家庭の大黒柱が亡くなってしまった場合、悲しみはもちろんですが、経済的にも大変になることもあるでしょう。
そのような時のための公的年金に、遺族基礎年金や遺族厚生年金があります。
しかし、遺族基礎年金や遺族厚生年金には、状況によって受給できる方とできない方がいらっしゃいます。
今回は、その中でも子供がいない夫婦の遺族年金について詳しく解説していきます。
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遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者または、老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方が死亡した場合に、一定の遺族が受給できる年金です。(保険料納付要件有り)
遺族基礎年金を受給できる一定の遺族は、
・ 優先順位1番で子のある配偶者
・ 2番で18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子 、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
です。
すなわち、子供がいない夫婦は遺族基礎年金を受給することができないのです。
遺族厚生年金
遺族厚生年金とは、以下の場合に一定の遺族が受給できる年金です。(保険料納付要件有り)
・ 厚生年金保険の被保険者が死亡したとき
・ 厚生年金の被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
・ 1級、2級の障害厚生(共済)年金を受給している方が死亡したとき
・ 老齢厚生年金の受給権者の方が死亡したとき
・ 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
遺族厚生年金を受給できる一定の遺族とは、優先順位が高い順に以下の方です。
(1) 子のある妻
(2) 子のある55歳以上の夫
(3) 子
(4) 子のない妻
(5) 子のない55歳以上の夫
(6) 55歳以上の父母
(7) 孫
(8) 55歳以上の祖父母
すなわち、遺族厚生年金は子供のいない夫婦の夫は受給できません。
妻の場合は受給できますが、子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付です。
その他の遺族に対する給付
遺族基礎年金や遺族厚生年金の他にも、公的年金制度には以下の遺族に対する給付があります。
死亡一時金
死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上ある方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給しないまま亡くなった場合に一定の遺族が受給できる一時金です。
死亡一時金が受給できる一定の遺族とは、生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(優先順位順)で、亡くなった方に対する遺族基礎年金の受給要件を満たしていないことが条件です。
寡婦年金
死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上ある夫が亡くなった場合、10年以上継続して婚姻関係にあって生計を維持されていた妻が受給できる年金です。
配偶者のもしもに備えて生活設計をしておこう
このように、子供のいない夫婦の遺族年金は、受給できない可能性もあります。
そのため、自分たちが受給できるかどうかを知ることはとても重要です。
また、将来に配偶者が亡くなってしまった場合の生活のことも、考えておく必要があるかもしれません。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)
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