住宅ローン控除や教育資金の非課税制度は、適用期間が定められているのはご存じでしょうか。
皆さんが知っている特例制度でも、社会情勢などの変化により制度内容が変更したり、制度自体が終了することもあります。
本記事では、特例制度が延長・廃止がどのタイミングで決断されるのか、また適用期間が延長する特例の特徴を解説します。
【実録】10年目の悲劇!戸建てマイホームの巨額メンテナンス費用 総額100万円の内訳
期間限定の特例は終了するタイミングで延長の協議が行われる
税金関係の法律は、毎年改正・延長・廃止の協議が行われており、延長については毎年年末ごろに法律の改正案が出され、年明けの国会の審議を経た後、3月31日までに法案が可決(否決)されます。
適用期間が決まっている法律は「時限立法」といい、期限が過ぎるとその制度は終了します。
教育資金の非課税制度の適用期間は、当初平成25年4月1日から平成27年12月31日まででしたが、何度か適用期間の延長が行われ、執筆時点の特例の適用期限は令和5年3月31日です。
令和5年3月31日に期間が終了する制度であれば、令和4年の年末までに特例制度の延長についての情報が出てくる一方で、延長の話がない場合は法律で定められている期限をもって特例制度は終了となります。
長年存在する特例制度の適用期間は基本的に延長する
時限立法の制度は期限が到来する都度審議されるため、制度自体が終了する可能性は毎回ありますが、長年存在する特例制度は適用期間が延長する可能性が高いです。
住宅ローン控除は、登場してから20年以上経過している現在でも存在する特例制度で、令和3年時点の法律上では、令和3年12月31日までに居住した物件を対象としています。
ただ年末の税制改正大綱案で延長案が提示され、適用期間が延長される可能性は高いと考えられますので、翌年以後も引き続き住宅ローン控除は適用できると思われます。
特殊な特例制度は適用期間が延長されない可能性がある
昔から存在する特例制度の適用期間は延長されやすい一方で、新設された特例制度は延長されずに終了する可能性があります。
たとえば不動産を売却した際に適用できる1,000万円控除(租法35条の2)は、平成21年1月1日から平成22年12月31日に購入した不動産を売却した場合に適用できる特例制度で、要件を満たせば、現在でも1,000万円控除は適用可能です。
しかし適用要件である購入時期は、平成21・22年のみですので、今から購入する不動産に1,000万円控除を適用することはできず、わずか2年間を対象とした特例となっています。
このように特殊な特例制度や特定の目的があって新設された特例制度は、当初設定された期間のみで終了する可能性があります。
今ではなく将来特例制度を利用したいと考えている場合、期間延長が行われるかは必ずご確認ください。
期間延長する際に内容が変更している場合もあるので要注意
特例制度の適用期間が延長された場合でも、適用要件が変更になるケースは意外と多いです。
住宅ローン控除であれば、控除額の上限が変更することはよくあることで、控除額が縮小すると思いきや、消費税の増税のタイミングで大幅に控除額の枠が拡大したこともありました。
特例制度は適用する時点の法律に基づき適用の可否判定を行いますので、節税手段として特例制度を用いる際は、最新情報を確認して適用するかご判断ください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)