ティア Research Memo(2):名古屋を地盤とする葬祭事業の大手。M&Aも活用しながら事業規模を拡大
■事業概要
1. 会社沿革と事業内容
ティア<2485>は名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立された。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱した。葬儀業を「究極のサービス業」と位置付け、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を通じて顧客基盤を拡大し、直営店だけでなくFC展開も進めながら成長を続けている。
2017年に愛知県内で湯灌サービス及びメイク納棺、生花販売業務を行う(有)愛共(現 (株)ティアサービス)を子会社化し、連結決算を開始した。また、葬儀周辺サービスへの事業領域拡大を目的に2022年11月に(株)ベンリーコーポレーションが展開する生活支援サービス「Benry」にFC加盟し、「ティアの会」会員向けの生活支援サービスや自社葬儀会館の営繕業務を名古屋市内の一部地域で開始した。ここ最近では葬儀運営会社のM&Aにも積極的に動いており、2023年11月に2社※1、2025年7月に1社※2を子会社化した。
※1 大阪府八尾市を中心に葬儀会館「八光殿」等を運営する八光殿、愛知県豊川市を中心に葬儀会館「東海典礼」等を運営する東海典礼を子会社化した。投資ファンドから全株式を7,304百万円(諸経費含む)で取得。のれんは6,889百万円で15年定額償却となる。2024年9月期第2四半期より連結業績に組み入れた。
※2 北海道札幌市で家族葬ホールを展開するメモリアジャパンの全株式を380百万円で取得した。のれんは124百万円で15年定額償却となる。2026年9月期第1四半期より連結業績に組み入れた。
事業セグメントは、葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館の運営などを行う葬祭事業、FC加盟企業向けのサービスとなるFC事業、不動産事業や八光殿のリユース事業などを含むその他事業に分けて開示している。売上高・利益ともに約9割を葬祭事業が占めている。FC事業では、出店エリアの市場調査から会館企画、社員教育、経営指導、葬儀付帯品等の販売、アフターフォローに至るまでトータルサポートを提供している。売上高には、加盟時に支払う加盟金(2百万円)のほか、出店申込金(3百万円)やロイヤリティ収入(売上高の3%)、物品売上、社員に対する教育サービス料などが含まれる。FC加盟に関しては、同一商圏内に複数出店が可能な事業者であることを条件としている。以前は同業者の加盟を認めていなかったが、現在は理念に共感する同業者であれば、FC加盟だけでなくM&A対象としての検討も進めている。
2. 店舗数の推移
2026年9月期中間期の店舗数は、同社直営店97店舗(うち、葬儀相談サロン3店舗)、FC店75店舗に、八光殿21店舗、東海典礼26店舗、ティア北海道3店舗の合計222店舗となった。地域別店舗数で見ると、単体の直営店は名古屋市内で40店舗、名古屋市内を除く愛知県で32店舗、三重県9店舗、大阪府5店舗(うち、サロン1店舗)、東京都4店舗(うち、サロン2店舗)、埼玉県5店舗、千葉県2店舗となっており、全体の7割強を愛知県が占めている。また、FC店は愛知県に22店舗、岐阜県に20店舗、大阪府に16店舗、富山県に6店舗、神奈川県に5店舗、三重県及び静岡県に各2店舗、和歌山県及び東京都に各1店舗を展開している。FC加盟社数は前期末から1社減少し14社となり、そのうちNANKAI<9044>(旧 南海電気鉄道)のグループ会社である南海グリーフサポート(株)が17店舗(大阪府、和歌山県)と最も多く出店している。
2019年9月期以降の出店形態は、葬儀会館よりも規模の小さい家族葬専用ホールを中心としている。少子化など社会環境の変化に伴う家族葬ニーズの高まりに加え、出店に必要な敷地面積が200坪前後と葬儀会館(約500坪)に比べて小さく、コンビニエンスストア跡地への出店も可能で候補物件を確保しやすい点、さらには設備投資額を低く抑えられる点が要因だ。
なお、地盤となる名古屋市内の斎場シェアはトップを維持しており、2026年9月期中間期は28.3%を占めた。前期の29.2%から若干低下した背景には、新興企業による積極的なプロモーション活動の展開など、顧客獲得競争の一段の激化がある。そのため、同社は顧客獲得施策を改めて強化し、斎場シェアの維持向上を図る方針である。
3. 顧客内訳と会員数の推移
同社は「ティアの会」の会員及び同等のサービスを受けられる提携団体(法人・各種団体)を獲得することで、持続的な売上成長につなげている。2026年9月期中間期の葬儀売上高(単体)の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」会員で68.0%、提携団体で21.9%、フリー・他で10.1%となっており、売上高の約90%を会員及び提携団体向けが占めており、同社業績における会員基盤の重要性の高さを示している。なお、フリー・他の構成比は2022年9月期の5.8%から比率が2倍近くに高まっている。これは、低価格ニーズを取り込むために非会員向けに提供をはじめた「ティアシンプル」の件数が伸長したことによる。
「ティアの会」は入会金を支払うことで、会員特別価格による葬儀、葬儀後の法要、香典返しの利用が可能となる、独自の会員システムである。提携企業163社、全国218店で特典・割引を受けられる「会員優待サービス」をはじめ、提携先の通販会社などで利用可能な「生き方応援ポイント」や「葬儀保険」など、複数のサービスを提供している。会員数は2026年9月期中間期末で57.0万人となっており、年間3万人前後のペースで増加を続けている。提携団体も1,508団体と増加基調を維持しており、今後も安定した葬儀需要が見込まれる。また、八光殿や東海典礼も同様の会員制度を導入しており、これら2社の会員数は3.5万人に上っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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