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ビットコイン開発者、匿名の創設者「サトシ・ナカモト」の人物像を明かす【フィスコ・仮想通貨コラム】


ビットコインは、2008年11月に「サトシ・ナカモト」を名乗る人物が発表した論文によって初めて構想が提唱された。以降、その設計思想に賛同した数人の開発者とともにビットコインのシステムが作り上げられたものの、サトシ・ナカモトはこの開発メンバーをも含めて、身元を隠すことを貫き、未だにその正体は明らかになっていない。

アメリカ国内で立ち上げられた極秘プロジェクトのコードネームが「サトシ・ナカモト」だとの説があるほか、これまでに何人かサトシ・ナカモトであると推測された人物もいたものの、決定的な情報はない。

そんななか、ビットコインの草創期の開発メンバーの一人で2010年にサトシ・ナカモトと数百通のメールを交わしたというラースロー・アニクツ氏が、ビジネスインサイダー誌のインタビューにおいて、サトシ・ナカモトとのやり取りから受けた印象を語った。

アニクツ氏は、2010年5月22日に1万ビットコイン(BTC)をピザ2枚と交換した人物として知られる。ビットコインを使って初めて成立した取引として、5月22日が「ビットコイン・ピザ・デー」と呼ばれるようになる程、仮想通貨の世界で有名な出来事である。

アニクツ氏は、「ビットコインを素晴らしいと思ったため、携わりたかった」と開発に加わった動機を明かしている。同氏は当時、定職が別にあったため、ビットコインの開発は趣味と位置付けていたが、サトシ・ナカモトは自分をフルタイムの従業員かのように扱ったと振り返る。「やぁ、このバグを直せるか?」「これできる?」といったメールが届いたとして、サトシ・ナカモトのやや強引な人物像を伺えるエピソードを明かした。

インターネット上での風変わりな人との交流には慣れていたと語るアニクツ氏であるが、サトシ・ナカモトとのやり取りでは、一貫して奇妙な印象を感じたという。非常に骨の折れる、技術レベルの高いプロジェクトに一緒に取り組んでいたにも関わらず、サトシ・ナカモトが一貫して素顔を隠し続けた点は特筆して異様だったと語っている。「彼もしくは彼女か知らないが、一度もパーソナルな話を聞いたことがない。幾つか質問をしたが、いつもかわされ回答されることはなかった。」と伝えている。

インタビューでは、サトシ・ナカモトはアニクツ氏がマイニング(ビットコインの新規発行と取引認証の際に行われる計算作業)によってBTCを大量に取得していたことに批判的だったことも伝えられている。

マイニングを行うためには、高性能のコンピューターと大量の電力消費が必要なため、資本を持つ人がBTCを得られる図式が出来上がることは否めない。アニクツ氏はサトシ・ナカモトが、マイニングが一部の人間に富の集中を起こすという課題を持つことに気付いており、ビットコインコミュニティーの拡大と商業的な利用例を増やしたいと願っていたと伝えている。

ビットコインは、特定の管理主体がいない非中央主権的な通貨として設計された。サトシ・ナカモトが正体を隠し続けるのも、その設計思想に基づくもので、今後も姿を現すことはないと想定される。アニクツ氏は、開発者が世間の目を避けるという決断をしていなかったら、ビットコインは今日存在していないかもしれないと見解を示している。




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