全国の降水量について |
平年降水量ランキング:1位は高知県 |
水害被害額ランキング:1位は佐賀県 |
水害に注意すべき都道府県:九州エリア |
目次
本コラムでは、都道府県平年降水量ランキングから全国の注意すべきエリアを紹介し、ハザードマップを確認する重要性について解説する。
都道府県平年降水量ランキング:1位は高知県
総務省統計局の「日本の統計2023」によると、1991~2020年における都道府県の平年降水量ランキングは下表の通りだ。傾向としては、西日本が上位にある印象だが北陸も石川・富山・福井の「北陸3県」すべてが上位に入っている点にも注目したい。東北は、秋田のみがランクインしており、平年降水量は少ない傾向だ。
全国で最も平年降水量が少ないのは、長野県(965ミリメートル)で唯一1,000ミリメートルを下回っている。
<全国の降水量(平年値)(平成3年~令和2年)>
順位 | 都道府県 | 観測地点 | 降水量 (mm) | 順位 | 都道府県 | 観測地点 | 降水量 (mm) |
1 | 高知県 | 高知 | 2,666 | 25 | 愛知県 | 名古屋 | 1,579 |
2 | 宮崎県 | 宮崎 | 2,626 | 26 | 広島県 | 広島 | 1,572 |
3 | 鹿児島県 | 鹿児島 | 2,435 | 27 | 栃木県 | 宇都宮 | 1,525 |
4 | 石川県 | 金沢 | 2,402 | 28 | 京都府 | 京都 | 1,523 |
5 | 富山県 | 富山 | 2,374 | 29 | 千葉県 | 千葉 | 1,455 |
6 | 静岡県 | 静岡 | 2,327 | 30 | 和歌山県 | 和歌山 | 1,414 |
7 | 福井県 | 福井 | 2,300 | 31 | 愛媛県 | 松山 | 1,405 |
8 | 沖縄県 | 那覇 | 2,161 | 32 | 茨城県 | 水戸 | 1,368 |
9 | 熊本県 | 熊本 | 2,007 | 33 | 奈良県 | 奈良 | 1,365 |
10 | 佐賀県 | 佐賀 | 1,951 | 34 | 青森県 | 青森 | 1,351 |
11 | 鳥取県 | 鳥取 | 1,931 | 35 | 大阪府 | 大阪 | 1,338 |
12 | 山口県 | 山口 | 1,928 | 36 | 埼玉県 | 熊谷 | 1,306 |
13 | 長崎県 | 長崎 | 1,895 | 37 | 岩手県 | 盛岡 | 1,280 |
14 | 岐阜県 | 岐阜 | 1,861 | 38 | 兵庫県 | 神戸 | 1,278 |
15 | 新潟県 | 新潟 | 1,846 | 39 | 宮城県 | 仙台 | 1,277 |
16 | 島根県 | 松江 | 1,792 | 40 | 群馬県 | 前橋 | 1,247 |
17 | 秋田県 | 秋田 | 1,742 | 41 | 山形県 | 山形 | 1,207 |
18 | 神奈川県 | 横浜 | 1,731 | 42 | 福島県 | 福島 | 1,207 |
19 | 大分県 | 大分 | 1,727 | 43 | 山梨県 | 甲府 | 1,161 |
20 | 福岡県 | 福岡 | 1,687 | 44 | 香川県 | 高松 | 1,150 |
21 | 徳島県 | 徳島 | 1,620 | 45 | 北海道 | 札幌 | 1,146 |
22 | 三重県 | 津 | 1,613 | 46 | 岡山県 | 岡山 | 1,143 |
23 | 滋賀県 | 彦根 | 1,610 | 47 | 長野県 | 長野 | 965 |
24 | 東京都 | 東京 | 1,598 |
出典:総務省統計局「日本の統計2023」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
東京都は平均降水量1,598ミリメートルで24位と全体の真ん中あたりの順位となっている。降水量は、地方が多いイメージがあるかもしれない。しかし18位に神奈川県が入っているように首都圏も決して少ない降水量ではない。
水害被害額(2021年)ランキング:1位は佐賀県
国土交通省のプレスリリースによると、2021年の水害による被害額(暫定値)は全国で約3,700億円に上った。そのうち以下の被害額が全体の約87.3%を占めている。水害とは、洪水、内水、高潮、津波、土石流、地すべりなどである。
年月日 | 場所 | 被害額 |
2021年8月7日~9月10日 | 佐賀県、福岡県、広島県を中心とした大雨 | 約2,400億円 |
2021年6月27日~7月15日 | 島根県、広島県、静岡県を中心とした大雨 | 約830億円 |
全国の物的被害は、被害建物棟数が約1万5,000棟、水害区域面積が約1万8,000ヘクタールとなっており、被害が大きい。水害被害額のランキングは1下表の通りである。
順位 | 都道府県 | 水害被害額 | 順位 | 都道府県 | 水害被害額 |
1 | 佐賀県 | 676億5,300万円 | 25 | 京都府 | 22億1,600万円 |
2 | 福岡県 | 516億2,400万円 | 26 | 和歌山県 | 20億300万円 |
3 | 広島県 | 416億4,700万円 | 27 | 秋田県 | 19億8,500万円 |
4 | 島根県 | 390億3,300万円 | 28 | 岡山県 | 15億8,100万円 |
5 | 岐阜県 | 266億7,700万円 | 29 | 岩手県 | 12億8,400万円 |
6 | 長野県 | 265億9,800万円 | 30 | 山梨県 | 11億5,500万円 |
7 | 静岡県 | 150億7,100万円 | 31 | 滋賀県 | 9億5,500万円 |
8 | 鹿児島県 | 138億7,700万円 | 32 | 愛知県 | 8億8,600万円 |
9 | 熊本県 | 92億5,700万円 | 33 | 沖縄県 | 7億4,400万円 |
10 | 鳥取県 | 69億4,200万円 | 34 | 大阪府 | 6億7,900万円 |
11 | 宮崎県 | 67億9,100万円 | 35 | 群馬県 | 6億4,800万円 |
12 | 三重県 | 57億1,700万円 | 36 | 東京都 | 6億4,600万円 |
13 | 長崎県 | 56億8,300万円 | 37 | 宮城県 | 6億600万円 |
14 | 高知県 | 55億800万円 | 38 | 兵庫県 | 6億200万円 |
15 | 山口県 | 54億4,400万円 | 39 | 石川県 | 5億9,300万円 |
16 | 新潟県 | 39億9,300万円 | 40 | 徳島県 | 5億7,100万円 |
17 | 青森県 | 39億3,900万円 | 41 | 福島県 | 4億8,000万円 |
18 | 大分県 | 36億6,400万円 | 42 | 山形県 | 3億7,000万円 |
19 | 福井県 | 36億4,400万円 | 43 | 香川県 | 1億3,300万円 |
20 | 愛媛県 | 31億5,600万円 | 44 | 栃木県 | 8,700万円 |
21 | 富山県 | 28億8,800万円 | 45 | 奈良県 | 3,700万円 |
22 | 北海道 | 27億500万円 | 46 | 埼玉県 | 600万円 |
23 | 神奈川県 | 23億900万円 | 47 | 茨城県 | 0万円 |
24 | 千葉県 | 22億3,600万円 |
※四捨五入の関係で、内訳の合計と水害被害額が一致しない場合がある
出典:国土交通省のプレスリリース「令和3年の水害被害額(暫定値)は全国で約 3,700 億円」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
東京都は36位で水害被害額も6億4,600万円と全国で比較するとそれほど多くない。全国で最も水害被害額が少ないのは茨城県であった。
水害に注意すべき都道府県:九州エリア
水害に注意すべき都道府県は、降水量ランキングと水害被害額ランキングの両方にランクインしているエリアだ。具体的には、下図のエリアが該当する。
台風は、西から上陸することが多いため、エリアが西日本に集中していることがわかる。九州・沖縄地方では、沖縄県以外はすべて該当する。
注目したいのは、降水量と水害被害額が必ずしも比例しないことだ。例えば、降水量1位の高知県は水害被害額では14位、逆に水害被害額1位の佐賀県は降水量では10位である。また降水量4位の石川県は、水害被害額では39位と下位に位置している。そのため片方のデータを見ただけでは、リスクの把握が不十分になる可能性があるといえるだろう。
物件を保有する場合はハザードマップを事前に確認しよう
購入した物件が水害に遭った場合、復旧まで家賃収入はないものと考える必要がある。購入する前にハザードマップを確認し、河川や崖など水害の影響を受けそうなエリアを避けるなどの対策が必要だ。ハザードマップは、国土交通省「ハザードマップポータルサイト」※この先は外部サイトに遷移します。を利用すれば住所を入力するだけで誰でもその地点の災害リスクを調べることができる。
当該エリアの地図上に洪水・土砂災害・高潮・津波が及ぶ範囲が重ねて表示されるため、危険度をイメージしやすい。水害は、大雨や台風など多量の降雨によって起こる自然災害である。水害には、主に以下のような種類があるため、自分の物件が位置するエリアに起こる可能性があるか考えてみよう。
下図は東京都目黒区を選択したケースの「重ねるハザードマップ」だ。上は地図のみで、下が洪水を選択した画面である。目黒川沿いにオレンジ色で塗られた部分があるのがわかるだろう。
出典:※「ハザードマップポータルサイト」を加工し株式会社ZUU作成
洪水大雨や台風による豪雨で河川の水かさが増して異常な流量となり、氾濫の結果の一つとして起こるのが洪水である。積雪地帯では、春先の気温の上昇や豪雨による雪解けで洪水が起こることもあるため、注意が必要だ。
浸水浸水とは、台風などの豪雨により家が水に浸かる状態をいう。台風のニュースでは「床上浸水」や「床下浸水」という言葉で被害の程度を伝えている。
冠水冠水とは、洪水によって田畑や作物が水に浸かることをいう。一般的には、大雨によって土地やそこにある物が水に浸かった状態も冠水と呼んでいる。
(水を原因とした)土石流土石流とは、集中豪雨によって起こる山崩れや地すべりが原因となり、土砂と水が一体となって激しい勢いで下流に向かって流れる現象をいう。鉄砲水、山津波、泥流なども含む。近年は、土石流の被害も多く報道されるようになっている。
山崩れ山崩れとは、山の斜面を形成している岩石や土壌の一部が、豪雨などを原因として突然崩壊する現象である。豪雨の他に地震や火山爆発によって起こることもある。豪雨によって緩んだ山の斜面が地震によって山崩れになることもあるので注意が必要だ。
崖崩れ崖崩れとは、傾斜が急な場所にある岩石や土砂が地震や豪雨を原因として崩れ落ちる現象である。山崩れの一種といわれている。特に崖の近くにある物件は、注意が必要だ。
【水害で想定される被害の例】
水害が起こった場合に想定される被害のケースとして以下のような例がある。
床上浸水被害 | ・台風による豪雨で自宅近くの川が氾濫した。自宅が低地にあったため、床上浸水の被害に遭い、家具や家電が水浸しになった |
土石流被害 | ・集中豪雨によって土砂崩れが発生。幸い避難して人的な被害はなかったが、自宅の中に土砂が流れ込み、排出するのに長時間を要した |
山崩れ被害 | ・台風による豪雨で、自宅の裏山で山崩れが発生。建物に土砂が押し寄せたため外壁や柱が傾く被害に遭った |
床下浸水被害 | ・ゲリラ豪雨が発生し、マンホールの排水が追いつかない事象が発生。自宅に水が押し寄せ床下浸水の被害にあった。それほど大きな被害にはならなかったが、ゲリラ豪雨は突然発生することなので、今後に不安を残す結果となった |
東京の降水量に関するQ&A
Q.東京での降水量は?
総務省統計局の「日本の統計2023」によると、1年間で東京都の降水量が最も多い月は10月の235mm、最も少ない月は2月の57mmである。
<東京都の平年降水量>
月 | 降水量(mm) |
1月 | 60 |
2月 | 57 |
3月 | 116 |
4月 | 134 |
5月 | 140 |
6月 | 168 |
7月 | 156 |
8月 | 155 |
9月 | 225 |
10月 | 235 |
11月 | 96 |
12月 | 58 |
出典:総務省統計局「日本の統計2023」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
Q.東京は年間でどのくらい雨が降るのか?
国土交通省の「令和4年版日本の水資源の現況」によると、東京都の年間降水量の推移は以下の通りだ。年間の降水量は1,694.5mm(2012年度〜2021年度の10年間の平均)となっている。
年 | 降水量(mm) |
2012年度 | 1,570.0 |
2013年度 | 1,614.0 |
2014年度 | 1,808.0 |
2015年度 | 1,781.5 |
2016年度 | 1,779.0 |
2017年度 | 1,430.0 |
2018年度 | 1,445.5 |
2019年度 | 1,874.0 |
2020年度 | 1,590.0 |
2021年度 | 2,052.5 |
平均 | 1,694.5 |
出典:国土交通省「令和4年版日本の水資源の現況」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
また、政府統計の「社会・人口統計体系 都道府県データ 社会生活統計指標 B 自然環境」によると、東京都の年間降水日の推移は以下の通りだ。年間の降水日数は106日(2012年度〜2021年度の10年間の平均)となっている。
年 | 降水日数(年間) |
2012年度 | 109 |
2013年度 | 93 |
2014年度 | 106 |
2015年度 | 115 |
2016年度 | 113 |
2017年度 | 95 |
2018年度 | 103 |
2019年度 | 111 |
2020年度 | 108 |
2021年度 | 107 |
平均 | 106 |
※降水日数は日降水量1mm以上の日数
出典:政府統計「社会・人口統計体系 都道府県データ 社会生活統計指標 B 自然環境」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
Q.東京で降水量が多いのは?
OCN不動産・賃貸の「住みよさランキングと都市データ 東京都の年間降水量(順位)」によると、東京都の市区町村で最も年間降水量が多いのは町田市の1,776㎜である。
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