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フコク:「変革」の成果で1Q営業利益5割増、依然としてPBR0.6倍台・配当利回り5%台で割安感残る


*16:03JST フコク:「変革」の成果で1Q営業利益5割増、依然としてPBR0.6倍台・配当利回り5%台で割安感残る
フコク<5185>は、PER10倍台かつPBR0.6倍台で推移している中、配当利回りも5%台半ばと、インカムゲインを享受しながらキャピタルゲインが期待できる状況にある。8月6日に発表した第1四半期の大幅増益は、こうした割安評価の見直しを促す材料となろう。

同社は独立系のゴム部品メーカーとして確固たる地位を築いている企業である。事業セグメントは、機能品(2025年3月期売上高構成比47%)、防振(同42%)、金属加工(同4%)、ホース(同6%)、ライフサイエンス(同1%)の5つのセグメントを軸に事業展開している。主力の機能品事業では、ワイパーブレードラバーで国内シェア約90%以上、グローバルシェア約60%という圧倒的な市場支配力を有している。また、防振事業ではエンジンマウントや建設機械用のビスカスマウント(国内シェア70%)、ライフサイエンス事業の細胞培養バッグ(国内シェア35%)などを提供している。生産拠点は日本国内のみならず、ASEAN、インド、中国、欧米など世界各地に広がり、地産地消の体制を整えている。2020年版経済産業省のグローバルニッチトップ企業100選に選出されている。

同社の強みは、第一に、材料の開発・配合から設計、金型製作、量産までを一貫して行う「ソリューションビジネス」を展開している点にある。これにより、顧客のニーズに合わせた最適な材料設計と高精度な製品提供が可能となり、競合他社に対する決定的な差別化要因となっている。第二に、ワイパーブレードラバーにおける世界首位級の圧倒的な市場シェアとブランド力である。長年培った高度なゴム加工技術により、極めて高い品質と信頼性を実現しており、世界中の主要な自動車メーカーから厚い信頼を獲得している。ソリューションビジネス展開していることから中国における新規の拡販も進めている。第三に、次世代モビリティへの高い適応力と事業の将来性である。電気自動車化が進展してもワイパーの需要は消失せず、むしろバッテリー周辺の放熱部材など、EV化に伴う新たな高付加価値製品の需要を取り込む成長余力を備えている。

業績について、2027年3月期の通期見通しは、売上高85,000百万円(前期比5.6%減)、営業利益3,300百万円(同13.3%減)を見込む。2026 年度の売上は、各国地域で中東情勢の影響等を一定程度織り込んでいるもよう。ただ、今年度は様々な変革プロジェクトにより、利益向上策などに取り組み、今期の計画は達成できると考えているようだ。

実際、8月6日に発表した第1四半期は、売上高23,358百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益1,515百万円(同51.4%増)で着地した。機能品事業は中国向けワイパー等の好調により増収増益となり、防振事業はフコクインディアの決算期変更の影響で減収ながら実質ベースでは増収を確保した。各事業で進めてきた売価適正化の効果がようやく発現したことに加え、生産性向上をはじめとする原価低減も構造的に効いており、営業利益率は6.6%まで改善。通期営業利益計画33億円に対する進捗率は約46%に達し、中東情勢の影響を除けば会社想定を上回る滑り出しだったという。もっとも、中東情勢に伴う原材料等のコストアップの要請が6月下旬から出始めているようだが、会社側は上期終了時点で状況を見直し、予想修正の要否を判断する構えであり、上振れ余地を残した保守的な計画といえよう。

同社は、EV関連需要の後ずれで中期経営計画は取り下げたが、今後はライフサイエンス分野と半導体関連の拡大、インド・米国市場の開拓に注力する考えである。そのうえで2026年度は赤字・不採算製品の削減、原価低減を進め、「市場戦略強化」として同社製品・市場の強みが活かせる市場への取組を強化。また、「モノづくり力強化」や「M&A も活用した新規事業の立ち上げ」などにも積極的に取り組んでいる。2027年度を初年度とする次期中期経営計画では、稼ぐ力の強化を軸に収益性・資本効率を高め、持続的な成長と企業価値の向上を目指す方針である。

ただ、成長戦略に変化はなく、市場におけるテクニカルセンターの機能強化を通じた中資系自動車メーカーへの拡販であり、2030年にはワイパーのグローバルシェアを65%まで引き上げる方針である。また、インド市場においても現地R&D機能の設置や生産体制の強化を進めており、市場の成長速度を上回るペースでの拡大が期待される。さらに、日本の実績をASEANへ拡大しており、インドネシアでは参入障壁の高い鉄道関連部品を受注。インドネシア国産鉄道の車両の国産化率向上に貢献しており、今後もASEANでの拡販を図っていく。

さらに、成長事業として、EV関連製品、ライフサイエンス分野、半導体関連、宇宙分野の強化も図る。EV関連では放熱ギャップフィラーが第1四半期の増収に寄与しており、EVシフトで先行する韓国向けが伸長している。ハイブリッド中心の国内市場は今後の立ち上がりが見込まれ、バッテリーホールドシートや大型電池用防振製品と合わせて製品群の拡充を進める。ライフサイエンス分野では、迅速細菌検査キットや細胞培養関連製品の量産体制を確立。5月19日には、活性化NK細胞大量培養キット「Phicello NK/Tシリーズ」を新発売した。ライフサイエンス事業は既に一定のビジネス規模となっており、日本市場を中心に投資を継続していく方針である。半導体関連分野でも、シリコンウェーハ製造向けワイヤーソー用ウレタンローラーで世界トップシェアを有する。シリコンウェーハは日本メーカーが世界上位を占めており、AI・データセンター投資を背景にウェーハ生産量が拡大すれば、その受け皿となるローラーにも需要が波及する構図で、今後の受注増が期待される。また、宇宙分野では、JAXAの宇宙戦略基金事業に採択された。これまでに培ってきたロケット・人工衛星向け振動減衰技術の開発実績を基盤に、打上げ環境から軌道上まで搭載された機器類を一貫して保護できる振動減衰機能を構築していくようだ。これら高付加価値製品の比率向上により、長期的な収益基盤の飛躍的な向上が見込まれている。

株主還元では、連結配当性向の目安を30%から40%へ引き上げるとともに、年間50円の下限配当を新たに設定した。2027年3月期の年間配当金予想は100円(前期比15円増)を計画、安定的な収益成長を背景に還元額も着実に増加傾向にある。

総じて、同社はゴム加工技術を核とした圧倒的な世界シェアを基盤に、自動車産業の構造変化をチャンスに変える強固な経営体質を有している。第1四半期に成果が表れた売価適正化・原価低減など「変革」の進展や、EV化に伴う新製品の拡販、さらには成長市場であるインドや中国での戦略的な事業展開など、将来の成長に向けた布石は着実に打たれている。株主還元に対する前向きな姿勢も考慮すれば、現在の割安な株価水準からの見直し買いが期待できる状況にある。グローバルニッチトップとして確固たる地位を築きながら、ライフサイエンス事業・半導体関連事業の推進や、新たな事業領域への挑戦を続け、中長期的な成長を見込むことができる同社の今後の躍進に期待したい。



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