目次
本コラムでは、ワンルームマンションの平均家賃が高い都道府県を明らかにしたうえで、ワンルームマンション物件の選び方について解説する。
ワンルームマンションの家賃が高い都道府県ランキングTOP10
総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」によると、共同住宅(非木造)29㎡以下の物件で1ヵ月平均家賃が高い都道府県のランキングTOP10までは以下のようになった。
<47都道府県別ワンルームマンションの1ヵ月平均家賃が高いランキングTOP10>
順位 | 都道府県名 | 共同住宅(非木造)29㎡以下の1ヵ月平均家賃(家賃0円を含まない) |
1位 | 東京都 | 6万9,706円 |
2位 | 神奈川県 | 5万8,501円 |
3位 | 埼玉県 | 5万1,532円 |
4位 | 千葉県 | 5万905円 |
5位 | 兵庫県 | 4万9,778円 |
6位 | 京都府 | 4万9,581円 |
7位 | 大阪府 | 4万9,382円 |
8位 | 宮城県 | 4万6,522円 |
9位 | 愛知県 | 4万5,714円 |
10位 | 長崎県 | 4万3,749円 |
出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅の建て方(5区分),延べ面積(6区分)別住宅の1か月当たり家賃(19区分)別民営借家(専用住宅)数及び1か月当たり家賃-全国,都道府県,市区」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
この統計が示す「共同住宅(非木造)29㎡以下の物件」には、ワンルームマンションが多く含まれていると考えられる。そのため上位ランキングは、ワンルームマンションの家賃相場が高い都道府県のランキングと言い換えることができるだろう。内訳を見ると上位は首都圏が占め、それに関西圏が続くランキングとなっている。
9位には愛知県もランクインしており、三大都市圏の主要な都道府県が上位にランクインする結果となった。これらの都道府県は、上位ランクインの「常連」でもあるため、「家賃相場が高い」という観点だけで見るとワンルームマンションの好適地と判断できる材料となるだろう。ただしそれだけで判断するのは早計だ。このことについては後述する。
京都府民はワンルームマンションが大好き!?
同調査をもとに、各都道府県で「住宅に占める共同住宅(非木造)29㎡以下の物件の割合」を編集部で算出した。ここでも、「共同住宅(非木造)29㎡以下の物件」の多くがワンルームマンション物件であると考えられる。
以下では、全国の都道府県のうちワンルームマンション割合が高い都道府県をランキングにした。
<47都道府県別ワンルームマンションの割合が高いランキングTOP10>
順位 | 都道府県名 | 住宅の総数(戸) | 共同住宅(非木造)の29㎡以下の総数(戸) | 住宅に占める共同住宅(非木造)29㎡以下の物件の割合(%) |
1位 | 京都府 | 330,800 | 144,400 | 43.65 |
2位 | 東京都 | 2,717,200 | 971,200 | 35.74 |
3位 | 大阪府 | 1,243,300 | 438,200 | 35.24 |
4位 | 兵庫県 | 551,900 | 150,500 | 27.27 |
5位 | 福岡県 | 783,500 | 211,600 | 27.01 |
6位 | 広島県 | 361,600 | 94,000 | 26.00 |
7位 | 滋賀県 | 115,600 | 30,000 | 25.95 |
8位 | 神奈川県 | 1,219,600 | 306,900 | 25.16 |
9位 | 愛知県 | 920,900 | 231,300 | 25.12 |
10位 | 岡山県 | 205,400 | 50,000 | 24.34 |
出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅の建て方(5区分),延べ面積(6区分)別住宅の1か月当たり家賃(19区分)別民営借家(専用住宅)数及び1か月当たり家賃-全国,都道府県,市区」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
ワンルームマンションは、主に一人暮らしのための住宅となるため、単身世帯や地方からの移住組などが主な入居者層である。こうしたニーズを踏まえると、やはり上位には大都市圏の都道府県が並ぶことは自然な流れだろう。そのなかでも興味深いのが1位の京都府だ。
京都府では「非木造29平方メートル以下の物件」が43.65%を占めており、京都府内の全住宅のうち半数近くがワンルームマンションやそれに近い住居である。2位の東京都は35.74%、3位の大阪府は35.24%なので、ほぼ同じ割合で京都府が群を抜いていることが理解できるだろう。
なお、京都は「学生の街」といわれるほど大学が多い。文部科学省の「令和4年度学校基本調査」によると、10万人あたりの大学数は全国1位だ。京都以外の地域から進学した学生向けのワンルームマンション物件が多く供給されていることが、こうしたランキングに表れていると考えられる。
ちなみに、同ランキングで最もワンルームマンション物件の割合が低いのは、青森県で全体のうち9.33%しかない。
47都道府県ワンルームマンションの家賃相場ランキング一覧
ここでは、総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」より、ワンルームマンションの家賃相場ランキングについて、上位10位までを含む47都道府県すべてを一覧表にした。
<47都道府県別ワンルームマンションの家賃相場ランキング>
順位 | 都道府県名 | 1ヵ月あたりの平均家賃(家賃0円を含まない) | 順位 | 都道府県名 | 1ヵ月あたりの平均家賃(家賃0円を含まない) |
1位 | 東京都 | 6万9,706円 | 25位 | 和歌山県 | 3万9,576円 |
2位 | 神奈川県 | 5万8,501円 | 26位 | 秋田県 | 3万9,474円 |
3位 | 埼玉県 | 5万1,532円 | 27位 | 長野県 | 3万9,372円 |
4位 | 千葉県 | 5万905円 | 28位 | 山形県 | 3万9,350円 |
5位 | 兵庫県 | 4万9,778円 | 29位 | 石川県 | 3万9,313円 |
6位 | 京都府 | 4万9,581円 | 30位 | 北海道 | 3万9,249円 |
7位 | 大阪府 | 4万9,382円 | 31位 | 佐賀県 | 3万9,233円 |
8位 | 宮城県 | 4万6,522円 | 32位 | 奈良県 | 3万9,231円 |
9位 | 愛知県 | 4万5,714円 | 33位 | 茨城県 | 3万8,898円 |
10位 | 長崎県 | 4万3,749円 | 34位 | 香川県 | 3万8,766円 |
11位 | 滋賀県 | 4万3,657円 | 35位 | 福井県 | 3万8,701円 |
12位 | 静岡県 | 4万3,218円 | 36位 | 岐阜県 | 3万8,363円 |
13位 | 新潟県 | 4万2,295円 | 37位 | 青森県 | 3万8,197円 |
14位 | 岩手県 | 4万2,135円 | 38位 | 山口県 | 3万8,188円 |
15位 | 岡山県 | 4万1,916円 | 39位 | 熊本県 | 3万7,959円 |
16位 | 福岡県 | 4万1,378円 | 40位 | 大分県 | 3万7,834円 |
17位 | 群馬県 | 4万1,360円 | 41位 | 栃木県 | 3万7,616円 |
18位 | 広島県 | 4万987円 | 42位 | 愛媛県 | 3万7,356円 |
19位 | 福島県 | 4万781円 | 43位 | 富山県 | 3万7,348円 |
20位 | 島根県 | 4万511円 | 44位 | 高知県 | 3万6,879円 |
21位 | 三重県 | 4万505円 | 45位 | 鳥取県 | 3万6,736円 |
22位 | 沖縄県 | 4万415円 | 46位 | 徳島県 | 3万6,635円 |
23位 | 山梨県 | 4万8円 | 47位 | 宮崎県 | 3万5,179円 |
24位 | 鹿児島県 | 3万9,592円 |
出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅の建て方(5区分),延べ面積(6区分)別住宅の1か月当たり家賃(19区分)別民営借家(専用住宅)数及び1か月当たり家賃-全国,都道府県,市区」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
1位の東京都と47位の宮崎県を比較すると、2倍近くの差があることが見て取れる。ワンルームマンション投資の物件選びにおいて、約半数の都道府県で平均家賃が4万円未満となっていることも知っておきたい。
不動産投資に重要な家賃設定について
不動産投資における家賃設定は、重要な戦略の一つだ。相場より高すぎると入居者が決まりにくくなり、逆に相場よりも安すぎると利益を出しにくくなる。こうしたミスマッチを防ぐためにも、家賃の相場観をつかんでおくことは重要だ。ここでは、家賃設定において知っておくべき重要なポイントを解説する。
物件の状況(内的要因)
物件の構造や築年数、間取り、設備といった内的要因によって家賃は変動する。最も分かりやすい指標は築年数だ。築年数が浅いほど家賃相場は高く、古いほど安くなりやすい。
<東京都の民間借家(非木造)の平均月額家賃>
住宅の建築の時期 | 1畳当たり家賃 (共益費・管理費を含む) | ワンルーム(29㎡)の家賃 (共益費・管理費含む)※ |
2016~2018年9月 (約築4〜7年) | 7,409円 | 11万8,544円 |
2011~2015年 (築8〜12年) | 7,432円 | 11万8,912円 |
2006~2010年 (築13〜17年) | 8,032円 | 12万8,512円 |
2001~2005年 (築18〜22年) | 7,246円 | 11万5,936円 |
1996~2000年 (築23〜27年) | 6,007円 | 9万6,112円 |
1991~1995年 (築28〜32年) | 5,605円 | 8万9,680円 |
1981~1990年 (築33〜42年) | 5,417円 | 8万6,672円 |
1971~1980年 (築43〜52年) | 5,211円 | 8万3,376円 |
1951~1970年 (築53〜72年) | 4,983円 | 7万9,728円 |
1950年以前 (築73年以上) | 5,109円 | 8万1,744円 |
※ワンルーム(29㎡)=16畳として換算
出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
上表を見ると、築20年以内であれば11万円ほどだった家賃が、築30年を超えてくると9万円を割り込んでいるのがわかるだろう。
間取りについては、広ければ広いほど家賃が高くなるというわけではない。物件が所在するエリアの特性に合致しているかが重要だ。
都心に近くワンルームマンションが好まれるエリアであれば、ワンルーム物件のほうが人気を集めやすい。しかしこうしたエリアの場合、ファミリータイプのマンションの入居者ニーズが低く、家賃設定において不利になる可能性がある。
周辺の状況(外的要因)
立地条件や交通アクセス、周辺環境なども家賃に深く関わる要素だ。利便性が高く周辺環境に恵まれているほど、高い家賃を設定しやすい。周辺に類似物件がある場合、類似物件が設定している家賃から相場観をつかむのもよいだろう。
ワンルームマンションであれば都心からのアクセスや利便性が重視される。しかしファミリータイプのマンションの場合、教育環境や生活に必要な施設の充実度といった周辺環境に対する価値観は物件の種類によって異なることも留意しておきたい。
地方と都心では賃料に違いがある
先ほど紹介した平均家賃のランキングを見ると、やはり東京の高さが際立っている。4位までは首都圏が占めているが、そのなかでも東京だけが平均家賃6万円を超えており、7万円台に迫る数値だ。それでは東京が最もワンルームマンション投資の好適地かというと、決してそうではない場合もある。なぜなら東京はそもそも不動産価格も高く、たとえ家賃相場が高くても利回りで評価すると決して高くならないケースがあるからだ。
そこで考慮したいのが、家賃相場と不動産価格のバランスだ。不動産価格がそれほど高くない一方で家賃相場が高いと利回りは高くなる。都道府県で投資対象を選ぶ場合、地方のなかでも比較的家賃相場が高い都道府県を狙うのも有効な戦略だろう。こうした視点で上記のランキングを見ると、兵庫県や京都府、宮城県、長崎県などが候補に挙がる。
ただしこれらの都道府県のなかにもワンルームマンションが好まれるエリアと、そうではないエリアがある。実際に物件を選ぶ際には、立地条件や物件の状況、周辺環境との親和性などを十分に考慮して選ぶことが重要だ。不動産投資では、物件選びが成否に直結するといっても過言ではないほど物件選びが重要である。
不動産投資で失敗しない物件選び方やチェックポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説しているので、そちらも併せて読むと、物件選びについての理解が深まるだろう。
【関連記事】 不動産投資の物件の探し方とは? 4つの方法のメリット・デメリット
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