税金相談で役所や税務署に連絡した際、何度も電話を転送された経験はないでしょうか。
私は税務署に10年以上勤務していましたが、そもそも国税組織の電話相談体制の仕組み自体が、たらい回しの状況を引き起こしやすいのではないかと思います。
そのため本記事では、税金の担当者とすぐに相談できない理由と、電話をたらい回しにされないための方法をご紹介します。
税務署の電話番号にかけても相談センターに電話はつながる
税務署の電話番号にかけた場合、最初に自動音声が流れ、
・ 税務署に用件がある場合は「2」
を選択するように指示されます。
税務署の代表電話番号で直接税務署に問い合わせはできず、自動音声で「1」を選ぶと、税務署ではなく相談センターの職員に電話はつながります。
最初から管轄税務署に税金相談をしたい場合には、「1」ではなく「2」を選択するようにしてください。
ちなみに本記事の執筆時点では、自動音声で「3」を選択すると「消費税軽減税率・インボイス制度電話相談センター」につながり、確定申告期間では確定申告相談の選択肢として「0」が登場します。
相談センターの職員は個別相談の回答はしない
国税組織は電話相談の効率化を図るために、一般相談は相談センターの職員、個別相談は管轄の税務署職員が対応する相談体制にしています。
確定申告の時期や各税金の税率や控除内容などについては、相談センターへ問い合わせても回答しますので、自動音声で「1」を選択して問題ありません。
ただ特例制度の具体的な要件や複雑な相談については、管轄税務署の職員が回答することになるため、相談センターの職員へ質問事項を伝えたとしても、電話が転送され税務署職員が回答します。
また税務署の電話は最初に電話交換手が対応し、その後に担当職員へ電話がつながるため、電話をたらい回しされている感覚になります。
税務署職員は自分の担当税目の相談のみを対応する
税務署には個人課税部門や法人課税部門が存在し、各部門で担当する税目が決まっています。
たとえば個人課税部門は所得税を担当している部署ですが、所得区分の1つである不動産の譲渡所得を担当しているのは資産課税部門です。
(規模の小さい税務署は、資産課税部門がないこともあります。)
不動産の売却した際の税金について相談するために電話した場合、電話交換手に「所得税の相談」と伝えると電話は個人課税部門につながりますが、不動産の譲渡所得の担当は資産課税部門です。
そのため相談センターではなく税務署に電話がつながったとしても、電話は転送される可能性があります。
電話相談する際はできるだけ相談事項を明確にすること
電話相談でたらい回しにされないための対策としては、どの税金について聞きたいか明確にしておくことがポイントです。
ただどんな税金がかされるのか不明なので、税務署に電話相談される方もいらっしゃると思います。
そのような場合は自動音声で「1」を選択し、相談センターの職員に状況説明をしてください。
担当部署に電話が転送される可能性もありますが、相談受付だと思って割り切りましょう。
なお最初から税務署職員に相談したい場合は、自動音声で「2」を選択して電話交換手に税金の種類または税目を伝えば、担当部署の職員が応対します。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
年末調整で間違いやすいポイント3つ 所得控除の要件はしっかり確認しよう