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テリロジー社 宮村信男取締役インタビューvol.3 今後のセキュリティ問題と、国や企業への提言【フィスコ 株・企業報】


◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年春号 −仮想通貨とサイバーセキュリティ 』(4月28日発売)の特集『株式会社テリロジーに聞く「サイバーセキュリティの変遷と未来」』の一部である。全7回に分けて配信する。

2018年初に発生したコインチェック事件など、サイバー空間でのビジネスが伸びる一方で、必然的に増えるサイバー犯罪。様々な法人や行政にデジタル世界でのセキュリティを提供し続けてきた、株式会社テリロジーの宮村信男取締役に、サイバーセキュリティの今をうかがった。

■今後のセキュリティ問題として、考えられることは何でしょうか?

大きな問題として、2020年の東京オリンピックがあります。ロンドンやリオ、直近の平昌もそうですが、オリンピックにあわせてサイバー攻撃が指数関数的に増えるというのは周知の事実です。日本に対しても2020年の東京オリンピックに向けて、様々な攻撃が増えていくものと考えられます。そこに対する対策が求められます。また、地政学リスクの高まりもあります。前述の敵対関係にある国家に対するリスクです。

さらにもう1つ気になるのが5Gの導入です。前倒しされるとの観測もありますが、導入されてIoTが本格化するということになれば、今まで以上に様々なデバイスがネットに接続されるわけで、そこがまた新しいリスクとなることが予想されます。

攻撃技術が発達したこと、仮想通貨というインフラができたこと、それに加えて守る側の意識や技術があまり上がっていないことがあり、今は圧倒的に攻撃する側が有利な状況にあります。だからこそ、セキュリティに対する投資を強化しなければならないと考えている企業も増えていますし、重要インフラに指定されている業種では国からの指導もあって取り組みの強化が加速されるでしょう。ただ全体的な取り組みはまだまだですね。

■重要インフラとは電力や交通などのことかと思いますが、こうした業種のセキュリティへの取り組みについて、国とそれぞれの企業とで温度差のようなものを感じられることはありますか?

業種や会社によってまちまちな部分もありますし、当社の顧客には電力業界の企業もおられますが、同じ電力とはいっても地域によって感度がかなり異なる印象もあります。ただ電力の場合は重要な社会インフラであり、何らかのサイバー攻撃で電力の供給に影響がでたりすれば人命に関わることも予想されます。そのリスクについてはかなり真剣に考えていらっしゃると感じています。

また、大きなプラントを持っているような企業のケースも注意が必要です。サイバー攻撃といっても、金銭目的のものもあればテロ目的のものもあります。テロ目的であれば、制御システムにより運営されているプラントを持っている企業のリスクは高いといえます。操業中のプラントの制御システムが攻撃されれば、人命に関わるよう事故になる可能性もありえます。

日本では少ないのですが海外では、ウクライナでの電力の事件などもありました。その点ではこういった領域の方々も、国からの指導がある側面もありますが、セキュリティについて考えるようになってきています。

ただ、1つ問題なのは、サイバーセキュリティは基本的にITの領域で、ITの人たちがやるものという意識がある一方で、プラントに関わる人たちはOT=オペレーションテクノロジー、いわゆる生産管理などをずっとおこなってこられた方であることです。

この方たちがセキュリティ対策を講じることになるのですが、セキュリティの意識が必ずしも高くないことがあります。もともと隔離された環境で、外乱要因がないことを前提にすべてを動かしてこられたので、そうしたITとOTの温度差というものを埋めていくことも、これからやっていくべきことかと思います。

セキュリティについて考えるのであれば、まず状況がどうであるか、環境がどうであるかを把握することが重要になります。外的な要因としてオリンピックがあること、5Gが始まるということ、地政学的にいま緊張があること、IoTのさらなる普及が日本についての状況になります。

海外については攻撃する側の人数が増えていること、攻撃者を支援するためのインフラが整備されていること、マネタイズするためのバリューチェーンが出来上がっていることがあります。これを踏まえて次に何をするかを考える必要があります。

(つづく~「テリロジー社 宮村信男取締役インタビューvol.4 ダークウェブは脅威の発信源【フィスコ 株・企業報】」~)

【宮村信男Profile】
2002年に米国南カリフォルニア大学にてMBA取得。2004~2007年、シスコシステムズ合同会社インダストリーソリューションマネージャー。米国本社直轄のプロジェクトとして、製造業の工場ネットワークシステムのIP化を推進。2007年より株式会社テリロジーにて、自社開発製品の立ち上げ及び海外市場の開拓や、証券取引所、外資系証券会社向けHFTアルゴリズムトレーディングモニタリングビジネスのアジア展開などを手がけている。また、2008年6月には、株式会社テリロジーの取締役に就任する。2016年からは、サイバースレットインテリジェンスビジネスの立ち上げ・展開に携わるほか、ネットワークインフラ構築事業からサイバーセキュリティ対策への事業ポートフォリオの転換を推進。2017年には、株式会社テリロジー取締役執行役員副社長に就任し、2018年4月からは、株式会社テリロジーワークス代表取締役社長兼任となる。




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