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恵和 Research Memo(9):光学製品事業は新製品群で提案領域を拡大。機能製品事業はクリーン環境を強みに展開


*11:09JST 恵和 Research Memo(9):光学製品事業は新製品群で提案領域を拡大。機能製品事業はクリーン環境を強みに展開
■恵和<4251>の中期経営計画

3. 事業別戦略
(1) 光学製品事業
a) 新製品群「オプラム」
「オプラム(OPLAM)」はオプティカルとラミネーションの造語で光学機能の積層を意味しており、これまでに、性能や操作性の向上、フィジカルリスク軽減に向け、シートやフィルムの積層から様々なアイディアが創出され、技術開発を多彩に進めている。たとえば、自動車のHUD(ヘッドアップディスプレイ)はボンネットに近いことから耐熱温度105℃が要求され、「オパスキ」「オパルス」はほかのシートや金属製品と複合して利用されるケースが多く、他の素材と一体化した製品の開発に至った。さらに、最近のHUDはフルカラーで多様な情報を表示し大画面化しているため、さらなる明るさと同時に耐熱の課題が想定される。ほかにも、SDV※1の進化に伴い車載インフォテインメント※2の加速が見込まれ、安全性を担保しつつシステム操作を明瞭に視覚化するディスプレイ技術への需要は高まることが予想され、同社の格好の提案機会となるだろう。光拡散シートに他機能を付加したり、光拡散以外の機能に特化したり、技術を融合した研究開発を進める。同社は元来ニッチ領域を中心に展開することから機微な需要の発掘を得意としており、市場動向に沿う形で業界全体に照準を当て、アイディアを製品化して事業基盤を広げる方向に進んでいる。

※1 ソフトウェアを更新し、運転支援機能や娯楽性など様々な機能を随時アップデートしてサービスを提供する自動車を指す。
※2 自動車のドライバーや同乗者が必要とする情報や娯楽を提供することで、運転をサポートし快適性を向上させる機能を指す。

世界的なEV減速傾向を受け、「オプラム」での案件獲得は難しい状況にあるものの、市場回復を見据え前述のとおりMVP開発マシンを導入したほか、エネルギー高の影響もあり足元では日本国内と欧州でEV市場は回復基調を見せている。安定した高品質とオンスケジュールの生産体制で、回復する需要の取り込みが期待される。

b) 環境適合型高機能フィルム「SUGORIA」シリーズ
最大の特徴は、光拡散や輝度向上等の性能に、PFASフリー等の環境負荷低減機能を付加したことである。これにより、高機能性と環境性能を両立、経営理念「自然と産業の調和を創造する」を体現する。ほかにも、耐熱性やUV耐候性、傷つき防止、防汚、飛散防止、出光方向制御、色度制御など、多様な顧客需要に対応し付加価値を提供する。ディスプレイ領域での今後の方向性は、液晶のみならず、高価格なOLEDや自動車のHUDなど、様々なディスプレイへの対応を想定する。業界としては、自動車、医療はもちろん、ライフサイエンス等、裾野を広げ水平展開する方針である。

(2) 機能製品事業
a) 医療用工程フィルム「メディテクト」
医療や介護領域の拡大を見込み、ダイアライザー製造過程での異物混入防止や安全視認のための透明性に関する課題に着目し、クリーン環境でのコンタミネーションリスクを排除した同社のフィルム生産実績が認められた形で採用につながった。ブランドスイッチから受注を獲得し、シェアは拡大した。足元では、既存顧客での在庫調整の影響が続くものの、需要の伸びる他用途への対応を模索しつつ現在取引している顧客以外のダイアライザーメーカーへの販促活動を展開している。なお、現状では日本国内のみの販売となるが、経済発展の進む新興国でも人工透析療法の需要は増加しており、中国を含むアジア地域への展開も、ベトナム拠点開発に伴い、将来的には検討しているようだ。ただ、現実的には、新興国では人工透析器具を再利用するケースも散見されるようで、ディスポーザブル型のダイアライザーへの需要の増加はまだ先であると同社は認識している。グローバルでの本格的な需要の高まりに備え、アジア地域にダイアライザーを展開する欧州メーカーにアプローチを開始している。なお、医療用工程フィルム「メディテクト」を展開するダイアライザー世界市場は、2024年の126.5億米ドルから2030年には176.2億米ドルとCAGR5.7%の伸び率となる。同製品については、同社の強みであるクリーン環境での製造を武器に販売を推進する。

b) クリーンエネルギー車向けフィルム「ACE」
「メディテクト」同様に、クリーンな製造環境を要するクリーンエネルギー自動車向け電池用特殊フィルム「ACE」を開発し、2020年から販売開始した。燃料電池(スタック)内では薄い板状のセルが重ねられ、セル内のセパレーターが内部のエネルギー循環効率を向上させる役割を担っており、その一部で「ACE」は利用されている。2021年1月にはトヨタ自動車<7203>の燃料電池車「MIRAI」に採用されるなど、パートナー企業として顧客と連携し開発・生産を進めている。ただ、クリーンエネルギー車のEV市場の減速など、環境は厳しいことから、トヨタ自動車の他車種への採用提案や、自動車メーカー各社への提案活動を積極化している。とはいえ先にも述べたように、日本国内と欧州ではEV市場は回復傾向にあることから、潮流に乗り、新規開拓の機会獲得に期待したい。同製品に関しては、医療用工程フィルム「メディテクト」同様に、同社の有する異物混入のないクリーン環境での製造工程が大きな優位性となる。

c) ウレタンフォーム用工程紙「A!Prog-UF」
約50年前に参入したウレタンフォーム用工程紙は、日本国内市場ではほぼ100%のシェアを占めている。「A!Prog-UF」については、需要を見込み新興国市場を中心にグローバル展開している。ウレタンスポンジは、ウレタン原液を化学反応により膨張させ、乾燥炉で冷やして完成するが、その全過程で「A!Prog-UF」が成型型枠として利用される。「A!Prog-UF」は工程紙の表面にフィルムがラミネートされており、ウレタン原液の沁み込み防止と、完成時に容易にフィルムと工程紙がはがれることで完成品ロスを減少させるほか、紙のリサイクルが可能となることで産業廃棄物削減の効果をもたらす。経済成長する新興国では生産歩留まりの向上や環境配慮へ関心が高まっており、一般的な工程紙より高価格となるものの、実際に採用を検討する企業もあるようだ。2025年12月期より東南アジア、北米、豪州に進出し、2026年12月期中間期には海外市場からの収益計上が始まった。同社はマーケティングを積極化しており、高品質認知からの販路拡大による収益貢献に期待したい。ウレタンフォームの市場環境については、国内では同社のウレタンフォーム用工程紙が長年の実績を持ち独占状態にあるが、同社がほぼ未開拓の世界市場は2025年の676万tから2030年には743万tとCAGR1.9%の伸長が予測されている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)



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