シンバイオ製薬 Research Memo(7):2026年12月期中間期業績は研究開発費の増加により営業損失が拡大
■シンバイオ製薬<4582>の業績動向
1. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比27.3%減の469百万円、営業損失で3,635百万円(前年同期は2,154百万円の損失)、経常損失で3,608百万円(同2,340百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失で3,619百万円(同2,369百万円の損失)となった。
売上高は、「トレアキシン」の薬価改定による売価ダウンに加えて、後発医薬品への切り替えが進んだことによる数量減により減収基調が続いた。後発医薬品は3社が販売しており、「トレアキシン点滴静注液100mg/4mL」の場合、薬価は同社価格に対して30%台の水準で販売されており、価格差がシェア低下の要因となっている。
売上総利益率は薬価改定の影響もあって前年同期の76.3%から72.0%に低下し、売上総利益は同31.5%減の338百万円となった。販管費のうち、研究開発費は造血幹細胞移植後のAdV感染症を適応症としたBCVの国際共同第3相臨床試験が始まったこともあり、同89.5%増の2,997百万円に増加した。営業費用や管理費などその他の販管費については同8.4%減の976百万円と抑制したものの、研究開発費の増加が営業損失の拡大につながった。営業外収支は前年同期比で213百万円改善した。社債発行費が82百万円、為替差損が64百万円それぞれ減少したことが主因だ。
第三者割当増資により研究開発資金を調達する方針
2. 財務状況と健全化施策
(1) 財務状況
2026年12月期中間期末の資産合計は前期末比1,959百万円減少の1,907百万円となった。主な変動要因を見ると、前払費用が200百万円増加したのに対して、現金及び預金が1,906百万円、棚卸資産が138百万円、売掛金が109百万円それぞれ減少した。
負債合計は前期末比104百万円減少の2,490百万円となった。主な変動要因を見ると、未払金が1,031百万円増加した一方で、転換社債型新株予約権付社債が500百万円、社債が650百万円それぞれ減少した。また、純資産は同1,854百万円減少し、582百万円の債務超過となった。中間純損失3,619百万円を計上したほか、予定していた新株予約権の行使が株価低迷で進まず、転換社債の株式転換と合わせて1,839百万円の資本増強にとどまったことが影響した。
(2) 財務健全化施策
債務超過からの早期脱却及び財務の健全化に向けて、同社は以下の5つの施策に取り組んでいく。
a) 事業計画の着実な実行(AdV感染症国際共同第3相臨床試験及びPML第2相臨床試験の症例蓄積とパートナリングによる契約一時金の獲得)
b) リファイナンスの実施によるキャッシュ・フローの安定化
c) ライセンス戦略の着実な実行(AdV感染症を適応症とした欧米市場における商業化権のライセンス供与、がん領域3疾患を対象とした北米市場の商業化権のオプション権供与、「pMエンジン」のグローバルIVD企業への販売ライセンス供与)
d) 資本増強(業務提携と連動し、第三者割当増資により、暗敵的な資本基盤を構築)
e) 組織体制の見直しによって、人件費や家賃等のバーンレート(1ヶ月当たりの支出額)の抑制を図る。
このうち、リファイナンスについては8月17日付で、EVOファンドとの無担保社債ファシリティ契約証書の締結及び第2回無担保普通社債(私募債)の発行、並びに第三者割当による第70回及び第71回新株予約権(行使価額修正状況付)の発行を発表した。無担保普通社債(ゼロ・クーポン債)は初回(9月3日)に100百万円発行し、上限500百万円まで発行する(償還日は2029年9月3日)。また、新株予約権は第70回、第71回ともに48万個(潜在株式数4,800万株)を9月2日に発行する。当初行使価額は71円で下限行使価額はいずれも36円に設定している。新株予約権の発行と行使により調達する資金は、当初行使価額ですべて行使された場合に6,768百万円となり、BCVの開発資金に充当する予定だ。ただ、ファイナンス発表後に株価は希薄化懸念※で62円(8月28日終値)に下落しており、当初想定した調達額を下回る可能性もある。一方で今後、大型ライセンス契約が決まった場合には、株価上昇で調達額が想定を上回ることも十分に考えられ、その動向が注目される。
※ 第70回、第71回の新株予約権がすべて行使された場合、2026年6月末の発行済株式総数に対する希薄化率は125.6%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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