「やっぱり株と債券の両方に投資した方が良いのかな?」
「長期的に見ると株の方が利益が出そうだけど…」
積立NISAを始めたばかりの初心者ほど、どのファンドに投資したら良いのか悩むものです。
ちまたにもさまざまな情報があふれています。
本、雑誌、テレビ、YouTubeなど多くのメディアが投資情報を扱っています。
投資方針が固まっていない人ほど、組み入れファンドに悩むのも無理はありません。
「株式ファンドはリスクが高く、債券ファンドは安定的」という情報は、多くの方が聞いたことあるフレーズだと思います。
今回は初心者にも人気の積立NISAについて、どの程度債券ファンドを組み入れたら良いのかについて解説したいと思います。
厳密にいうと株式ファンド、債券ファンド以外にもREIT(不動産)やコモディティ商品(金、銀、原油など)に投資するファンドも存在しますが、今回は初心者向けに株式と債券に限って解説します。
なお、投資はあくまでもご自身の判断で行うものです。
FP歴10年の考え方を解説しますが、最終判断はご自身でお願い致します。
さて、結論から申し上げましょう。
それ以上の年齢の方でも、投資期間10年以上を想定されている方や、ある程度の資産をお持ちの方は株式ファンドのみで良いでしょう。
以下、順番に解説していきます。
積立投資は毎月いくらが正解か?鍵は「非課税枠の使い切り」にあり
株式と債券の特徴と違い
1番大きな理由が、株式ファンドと債券ファンドの値動きの差にあります。
冒頭にもお伝えしましたが
・ 株式ファンド = 値動きが激しく上がり下がりを繰り返す
・ 債券ファンド = 値動きが安定しており、大きく上がることもないが、暴落時にも強い
というのが大まかな両ファンドの特徴です。
積立のメリットは「値動き」にあり
ここで考えていただきたいのが、積立することのメリットです。
メリット1:ドルコスト平均法を活かして毎月一定額を購入することにより、購入価格を平均化させる
メリット2:価格が上がった時には少ない口数しか購入できないが、下がった時にはより多くの口数を購入できる
つまり、
ということです。
値動きが安定している債券ファンドを毎月積立しても口数が安定的に増えていくだけで、銀行に定期積立をしているのと大きな差が生まれません。
もちろん厳密には違いますが、積立のメリットが活かせなくなってしまいます。
対して株式ファンドだと値動きがあります。
大きく上がる時もあれば、逆に暴落することもあります。
この暴落がチャンスなのです。
同じ投資金額でもこれまで以上に多くの口数を購入でき、次の値上がりに備えられます。
無事に価格が戻ってきた時には、暴落を経験していないファンドと比べて多くの口数を購入できているので、利益もその分大きくなるということです。
これが毎月積立することの醍醐味です。
せっかく時間をかけて積立していくのですから、そのメリットを最大限享受できる方が良いと考えますが、いかがでしょうか。
ちなみに初心者から上級者にも人気の米国株式ファンド(S&P500や全米株式)はこれまで幾度となく暴落を経験しています。
ですが、長くても数年で暴落前の価格を回復し、今でも成長を続けています。
今後もどこかのタイミングで暴落が訪れるでしょうが、その時に投資を継続できた人が大きな利益を得られます。
暴落時に多くの口数を購入することができるからです。
10年以上の投資期間をみられる人なら暴落後の回復、高値更新局面まで投資を継続できるでしょう。
値動きがあるからこそ利益を得られるのです。
積立NISAは運用益が非課税!利益が出ないとそのメリットはない
積立NISAが人気の理由に、運用益が非課税という点があります。
通常だと、運用益の約20%に税金がかかります。
例えば100万円の運用益が出た場合、そこから20万円は税金として差し引かれて、手元に残るのは80万円ということになります。
ですが積立NISAだと非課税になりますので、運用益100万円がそのまま手元に残ります。
この運用益非課税というメリットを活かすためには、利益を出す必要があります。
債券ファンドだと安定性が高いために、大きな利益は見込めません。
逆に株式ファンドだと値動きが大きいため、利益を見込めます。
非課税の恩恵を受けることができる可能性が高いのは、いうまでもなく株式ファンドの方です。
ポートフォリオは投資だけで組む必要なし、給与や銀行口座は安定性バツグンの資産
債券ファンドを組み入れるべき理由としてよく挙げられるのが、「ポートフォリオの安定性」の考え方です。
「株式ファンドのみだと、暴落時に受けるダメージが大きくなります」
「資産の下落を和らげるために、債券ファンドを組み入れておきましょう」
というのがその内容ですが、これは証券口座内(積立NISA内)の資産だけで考えた理論です。
当然のことながら、家庭の全ての資産を積立NISAに入れているわけではありません。
銀行口座に預金もあるでしょうし、貯蓄型保険を持っている人もいるでしょう。
人によっては財形貯蓄などをしているかもしれませんし、何よりも毎月の給与(収入)もあるわけです。
これらは全て安定的な資産となるものです。
・ 安定的な資産として銀行預金など
・ 毎月の収入としての給与
といった形で、家計全般でポートフォリオを考えれば問題ないでしょう。
株式ファンド100%の積立NISA、一見するとかなり高リスクに思えますが、他に銀行預金や給与などの安定的な資産があると考えればいかがでしょうか。
違った景色が見えてくるかと思います。
若い人ほど株式ファンドの比重を高めに!資産取り崩し期に債券の活用を
これまで解説してきた通り、若い人ほど株式ファンドの比率を高めに設定されることをおすすめします。
30代や40代の方だと、株式ファンド100%でも問題ないかもしれません。
かく言う私も株式ファンド100%の構成です。
50代を超えてくると債券比率を高めに設定する選択肢も出てきますが、しっかりとした銀行預金をお持ちの方や、1,000万円以上の退職金を見込める方は株式ファンド高めの比率で問題ないかと思います。
資産取り崩しの時期(老後など)に入ってくると債券比率を高めに設定し、安定性を高める方が得策と考えます。
得られる収入が少ない状態で資産が大きく変動するのは、精神的に耐えられないかもしれません。
この段階までくると「増やす」ことより「いかに長く使うか」に視点を置く方が良いでしょう。
・ 資産形成期はリスクを取り、株式比率高め
・ 資産取り崩し期はより安定的に長く使うことを念頭に、債券比率高め
積立NISA内のみでの安定性を考えるのではなく、人生のステージによって比率を変えることをおすすめします。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)
投資信託を購入する時に確認しておきたい指標「シャープレシオ」