![更地の固定資産税は高い?計算方法や対策方法を紹介](https://image.kingsoft.jp/starthome/manabu/2025-02-13/3ec633072df01a449b542c82aa776aae_lg.jpg)
土地を所有している方で、「空き家を壊して更地にすると、固定資産税が6倍になる」と聞いたことがある方はいませんか?更地にかかる固定資産税は、建物が建っている土地よりも3~6倍高くなります。
本コラムでは、更地の固定資産税が高くなる理由や、具体的な計算方法、固定資産税を軽減する具体的な方法を詳しく解説します。基本的な知識をしっかりと理解し、正しい方法で税負担を軽減するようにしましょう。
更地の固定資産税について
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固定資産税とは、土地や不動産などの「固定資産」に対して課税される税金のことをいいます。国に納める国税ではなく地方公共団体に納める地方税で、「1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人」が納税義務者となります。
固定資産税は土地と建物のそれぞれ別々に課税されます。そのため建物を使用していないのであれば、収去して更地にしたほうが固定資産は土地のみに課税されるため安くなるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、更地のみだと土地の固定資産税は最大で6倍・都市計画税は3倍と高くなってしまうこともあるため、支払う税金は増えてしまいます。
あえて使用していない建物を空き家として放置することで固定資産税の負担を軽減するほうがいいのではないかと考える人もいますが、長年に渡って空き家を放置していた場合、「特定空き家」に指定され更地と同等の固定資産税が課せられることもあります。「特定空き家」の詳細は後述します。
空き家や更地を保有している人は、適切な方法により固定資産税を軽減できるよう、更地にかかる固定資産税に関する基本的な知識をしっかりと理解する必要があります。
更地の固定資産税が高い理由
土地の上に建物がある場合は、「小規模住宅用地の特例」や「一般住宅用地の特例」が適用できるため、固定資産税の算出の基礎となる課税標準額が減額され、土地に対する固定資産税の負担が抑えられます。
小規模住宅用地とは、200㎡以下の住宅用地のことで(敷地面積が200㎡を超える場合には、住宅1戸あたり200㎡までの部分)、固定資産税の課税標準額を6分の1まで減額し、都市計画税の課税標準額も3分の1まで減額されます。
一般住宅用地とは、小規模住宅用地にあたらない住宅用地のことをいい、固定資産税の課税標準額は3分の1の額、都市計画税の課税標準額は3分の2の額まで減額されます。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
小規模住宅用地 (面積200㎡以下) | 固定資産税の課税標準額 × 1/6 | 都市計画税の課税標準額 × 1/3 |
一般住宅用地 (面積200㎡を超える部分) | 固定資産税の課税標準額 × 1/3 | 都市計画税の課税標準額 × 2/3 |
この点だけをみると、小規模住宅用地の場合、土地の上にある建物を撤去して更地にすることで、「土地」の固定資産税は6倍になります。ただし、この場合には建物を撤去しているため、建物に課せられていた固定資産税がなくなります。結果として、トータルでの固定資産税の負担は更地にする前と比べ、最大でおおよそ3〜4倍程度となります。
このように空き家を収去して更地にすると、固定資産税の負担が重くなるため、空き家や更地を上手に活用することが重要です。
更地の固定資産税の計算方法・計算例
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次に、更地の固定資産税の計算方法や、具体的な計算例を解説します。税金の計算は複雑ですが、不動産投資を行ううえで避けては通れないため、しっかりと基本的な知識を確認しておきましょう。
固定資産税に加えて都市計画税の計算方法も解説します。都市計画税とは、不動産が”市街化区域”にある場合に課せられる税金で、固定資産税と一緒に徴収されます。
市街化区域に関する基本的な情報や、不動産が市街化区域にあるかどうかを調べる方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【関連記事】市街化区域とは?概要・特徴をわかりやすく解説
固定資産税・都市計画税の計算方法
まず、更地の固定資産税、および都市計画税を計算する方法を解説します。
固定資産税 = 課税標準額 × 標準税率1.4%
=(固定資産税評価額 × 特例などの軽減措置) × 1.4%
都市計画税 = 課税標準額 × 制限税率0.3%
=(固定資産税評価額 × 特例などの軽減措置) × 0.3%
※標準税率・制限税率は自治体によって異なります
「課税標準額」とは、「固定資産税課税台帳」に登録されている価格で「固定資産税課税証明書」に記載されています。固定資産税の計算の基礎となる金額で、自治体が決定する「固定資産税評価額」をベースに算出されるものです。
「課税税率」は地方公共団体が決定する税率になります。
計算方法からわかる通り、固定資産税・都市計画税を計算するためには、前提として固定資産税評価額を調べなければなりません。すでに不動産を所有している場合には納税通知書(納付書)を確認し、これから購入する場合には不動産業者に問い合わせましょう。
概算ではありますが、建物の固定資産税評価額は、再建築価格方式という計算により市場価格の約50%〜70%となり、土地の固定資産税評価額は、路線価方式という計算により市場価格の約70%程度となります。ただし、実際の金額は不動産の所在地や経年変化等により大きく変動する点に注意が必要です。
建物は、基本的に固定資産税評価額がそのまま課税標準額となります。すなわち、市場価格の約50%〜70%が課税標準となります。
土地も、原則として固定資産税評価額がそのまま課税標準額となります。しかし、特例や負担調整措置が適用される場合には、課税標準額が固定資産税評価額よりも低額となる場合があります。その代表例が、先ほど紹介した「小規模住宅用地の特例」です。
固定資産税評価額 | 課税標準額 | |
---|---|---|
建物 | 自治体が決定する (市場価格の約50%〜70%ほど) | 固定資産税評価額と基本的に同一 |
土地 | 自治体が決定する (市場価格の70%前後) | 特例・負担調整措置により、固定資産税評価額から減額されることがある |
固定資産税の計算例
理解を深めるために、具体的な計算例をみてみましょう。
前提条件
土地のある場所:市街化調整区域(固定資産税のほかに都市計画税が加算)
土地の面積:200㎡(全てに小規模住宅用地の特例が適用)
土地の固定資産税評価額:4,000万円
建物の固定資産税評価額:1,000万円
以上の前提条件をもとに、建物が立っている状態の固定資産税・都市計画税の負担と、建物を収去し更地とした状態の固定資産税・都市計画税の負担を計算します。
建物収去前の固定資産税・都市計画税
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
土地 | 課税標準額 × 1.4% =(固定資産税評価額 × 1/6)× 1.4% = (4,000万円 × 1/6) × 1.4% = 9.3万円 | 課税標準額 × 0.3% = (固定資産税評価額 × 1/3) × 0.3% = (4,000万円 × 1/3) × 0.3% =4万円 |
建物 | 課税標準額 × 1.4% = 固定資産税評価額 × 1.4% = 1,000万円 × 1.4% = 14万円 | 課税標準額 × 0.3% =固定資産税評価額 × 0.3% =1,000万円 × 0.3% =3万円 |
小計 | 23.3万円 | 7万円 |
合計 | 30.3万円 |
次に、建物を収去し、更地とした場合の固定資産税・都市計画税を計算します。このとき、建物を撤去している前提のため、土地に対する減税措置がなくなっている点と、建物に対する税負担がなくなっている点に注意して計算してください。
建物収去後の固定資産税・都市計画税
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
土地 | 課税標準額 × 1.4% =固定資産税評価額 × 1.4% =4,000万円 × 1.4% = 56万円 | 課税標準額 × 0.3% =固定資産税評価額 × 0.3% =4,000万円 × 0.3% =12万円 |
建物 | なし | なし |
小計 | 56万円 | 12万円 |
合計 | 68万円 |
このように、更地にする前後では、37.7万円(約2.2倍)の違いとなりました。固定資産税・都市計画税の負担は毎年生じるため、決して無視することのできない差額といえるでしょう。
特定空き家とは?固定資産税はどうなる?
特定空き家とは、長期間にわたって人が居住しておらず、倒壊の危険などがある空き家であると、自治体が指定した空き家のことをいいます。
特定空き家に認定される4パターン
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
出典:「国土交通省ウェブサイト」
このように特定空き家とは、著しく保安上・衛生上・景観上の問題を抱えている空き家のことをいい、きちんと管理・清掃されている空き家が認定されることはありません。
空き家特措法に基づき、各市町村は「空き家等対策計画」を作成します。現在、全国の8割以上の市町村で計画が策定され、空き家の実態調査の方法・空き家や空き家の跡地の活用促進・特定空き家に対する措置・住民からの相談対応の事項が定められています。
自治体による特定空き家認定に納得できない場合には、自治体に対し、異議申し立てを行うことも可能です。
特定空き家に認定されたあとの流れ
1. 調査
2. 「特定空き家」認定
3. 助言・指導
4. 勧告
5. 命令
6. 行政代執行
特定空き家に指定されると、まず自治体から助言・指導を受けることとなります。
それでも空き家を放置しつづけると、自治体による「勧告」が行われ、その空き家は翌年以降、住宅用地の特例を受けられなくなります。すなわち、その土地は更地として扱われることとなり、土地の固定資産税の減額措置を受けられなくなってしまうのです。
そのまま空き家を放置すると、自治体による是正「命令」が行われ、これに従わないと50万円以下の過料が科せられます。
なおも命令に従わない場合には、最終的に、裁判所を通じた強制処分である「行政代執行」が発せられ、特定空き家の強制的な解体と、解体費用の徴収が行われます。
このように、特定空き家に認定された後は段階的に厳しい処分が課せられることとなっているため、もし特定空き家との認定を受けた場合には、できる限り早い段階で是正措置を講じるようにしましょう。
更地の固定資産税負担を減らす方法
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ここまで紹介したように、土地の上に建物が建っている場合と比べて、更地の場合には、固定資産税・都市計画税の負担が重くなります。もっとも、空き地を長年放置すると特定空き家に認定され、更地と同じ税負担となります。
そこで以下からは、更地を運用し、適正に固定資産税・都市計画税の負担を軽減する方法を4つ解説します。
- 不動産投資を行う
- 土地を活用する
- 土地を売却する
- 農地に転用する
不動産投資を行う
土地の上に建物があれば、小規模宅地等の特例により土地の固定資産税を軽減できるため、土地を利用した不動産投資ができないか検討してみましょう。
不動産投資としての選択肢は、立地や土地の広さ、初期費用などに応じて、主にアパート投資・マンション投資・戸建て投資の3種類があります。
ただし、不動産投資には高額な初期費用が必要であり、建物が完成したあとも、管理・修繕費用などのランニングコストや、空室リスクなどを抱えることになります。そのため、まずは地域の賃貸需要をしっかりと調べたうえで、コスト・リスクも踏まえた綿密な収支シミュレーションを行うことが重要です。
こちらの記事では、不動産投資未経験者の方に向けて、不動産投資の始め方や投資を成功させるためのポイントについて解説しています。
【関連記事】【不動産投資未経験者必見】失敗しにくい方法とは?不動産投資の始め方を徹底解説!
土地を活用する
賃貸用物件の建設には高額な初期費用と一定の面積が必要となります。また、所有している土地に見合った賃貸用物件を建設しなければ賃貸需要を見込めません。そこで、不動産投資とは別に予算や土地の特性に合わせて展開できる、以下のような土地活用もおすすめです。
これらの土地活用ができれば、収益を固定資産税の支払いに充てることができ、実質的な税負担を軽減することができます。
- 駐車場投資
- コインランドリー投資・無人冷凍販売投資
- トランクルーム投資
- 太陽光発電投資
土地活用の方法に関する、より詳細なメリット・デメリットや、活用時の注意点については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【関連記事】土地投資の種類は?初心者にもできる?メリットやおすすめの人とは
駐車場投資
初期費用を抑えたい方には、駐車場投資がおすすめです。特にニーズが高い都市部や、交通の便がいい土地であれば、安定した需要を期待できます。
コインランドリー投資・無人冷凍販売投資
コインランドリー投資・無人冷凍販売投資は、初期投資こそ必要となるものの、人工密集地域に開店できれば継続的な売り上げを得ることが可能です。ただし、無人店舗であってもサービスやモノを販売することに変わりはないため、競合店やニーズの調査が不可欠です。
コインランドリー投資が「儲からない」と言われる理由や、コインランドリー投資のメリット、向いている人の特徴については、こちらの記事をご覧ください。
【関連記事】「コインランドリー経営は儲からない」?厳しいと言われる理由
トランクルーム投資
トランクルーム投資は、郊外の土地に大型のコンテナを設置するタイプと、都市部の屋内型タイプに大別されます。近年注目を集めている土地活用の一種であり、こちらも競合施設の増加に注意が必要です。
太陽光発電投資
太陽光発電投資は、土地に太陽光パネルを設置し、得られた電力を電力会社に販売する投資方法です。広大な土地が必要となりますが、周辺の競合・ニーズなどを検討する必要はありません。長期的には安定した収益を期待できる一方、短期的にみると天候の変化によって収入にばらつきが生じることもあります。
土地を売却する
ここまで紹介した方法は、いずれも初期投資が必要なほか、ランニングコストがかかり、維持や管理に手間がかかります。また、全ての土地で収益性のある活用ができるとも限りません。
そこで、土地の活用が難しい、または活用するつもりがない場合には、土地の売却も視野に入れましょう。
農地に転用する
空き地を活用し、固定資産税の負担を抑える方法として、その土地を農地に転用するという方法もあります。農地の固定資産税は、通常の土地と比べて固定資産税が軽減されることがあり、場合によっては固定資産税の支払いが免除されることもあります。
ただし、実際に農地として利用している実態が必要となるため、自ら農作を行うか、農地として貸し出す必要があります。また、農地に転用するためには複雑な手続きが必要であり、農地の売買には農業委員会や都道府県知事の許可が必要となるなど、土地活用の幅が狭まってしまいます。
そのため、単に「固定資産税の負担を軽減するため」という目的だけで、土地を農地へと転用することは、おすすめできる方法ではありません。
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