フォーバル Research Memo(3):可視化伴走経営支援サービスを軸に中小企業・自治体のGDX・ESG支援(1)
■フォーバル<8275>の事業概要
1. 企業ドクターグループ
企業ドクターグループでは、中小・小規模企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティング、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取り次ぎなどを手掛ける。主力事業は、経営コンサルティングである可視化伴走経営支援サービスと、創業以来手掛けているビジネスフォンをはじめとする情報通信機器やOA機器の販売だ。情報機器や通信サービスを接点に次世代経営コンサルティングなどの可視化伴走経営支援サービスでより深い解決策を提案するという一連の流れで、中小・小規模企業の多様なニーズに対応する体制を整備している。同社のコンサルティングの特色は5分野(情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継)と3手法(売上拡大、業務効率改善、リスク回避)に整理される。2024年3月期以降は、成長戦略として中小企業の「ESG経営を可視化伴走支援する」を掲げ、人材投資や営業開拓を積極的に行っている。2027年3月期第1四半期は、可視化伴走経営支援サービスが堅調に推移し、売上高が8,659百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益は187百万円(前年同期は33百万円の損失)となった。
2. 可視化伴走経営支援サービス
同社の最も注目すべき事業は、企業ドクターによる可視化伴走経営支援サービスである。定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特徴のコンサルティングサービスである。
可視化伴走経営支援サービスの基本構成は、「よろず経営相談」サービス、定期訪問や通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問い合わせサービス、顧客専用サイトとなっている。また、メニューとして、経営コンサルティング系、個人情報管理系、パソコン・ネットワーク系、スマートフォン・パッド系、ホームページ系、電話系、コピー系といった幅広いサービスを提供する。現在の一般的な可視化伴走経営支援サービスの顧客単価は月額30,000円程度からとなっている。ほかのサービスへの入り口と位置付けているため、設定金額は低めである。同サービスは、従来は自社の“企業ドクター”が行うのが基本であったが、パートナーの販売会社の“企業ドクター”によるサービスが大きく伸びている。可視化伴走経営支援サービスはそれ自体が利益率の高いサービスであることに加え、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。
可視化伴走経営支援サービスの一環としてリリースされたものには、スマートフォンから簡便かつ安価に勤怠管理を行えるクラウド型勤怠管理システム「HRMOS(ハーモス)勤怠 by FORVAL」や、業務フローの見直し・マニュアル化を行い、ペーパーレス化・標準化で業務の効率性を高めるコンサルティングサービス「PPLS(ププルス)」などがある。これらは、働き方改革の大前提となる勤務実態の可視化とともに、より生産性の高い働き方への変革を支援する。追加メニューの増加は顧客単価の向上につながる。実際に1顧客当たり売上高(ARPU)は年々上昇している。顧客件数と顧客単価の両方の伸びが重なり、可視化伴走経営支援サービスの事業規模は増加傾向で推移している。
3. F-Japan戦略
同社は2022年に「F-Japan戦略」を打ち出し、地域でDX・GX人材が育ち、地域内で働ける環境を構築する“DX・GXの地産地消”を推進してきた。「F-Japan戦略」は、地域の基幹病院を中核とした体制やそこで活躍するドクターの創出に例えることができる。現在の企業ドクター数は2,030人(2026年3月期、同社及びバートナー企業内)だが、2031年3月には1万人(外部を含める)、将来的には26万人(同)を育てる構想である。企業ドクターの輩出は産官学金連携が基本であり、同社は地域ごとに拠点を設けて行ってきた。2026年3月末現在、同社の支部は47都道府県中35都道府県に所在し、「官(自治体)」との提携実績は累計で100案件、自治体へのデジタル専門人材派遣先実績は全国23自治体と、広がりを見せている。自治体のデジタル人材不足が背景にあるが、同社の過去の支援実績が好評で横に広がった面もある。「首長マガジン」(全国の首長のための情報交換誌)で同社プロジェクトの特定地域での取り組みが紹介され、同社と提携する利点の認知度は上がっている。自治体との提携は通常1年単位で見直されるが、複数年連続で提携する自治体も生まれており、同社の役割の重要さを物語っている。一例として、政令指定都市の札幌市からの「中小企業DXハンズオン相談支援」は5年連続で受託している。支援企業の約9割が支援に満足していると評価も上々である。また、鹿児島県さつま町からは、「企業雇用型 地域おこし協力隊」を5年連続で受託しており、若者の町外流出を防ぎ、雇用機会の創出を通じて移住者を呼び込むことに成功した事例として注目を集めている。「F-Japan戦略」に多くの自治体が参画しているため同社の企業ブランドに好影響が生まれており、ほかの自治体や地域の中核企業との連携スピードが加速しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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