファンドを購入する際はたいして気にする必要はありませんが、投資に慣れてくれば自分でもファンドを吟味したくなるのが人の心というもの。
初心者から中級者への脱皮ですね。
今回は自身でファンドを選ぶ際に、「手数料」以外にも確認しておきたい2つのポイントについて解説したいと思います。
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ポイント1:基準価格
まず1つ目のポイントが、基準価格です。
基準価格とは、その名の通り現時点でのファンドの価格です。
基準価格の高いファンドを購入する場合はより多くの金額が必要になりますし、逆に基準価格が安いファンドは安い金額で購入することが可能です。
多くの方が毎月積立を実践されているかと思います。
この場合は
・ 基準価格が安いファンド = 多くの口数を購入可能
・ 基準価格が高いファンド = 購入できる口数が少なくなる
となります。
ですがここで確認していただきたいのは、基準価格の「高い・安い」ではありません。
確かに基準価格の安いファンドの方が、多くの口数を購入できるのでお得感はあります。
しかし、もともと基準価格の安いファンドは、値上がりしてもより基準価格の高いファンドを追い抜くことはありません。
同じ指数に連動していれば、現時点での基準価格の高い・安いは気にする必要はありません。
気にするべきは指数との「乖離率」
気にするべきは、連動している指数との「乖離率」です。
指数とは「日経225」や「TOPIX」、「S&P500」など、そのファンドが参考(ベンチマーク)とする特定の銘柄群の動きを指します。
S&P500は多くの方が聞いたことある、もしくは実際に投資している指数ではないでしょうか。
大事なのはこの指数とそのファンドの基準価格との乖離率、つまりどれだけ同じ動きをしているかということです。
単純に基準価格が右肩上がりだと、ずっと価格が上昇しているということになりますので、一見良いファンドの様に思えますが、そういうわけではありません。
指数との乖離率が大きくなってしまうと、暴落時により大きなダメージを受けてしまう可能性が高くなってしまいます。
インデックスファンドとは、参考とする指数と連動するように設定されているファンドです。
その指数との乖離が少ない方が、より忠実に指数に連動していることとなりますので良いファンドと言えます。
S&P500をベンチマークとするインデックスファンドならば
・ S&P500が上昇したならば、その上昇と同じ分だけ基準価格も上がる
・ S&P500が下落したならば、同様に同じ分だけ基準価格も下がる
といったように、その指数との乖離が少ない方がより良いファンドという訳です。
アクティブファンドは「指数に勝つこと」を目標としている
対してアクティブファンドの場合は、指数に勝つことを目標としています。
その分、手数料が割高です。
アクティブファンドを検討する際は
・ 下落時は指数よりもより低い下落率
を出せているかがポイントです。
これが達成できていないのであれば、高い手数料を払う必要はありませんので、購入するべきファンドではないということになります。
まとめ:「基準価格」に関するポイント
ここまでをまとめますと、基準価格を見る際のポイントは、ベンチマークとする指数との乖離率です。
アクティブファンド:指数を超える上昇率、指数よりも少ない下落率
を目安としていただければ結構です。
ポイント2:純資産総額
2つ目のポイントが純資産総額です。
これは、そのファンドに預けられた資産の総額のことです。
より多くの資金が投資されていれば純資産総額は大きくなりますし、逆にあまり投資されていなければ純資産総額は小さくなります。
言い換えると、そのファンドの「人気度」みたいなイメージです。
これも単純に多ければ良しというわけではありません。
その純資産総額の動きが大事です。
良いファンドの純資産総の動きは、右肩上がりです。
純資産総額が右肩上がりということは、人気が人気を呼びどんどん多くの人が投資している状況です。
積立であれば途中で停止や売却することなく、継続している人が多いという状態を指します。
逆に純資産総額が横ばいだったり下がっているファンドの場合は、投資家が資金を引き出していることになりますので、不安が残ります。
純資産総額を元手に各ファンドは運用を行っています。
純資産総額が大きいファンドはより多くの資金で運用することが可能ですが、純資産総額が下がっていると思い通りの運用ができなくなってしまいます。
思い通りの運用ができないと利益を出すこともままならなくなりますし、最悪の場合、償還(運用終了)となり強制的に現金化されてしまうことになります。
長期的に運用していく(利益を出していく)ためには、この純資産総額がしっかりと上昇していることが大事です。
冒頭にも紹介した、SBI・Vシリーズや楽天シリーズなどの人気インデックスファンドの純資産総額は、上昇し続けています。
つまりこれらのファンドを購入する際は、あまり気にする必要はありません。
注意点
しかし、自身でインデックスファンドやアクティブファンドを探す際は、気にしていただきたい指標です。
特にアクティブファンドを検討されている方は要注意です。
この純資産総額が右肩上がりを描いていない、もしくは下がっているファンドは避けた方が無難でしょう。
まとめ:「純資産総額」に関するポイント
多くの投資家が投資したいファンドと認めた証である、純資産総額右肩上がりのファンドに投資するようにしましょう。
自身でファンドを探したい中級者ほど注意
人気インデックスファンドについては、これまで解説してきた基準価格も純資産総額も、あまり気にする必要はありません。
指数と基準価格の乖離も低いですし、純資産総額も右肩上がりです。
優良ファンドだからこそ至る所で紹介され、人気が出るわけです。
ですが自身でファンド選定をしたい中級者ほど、しっかりとこの2つのポイントを押さえておくべきです。
・ 基準価格がベンチマークとする指数と同じ動きをしているか(アクティブファンドの場合は指数を超える上昇率、低い下落率を達成できているか)
・ 純資産総額が増え続けているか
これら2点をしっかりと確認した上でファンド選びをしていただければ、大きな失敗はないかと思います。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)
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