マンション経営をするにあたって、「不動産収入をどれくらい得られるか」について知りたい人は多いのではないだろうか。そこで今回は、マンション経営の不動産収入を一棟と区分に分けて、それぞれシミュレーションをしていく。あわせて「一棟と区分の違い」「不動産収入の定義」「安定収入を得ていくためのポイント」などについて解説する。
マンション経営の一棟と区分の違いとは?
初めに、一棟と区分の違いを整理していく。両者を比べると同じマンション経営でも以下のような違いがある。
一棟マンション | 区分マンション | |
物件価格 | 都内新築であれば億円単位など | 都内新築であれば千万円単位など |
融資審査のハードル | 高額なのでハードルは高い | 一棟マンションとの比較では、物件価格も下がるためハードルは低い |
売却のしやすさ | 高額なので、流動性は低い | 一棟マンションとの比較では流動性が高い |
物件・入居者管理の業務量 | 戸数が多い分、多い | 戸数が限られれば少ない |
マンション経営で得られる不動産収入とは?
次にマンション経営で得られる「不動産収入」を定義しておこう。似た言葉に「不動産所得」というものがあるが取り違えないように注意したい。
不動産収入とは賃料に更新料や共益費などを加えた総収入金額
マンション経営で得られる不動産収入とは、部屋を貸して得られる賃料に以下のようなお金を含めた総収入額のことだ。
- 更新料、名義書換料、承諾料などの名目で受け取るお金
- 敷金や保証金などのうち、入居者に返還を要しないもの
- 共益費などの名目で受け取る共用スペースの光熱費や掃除代 など
さらに駐車場代やトランクルーム収入などを加えて総収入額とすることもある。
不動産所得とは不動産収入から必要経費や減価償却費などを差し引いた金額
マンション経営で得られる不動産所得とは、不動産収入の総額から必要経費を差し引いた金額のことだ。計算式にすると以下のようになる。
なお必要経費には、建物や住宅設備の減価償却費・固定資産税・修繕費なども含まれる。また以下のような支出も不動産所得を算出する際の必要経費として計上することが可能だ。
・建物などの管理費
・賃貸管理会社に支払う管理委託費
・火災保険料や損害保険料 など
出典:国税庁※この先は外部サイトに遷移します。「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
マンション経営の収入をシミュレーション
マンション経営による不動産収入は、部屋数・立地・築年数など条件によって異なる。ここでは、一棟マンションと区分マンションを経営して得られる不動産収入の一例をシミュレーションしていく。
一棟マンション(東京23区/6戸)の収入をシミュレーション
・所在地:大田区
・RC造、3階建
・築年数:10年
・物件価格:1億9,800万円
・想定利回り:4.76%・戸数:6戸
上記のような東京都内のコンパクトな一棟マンションを満室で経営した場合、経費等を考慮せず算出すると、1戸あたりの平均賃料約13万900円、月間家賃収入約79万円、年間約942万円の不動産収入が想定される。一棟マンションは全戸ワンルームではなく、30㎡超の1Kや1LDKが混在しているケースが多い。そのため、平均家賃は区分マンションより高い金額となる。
区分マンション(東京23区/ワンルーム)の収入をシミュレーション
・所在地:大田区・築年数:5年
・物件価格:3,380万円
・想定利回り:4.184%
ワンルームマンションを満室で経営した場合、経費等を考慮せず算出すると、1戸あたりの家賃11万7,000円(月間家賃収入)、年間140万円の不動産収入が想定される。今回は一棟マンションと比較するため、専有面積の大きい事例を用いている。
例えば以下のとおり、物件価格、想定利回りが同じ条件の区分マンションを6戸所有した場合でも、前出の一棟マンションの不動産収入には及ばない。
区分マンション (同じ条件の物件を6戸所有) | 一棟マンション | |
月間収入 | 70万円 (11万7,000円円×6戸) | 約79万円 |
年間収入 | 840万円 (140万円×6戸) | 約942万円 |
物件価格 | 2億280万円 (3,380万円×6戸) | 1億9,800円万円 |
※上記事例においては一棟マンションの方が収入は多くなっているが、必ずしも一棟マンションの方が収入が多くなるわけではない点に注意
マンション経営で安定収入を得ていくためのポイント
マンション経営を知識なしでやみくもに行っても、安定収入を実現するのは難しい。そのため「不動産投資をはじめて行う」「はじめたばかり」といった人は、まず以下の5つのポイントを意識してみよう。
ポイント1.万全のリスク対策を行う
マンション経営で安定収入を得ていくためには、リスク対策が欠かせない。不動産投資には、主に以下のようなリスクがある。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 事件事故リスク
- 修繕リスク
- 物件価格変動リスク
- 金利上昇リスク
- 災害リスク など
大切なことは、それぞれのリスクを事前に調べ、対策を講じておくことでリスクの軽減が期待できる。
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不動産投資はリスクを理解することが成功への第一歩
ポイント2.優秀な管理会社に委託する
マンション経営において賃貸管理や建物管理を委託する場合は、管理会社によって空室率が変わってくる可能性がある。管理会社は、オーナーに代わって以下のような業務を行う。
- 入居者募集
- 内見案内
- 契約手続き
- クレーム対応
- 共用部の定期的な清掃 など
※どの範囲の業務を行うかは、管理会社や契約によって異なる
管理会社によっては入居者の満足度が高まることがあり、空室率低下が期待できるだろう。結果的にマンション経営の安定収入にもつながる。管理会社を見極めるポイントとしては「既存顧客の物件管理において高い入居率を維持しているか」「現時点で数多くの管理物件数があるか」などがある。
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サラリーマンの不動産投資家が管理会社を選ぶポイントは?
ポイント3.管理会社との契約内容を理解する
マンション経営で安定収入を確保し続けるには、管理会社との契約が「不利な内容になっていないか」といった確認も必要である。管理委託で管理会社と交わす書面には「管理委託契約書」がある。そのチェックポイントの例としては、以下のような内容が考えられる。
- 報酬額(管理委託料)が高すぎないか(一般的には家賃収入の3~5%程度)
- 契約期間が長すぎないか(法的な規定はないが、一般的には2年もしくは3年程度)
- 解約の申し入れ期間が適切に設定されているか(一般的には3ヵ月前)
契約書の体裁に不備がないかの確認については、国土交通省が公開している雛形と照らし合わせてみるのがよいだろう。
出典:国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」※この先は外部サイトに遷移します。
ポイント4.不動産投資の知識を身につける
マンション経営で安定収入を得ていくためには、オーナー自身が不動産投資に必要な知識を身につける必要がある。なぜなら知識があることで効率的な運用やリスクヘッジができるからだ。マンション経営に最低限必要な知識の一例は、以下の通りだ。
2.インカムゲインとキャピタルゲインの違い
3.不動産投資のメリットデメリット
4.不動産投資のキャッシュフロー
5.不動産投資に欠かせない指標 など
▼必要な知識をさらに深められる記事はこちら
不動産投資に必要な知識を総まとめ!よくある間違いやオーナーのタスクを紹介
ポイント5.長期的な目線で経営を考える
不動産投資は、不動産所得をコツコツと積み上げ、長期的な目線で経営を考えていくことが重要となる。長期的な目線での資金計画・返済計画・修繕計画・出口戦略(売却タイミング)などのプランニングが求められる。
現実のマンション経営を意識したシミュレーションも大事
本コラムでは、マンション経営の不動産収入をテーマに解説した。最終的には、不動産所得やキャッシュフローなども含めてシミュレーションしたうえで物件購入を検討することが重要だ。
またシミュレーションの際は、満室を想定した利回りだけでなく空室数や空室期間などのストレスを加えて現実のマンション経営に近い不動産収入や不動産所得を割り出すことも欠かせない。
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