タクマ Research Memo(3):長期にわたる一連の業務を継続して受注する安定したビジネスモデル(1)
■会社概要
3. 事業内容
タクマ<6013>の事業内容は、環境・エネルギー(国内)事業、環境・エネルギー(海外)事業、民生熱エネルギー事業、設備・システム事業の4つの事業セグメントに大別される。さらに、環境・エネルギー(国内)事業の各製品・サービスは、一般廃棄物処理プラント(EPC)、一般廃棄物処理プラント(アフターサービス)、エネルギープラント、水処理プラント・その他に分類される。2026年3月期の事業セグメント別の売上高の割合は、主力事業である環境・エネルギー(国内)事業が77%を占め、他3つの事業セグメントは民生熱エネルギー事業16%、設備・システム事業5%、環境・エネルギー(海外)事業2%の順に続く。
(1) 事業セグメント
a) 環境・エネルギー(国内)事業
環境・エネルギー(国内)事業は、さらに一般廃棄物処理プラント(EPC)、一般廃棄物処理プラント(アフターサービス)、エネルギープラント、水処理プラント・その他の4つに区分されており、主力は一般廃棄物処理プラントのEPC及びアフターサービスである。自治体向けごみ焼却プラントの設計・調達・建設から、運転管理及びメンテナンス・改造工事まで、施設のライフサイクル全体をカバーする一貫したサービスを展開している。1963年に国内初の全連続式ごみ焼却プラントを納入して以来、累計370件超の納入実績を有する。長年にわたる技術とノウハウを生かし、地域ニーズに応じた最適なソリューションを提供するとともに、AIやIoTなどの最新技術を取り入れ、さらなる価値向上に取り組んでいる。
b) 環境・エネルギー(海外)事業
1950年代から同社は東南アジア(特にタイ)にボイラを多く納入し、現在は現地法人を置くタイと台湾を中心に、バイオマス発電プラント、廃棄物発電プラントの建設とメンテナンスのサービスを提供している。タイをはじめとする東南アジア諸国のバイオマス発電プラントは引き続き一定の需要が見込まれるが、インドや中国メーカーとの厳しい競争環境が継続している。一方、タイ政府の再エネ推進政策により今後は廃棄物発電やバイオマス発電の需要拡大が期待され、現地法人との連携や現地企業とのパートナーシップ拡充、コスト競争力の強化、性能・品質面での差別化を通じて、付加価値を高めながら継続的な受注拡大を目指している。
c) 民生熱エネルギー事業
同社グループである(株)日本サーモエナーが、汎用ボイラや温水発生機などの製造・販売・保守、さらにシステム設計・施工まで一貫して手がけている。ホテルや病院、商業施設、工場など多様な業種に対応したシステム提案により、国内市場での受注を維持・拡大する一方、タイを拠点に東南アジアでの展開も進めている。ヒートポンプと真空式温水発生機を組み合わせたハイブリッド給湯システムや、木質バイオマスボイラ、水素燃料機器など、省エネ・脱炭素型製品の開発を通じて、新たな熱源市場の開拓と温室効果ガス削減に貢献している。2026年4月には、シナジーの最大化を図るため、日本サーモエナーと(株)IHI汎用ボイラが合併した。
d) 設備・システム事業
同社グループの(株)サンプラントは空調・給排水衛生・消防など各種建築設備の設計・施工を担い、(株)ダン・タクマは半導体・電子デバイス産業向けにクリーンルーム、ケミカルフィルタ、磁気シールドチャンバーなど各種装置の販売とメンテナンスを行っている。建築設備事業では、人材育成と施工力強化を通じて、顧客の用途や条件に応じたオーダーメイドの環境提案により受注拡大を図っている。半導体分野では、大学や顧客との連携による製品開発やアライアンスを通じて、ニーズに応える高付加価値製品の提供によって競争力を高め、事業拡大を目指している。
(2) 製品・サービス
a) 一般廃棄物処理プラント(EPC)
ごみと空気が効率的に接触でき、不均質な性状のごみでも安定して燃焼させる「ストーカ※式焼却炉」、燃えにくい生ごみや湿った紙などの有機性廃棄物を発酵させ、発生するメタンガスを利用してバイオガス発電を行う「バイオガス回収プラント」、粗大ごみ・不燃ごみ・資源ごみを扱う「リサイクルプラント」などの設計・調達・建設を請け負う。
※ 火格子を階段状に並べた燃焼装置のこと。
2026年3月末現在、国内では991施設(前年度比13施設減)、1日当たり処理能力で173,761トン(前年度比837トン減)のごみ焼却施設が稼働している※1が、稼働後20年以上経過が約7割を占めるなど老朽化が進んでいる。特に、1990年代にダイオキシン類対策のために整備された多くの施設が更新時期を迎えており、当面は更新・延命化需要が継続する見込みだ。一方、民間ノウハウ活用の観点から、DBO※2方式が増加している。また、施設の機能としての廃棄物処理のみにとどまらず、地域の防災拠点やエネルギーセンターなど、新たな価値創出が期待されている。
※1 出所:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)」
※2 Design-Build-Operate方式の略。公共団体などが資金調達し、民間事業者に施設の設計・建設・運営を一体的に委託し実施する方式のこと。
b) 一般廃棄物処理プラント(アフターサービス)
全国で稼働する100超の一般廃棄物処理プラントに対し、定期メンテナンスや運転管理などのアフターサービスを提供し、安定的な廃棄物処理を支えている。2004年より遠隔支援を開始し、2016年には支援機能を強化した「POCSYS」、2019年には遠隔監視・運転支援の拠点として「Solution Lab」を開設した。24時間体制での遠隔監視や運転支援、運転技術の継承にも注力している。さらに2023年には部品供給拠点「Supply Lab」を設置し、重要部品の常時ストックを開始した。万一のトラブル時にも迅速な復旧を可能とし、顧客施設の安定稼働とライフサイクルコスト低減に貢献している。
c) エネルギープラント
木質チップやPKS※1、RPF※2など多様な燃料に対応した発電プラントをオーダーメイドで設計・建設し、メンテナンスを通じて長期安定稼働を支えている。2012年のFIT制度開始後に需要が拡大し、2014年の初号機以降、累計約60基を納入した。今後はFIT見直しを背景に中小型プラントへの移行や、産業用ボイラ更新期を捉えた非化石燃料への転換需要の拡大が見込まれる。
※1 Palm Kernel Shellの略。パーム油(アブラヤシの実から搾り取られた油)を搾り取った後の殻のこと。
※2 Refuse Paper and Plastic Fuelの略。マテリアルリサイクルが困難な古紙及びプラスチック類を原料とした固形燃料のこと。
d) 水処理プラント
下水処理施設で使用される、高速ろ過に対応した省スペース型の砂ろ過装置「ユニフロサンドフィルタ」や、低動力の撹拌機「バイオブレードミックス」など、省エネ性能に優れた製品を展開している。省スペース型のろ過装置は老朽設備の更新需要にも適合し、今後の拡大が期待される。また、汚泥処理では、補助燃料不要でN2O(亜酸化窒素)排出が少なく、発電機能を備えることで省エネと温室効果ガス削減を両立する「階段炉下水汚泥焼却発電システム」を提供している。同システムの環境性能の高さから2つの賞を受賞しており、既に5件の受注実績がある。今後も創エネと環境性能を武器に受注拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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