給付型奨学金というと日本学生支援機構の制度がメインとなっていますが、実は民間でも様々な団体が給付型奨学金事業を行っています。
貸与型奨学金は卒業してからの返済が負担となり、社会人になって苦労している人も少なくありません。
貸与型よりは成績や世帯収入などの内容が厳しくなるものもありますが、返済の必要がない給付型奨学金は将来的にも非常に助かる制度です。
今回は民間の団体が行う給付型奨学金事業の一部をご紹介します。
既に今年度は受付を締め切ったものも含まれています。
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公益財団法人 コカ・コーラ教育・環境財団「奨学支援事業」
2007年6月に設立されたこの財団は、次世代を担う青少年の育成と彼らを取り巻く地域社会を支える人材の育成を目的として「環境教育」「奨学支援」「復興支援事業」などを実施しています。
中でも奨学支援事業については1966年から実施しており、2020年度より給付対象者を大学生に加えて大学院生にも拡充。
国際社会が求める人材育成に寄与する取り組みを継続しています。
高校生向け(大学進学者)
対象:
・学校教育法による日本国内の高等学校に在学し、2022年3月に卒業見込みの方
・2022年4月に学校教育法による日本国内の国立・公立・私立のいずれかの大学に進学する方
・環境問題への取り組みとして環境、特に地球・環境資源関連領域に係る興味のある方
・経済的支援を必要とする方
・20歳以下であること
給付金額:月額2万円(大学正規の最短修業年限支給)
給付人数:20人
応募方法:
アカウント登録後、オンライン応募フォームで申し込み
アカウント登録期間:2021年9月6日~10月18日
応募期間:2021年9月6日~10月31日
必要書類:成績証明書、住民票、家族の所得を証明する書類などが必要となります。
選考方法:成績、小論文、面接など
大学生向け(大学院進学者)
対象:
・学校教育法による日本国内の国立・公立・私立のいずれかの大学に在学し、2022年3月に卒業見込みの方(社会人大学生は除く)
・2022年4月に学校教育法による日本国内の国立・公立・私立いずれかの大学院修士課程に進学する方
・環境問題への取り組みとして「飲料容器に使用される資源(ペットボトル・プラスチック・アルミ・鉄・びんなど)」「水」「温室効果ガス」「再生可能エネルギー」のいずれかに係る学問を学ぶ方
・経済的支援を必要とする方
・26歳以下であること
給付金額:月額4万円(大学院(修士課程期間)、正規の最短修業年限支給)
給付人数:10人
応募方法、応募期間、必要書類、選考方法などは「高校生向け(大学進学者)」と同じ。
公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団の奨学金事業については以下の公式サイトをご確認ください。
一般社団法人 DAISO財団奨学金
100円ショップでおなじみのDAISOを展開する株式会社大創産業が2020年3月に設立した財団が行う奨学金事業です。
次世代を担う学生が経済的な理由で進学をあきらめることがないよう、安心して学業に専念できる環境作りに寄与することを目的としています。
学校経由ではなく、個人からの応募を受け付けており、学校の審査などがないため、誰でも応募しやすい奨学金となっています。
2022年度奨学生募集要項
対象:
2022年4月に日本国内の大学に入学する者(4年制の学部・学科に限る)で、経済的支援を必要としている。
向学心に富み学業優秀で品行方正、2022年4月1日現在20歳以下であること。
募集期間:2021年9月1日~10月31日
募集人数:50名程度
給付月額:2022年4月~2026年3月まで毎月5万円(年額60万円)
応募方法:財団ホームページ上にて必要情報を入力し、申請書類(成績表・世帯分の課税・非課税証明書(所得証明書)の原本)を登録、「大学で学びたいこと」をテーマとした600文字以内の小論文の提出が必要となります。※応募は本人からに限ります。
選考:申請書の内容に基づき選考委員会の選考を経て理事会で決定。
採用内定:選考結果は給付される方のみ2021年12月末日(予定)までに通知します。
一般社団法人DAISO財団の奨学事業については公式サイトをご確認ください。
公益財団法人 似鳥国際奨学財団
「お、ねだん以上。」のニトリで有名な(株)ニトリホールディングスの「公益財団法人似鳥国際奨学財団」が行っている奨学金制度です。
中学生、高校生、大学生、また外国人留学生も対象となっており、世界各国との友好親善やグローバルな人材育成への寄与を目的としています。
給付型奨学金の共通募集要項
エントリー期間:2021年7月7日~11月2日
選考内容:WEB願書登録、WEBテスト、書類・性格検査、面接など
最終結果通知:2022年2月
支給期間:2022年4月~2023年3月(支給期間中に卒業する人は卒業月まで)
日本人大学生対象 給付型奨学金
対象:日本国内の大学もしくは大学院に在籍/在籍予定の日本人の方
募集人数:最大100名(上期・下期合わせて)
支給金額:月額5~8万円
高校生対象 給付型奨学金
対象:日本国内の高等学校・高等専門学校に在籍/在籍予定の方
募集人数:最大150名(上期・下期合わせて)
支給金額:月額4万円
中学生対象 給付型奨学金
対象:ひとり親家庭で日本国内の中学校に在籍/在籍予定の方
募集人数:最大100名(上期・下期合わせて)
支給金額:月額3万円
外国人留学生対象 給付型奨学金
対象:日本国内の大学もしくは大学院に在籍/在籍予定の外国人私費留学生の方
募集人数:最大100名(上期・下期合わせて)
支給金額:月額5~8万円
公式サイトからエントリーができるようになっています。
「奨学生の義務」としてレポート提出や交流会への参加などもありますので、あらかじめ詳細を確認して応募するようにしましょう。
公益財団法人似鳥国際奨学財団の奨学金事業については公式サイトをご確認ください。
山田進太郎D&I財団
STEM(理系)高校生女子奨学金
2021年7月に設立された新しい財団で、設立者兼代表理事は株式会社メルカリ代表取締役(CEO)の山田進太郎氏。
まずはSTEM(理系)のジェンダーギャップに注目し、STEM分野を選択する女性を支援する奨学金事業をスタートさせることになりました。
2022年4月入学予定者の募集は終了しましたが、今後対象内容を広げていく可能性もあるので、こまめに情報をチェックしておくようにしましょう。
「2022年4月高校入学予定者の募集概要」※今回の募集は10月10日で終了しています。
募集期間:2021年8月4日(水)~9月30日(木)→10月10日(日)までに延長
対象:
・女性(性自認もしくは戸籍上の性別が女性の方)
・日本国内の高等学校理数科、令和3年度スーパーサイエンスハイスクール指定高等学校、または高等専門学校を受験し入学予定(中学校からの内部進学者を除く)
※奨学金対象校があるため、必ず以下のサイトでご確認ください。
支給金額(年額):国公立進学者25万円、私立進学者50万円
採用人数:最大100名程度(抽選制)
応募方法:エントリーフォームから応募(学校推薦は不要)
山田進太郎D&I財団「STEM(理系)高校生女子奨学金」の奨学金事業については公式サイトから確認ください。
公益財団法人 電通育英会
公益財団法人電通育英会では財団指定の国・公立高校から、指定の大学に進学した生徒に給付型奨学金を支給しています。
月額7万円だけでなく、奨学金とは別に受験等助成金や入学一時金、また海外留学や海外ボランティアなどの活動に対しても支援する制度が用意されています。
※2022年4月進学予定者の募集は終了しています。
大学奨学生(高校時予約・給付型)
募集要項(2022年度版)※受け付けは終了しています。
対象:財団が対象とする国・公立高等学校の3年に在学し、学業・人物ともに優秀であって、評定平均が4.0以上(小数点第2位四捨五入)で大学進学に際し学資の支弁が困難と認められ、財団の指定する大学(学部)への進学を希望する生徒。
給与所得、事業所得など所得の形態にかかわらず、家計の支払う住民税の課税所得の合計が350万円未満の家庭の生徒。指定大学については対象高校に配布する説明資料を参照してください。
応募書類の締め切り:2021年は6月11日(金)となっており、2022年4月入学予定者の応募は終了しています。
給付金額:
最長4年間、月額7万円
※奨学金とは別に内定者には受験等助成金として10万円、さらに入学一時金として30万円を最初の奨学金給付時に合わせて1回給付。
また大学入学後の海外留学や海外ボランティア活動に対して、奨学期間の4年間累計150万円まで支援する制度や、卒業後に大学院進学を希望する学生に限定した大学院奨学金制度も用意されています。
推薦者数:財団が対象とする国・公立高校から各1名(対象校は全国で154校)、両親がいない生徒については1名のみ追加推薦が可能です(成績は高校2年次までの評点平均3.5以上が条件)。
応募方法:願書や推薦書、成績証明書、住民票、住民税課税所得の通知書・証明書などの必要書類を在学高校経由で提出(個人からの直接応募は不可)
選考の流れ:7月中旬に書類選考→7月下旬から8月中旬に面接選考→8月下旬までに採否通知(内定)→翌年4月末までに採用決定
遵守・留意事項:年1回の生活報告書・成績表の提出、財団が実施するセミナー等への参加が義務付けられています。
大学院給付奨学制度
対象:
・財団の大学給付奨学生で、指定大学の大学院(修士課程)に進学見込みの学部3年生であること(指定大学であれば他の大学院や専攻分野の変更は可)。
・大学2年次までの成績が一定水準以上で、大学給付奨学生としての義務を十分に果たしていること。また将来に向けての明確なキャリア意識を持って大学院進学を希望していること。
給付金額:月額8万円の奨学金を大学院(修士課程)在学中、最長2年間給付します。
応募および選考の流れ:大学3年生の方を対象として1月初旬に大学院奨学生募集のご案内をマイページよりお知らせします。希望する場合は奨学金申込フォームから必要事項を入力のうえ、2月末までに応募してください。
応募書類をもとに書類・面接にて選考、6月に採用内定、大学院進学後に大学院在学証明書を提出して正式採用となります。
採用人数:30名程度
大学院奨学生の義務:
・大学院セミナー及び「奨学生の集い」への出席
・生活状況報告書及び成績証明書の提出(年1回)
・研究経過報告書の提出(年2回)
公益財団法人電通育英会の奨学事業については公式サイトで確認ください。
給付金型の奨学金事業を行う民間団体
公益財団法人 日本証券奨学財団
対象:
・財団が指定する大学に在籍する学部2年生、修士・専門職学位課程1年生または博士課程1年生(学部生22歳以下、修士・専門職学位課程生25歳以下、博士課程生28歳以下)
・ほかの奨学金(日本学生支援機構の貸与型奨学金および所属大学・大学院による学費免除、あるいは学費免除に相当する奨学金を除く)を受給または応募(予定を含む)をしていない者
給付金額:月額4万5千円(自宅外通学者は5万5千円)で期間は最短修業年限
採用人数:60名程度
応募方法:2021年度は5月7日までの間に大学を通して必要書類を提出(今年度は終了)。
必要書類とは奨学生願書一式、成績証明書、住民票など。
選考方法と決定:奨学生選考委員による書類審査および面接審査を経て委員会が選考し、理事会で決定。結果は6月中旬に大学学(総)長に通知します。
公式サイト:公益財団法人 日本証券奨学財団
公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団
対象:
・財団の指定する大学、学部、研究科に在籍している正規学生であること
・最短修業年限までの給費期間が1年以上見込まれる者
・日本人:出願する年の4月1日現在、4年制大学第2学年以上、大学院修士課程または博士課程に在学し、大学生は原則として満23歳以下、大学院生は満33歳以下であること
・留学生:出願する年の4月1日現在、4年制大学第2学年以上、大学院修士課程または博士課程に在学し、大学生は原則として満31歳以下、大学院生は満38歳以下であること
・健康で学業成績、人物ともに優れており、在学する学校長の推薦する者
・将来、民間企業・官公庁・学校等に勤務して、産業・文化面で活動し社会に貢献しようと志す者、またはこれらの活動に関する学術の研究を志す者
・学費の支弁が困難と認められる者(日本人の場合、父母の年収制限あり)
・財団主催行事への出席を優先できる者
・採用後、三菱UFJ信託銀行本店に本人が普通預金口座を開設できる者
給付金額:
大学生 月額3万5,000円
大学院生 月額5万5,000円
留学生大学生 月額7万円
留学生大学院生 月額10万円
奨学生として採用されたその年度の始期から在学する学校の正規の最短修業年限の終期まで給費します。
募集から選考までの流れ:3月中旬ごろ新規採用応募受付開始→5月下旬ごろ受付締切→6月中旬~下旬に採用決定
※募集要項は3月中旬に各大学の奨学金担当部署へ送付します。応募は必ずこの奨学金担当部署を通じて行ってください。
公式サイト:公益財団法人三菱UFJ信託奨学財団
Z会奨学金
対象:
・真に経済的援助を必要としており、学業・人物ともに優秀であること
・高校2年次までの成績評定平均値4.5以上
・Z会が指定する15大学への進学を希望する高校3年生
指定大学~北海道大学、東北大学、国際教養大学、千葉大学、東京大学、東京工業大学、お茶の水女子大学、一橋大学、横浜国立大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、九州大学
給付金額:入学一時金30万円と月額8万円の最大4年間で414万円
募集人数:5名
応募期間:2022年度奨学生受付は2021年3月15日~6月30日→延長して7月31日までとなっていました。
応募方法:生徒自身による個人直接応募
必要書類:成績証明書、所得証明書、住民票、論文(4,000字程度)など
選考と決定:書類選考、面接選考を経て2021年8月末に内定者を決定(2022年度奨学生の場合)、正式採用は大学入学が条件。
公式サイト:Z会奨学金事務局
公益財団法人 キーエンス財団
対象:
・2022年4月に日本の大学に入学する者(4年制の学部・学科生に限る。通信教育課程や夜間学部生、留学生を除く。)
・2022年4月1日現在、20歳以下である者
・経済的な支援を必要とする者
募集期間(予定):
一次選考 Web登録:2022年2月1日(火)~4月8日(金)午前10時
二次選考
書類:2022年4月14日(木)~4月27日(水)締切当日消印有効
Web登録:2022年4月14日(木)~4月27日(水)午前10時
応募方法:
一次選考→ホームページ上にて必要事項、小論文を登録(4月14日までに選考結果の通知あり)
二次選考→ホームページにて所定の小論文などを登録。学生証、在学証明書、住民票の写し、所得・課税証明書、健康保険証のコピーなどの必要書類を郵送。
選考・採用内定:応募いただいたデータおよび書類をもって財団の奨学生選考委員により選考、二次選考の選考結果は6月中旬までに本人に通知します。
公式サイト:公益財団法人
返済なしの給付型奨学金
対象年齢(学年)や対象となる学校、本人の成績や世帯所得、採用されてからのルールなど、それぞれに違いはあるものの、上記以外にも幅広い分野の民間団体が様々な奨学金事業を行っています。
まずはネットや学校で情報を集めることが重要なポイント。
選考基準に当てはまるような給付型奨学金があれば、積極的に応募してみるといいでしょう。
※日本学生支援機構の給付型奨学金や他の団体の奨学金とは併用不可のものもあるので、必ず各団体のHPなどで詳細をご確認ください。(執筆者:藤 なつき)
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