坪田ラボ Research Memo(7):事業モデルを事業開発型にシフトし、クロスドメイン戦略で成長を目指す
■業績動向
4. 中長期戦略
(1) 事業モデルの進化
坪田ラボ<4890>は、2027年3月期以降の成長戦略として、事業モデルを従来の研究開発型から事業開発型へシフトする方針である。収益モデルについては、開発のアーリーステージでの導出による契約一時金及びマイルストーン収入の獲得に加えて、2027年3月期以降は一部の有望な開発パイプラインや希少疾患領域では、一定程度自社で臨床開発を進める。これにより、パイプラインの市場価値を高めたうえで導出する戦略だ。また、収益の安定性を高めるため、医薬品・医療機器の開発だけでなく、医療分野以外のヘルスケア領域(サイエンスコスメ事業、ReLight Tech事業)も展開し、クロスドメイン戦略により企業価値の向上を目指す。
事業モデルの事業開発型への進化については、外部の有力アカデミアと共同で最先端研究を行い、アライアンス戦略も推進しながら早期に商業化ベースに乗せていく考えだ。同社はリソースが限られることから、最小限の自前のアセット(研究員・研究施設)で最大の研究成果を迅速に創出するため、外部アカデミアとの共同研究や業務委託契約による研究員の拡充を進めており、こうした独自の研究開発モデルをCCC(Co-Creation Core)と呼んでいる。なお、海外拠点として2024年に中国、2025年に米国に事務所を開設しており、今後は海外での事業開発についても積極的に推進する方針である。
(2) ヘルスケア領域への展開
a) サイエンスコスメ事業
サイエンスコスメ事業の第1弾として、同社は2025年11月にハーバード大学での研究を基盤にDelavie Sciencesが開発した化粧品ブランド「aeonia」の国内での独占販売を開始した。皮膚科・美容医療科の医師を対象に商品発表会を実施し、医師やクリニックを通じて販売を開始した。同商品は、ハーバード大学の最先端のエイジング研究と宇宙研究を基に開発した独自成分「コスモヴェール」を配合したスキンケア製品である。「コスモヴェール」は宇宙の極限環境にも耐えうる微生物をベースに開発された新成分(バチルス溶解質)を含んでいる。同成分は米国のSpace Foundationによって「Certified Space Technology」として認定されている。また、同成分は長寿命遺伝子SIRT1を活性化させる働きを有していることが研究結果から確認されており、エイジングケア商品として今後の販売拡大が期待される。まずは学会などの講演により医師・医療関係者への認知度拡大を図り、クリニック経由での卸販売で販売実績を積み上げていく。将来的にはEC販売等も視野に入れている。
b) ReLight Tech事業
ReLight Tech事業とは、バイオレットライトをはじめとする光環境制御技術を活用し、健康科学のエビデンスに基づき、「健康を維持・向上させる」新たなヘルスケアデバイスの社会実装を目指す事業となる。第1弾として、東北大学と共同開発したバイオレットライト対応マイクロLEDディスプレイ技術を、2026年5月に米国で開催された世界最大級のディスプレイ技術展示会で招待講演として発表し、大きな注目を集めた。
ノートパソコンやスマートフォンなどに搭載される液晶ディスプレイは主にブルーLEDを光源としており、バイオレットライトを含まない構造である。長時間の利用は視力低下の一因ともなっている。共同開発した新技術では、ディスプレイ内部にマイクロLEDを組み込むことで、従来の表示機能(視認性)を維持したままバイオレットライトの照射を可能としており、日常的に使用されるデバイスを通じて光環境の設計自由度を拡張する新たな付加価値を提案する技術となる。現時点では研究開発段階にあるが、将来的にはディスプレイ、教育機器、ウェアラブルデバイスなどで採用が進む可能性がある。同社は今後、ディスプレイメーカー等と実用化に向けた検討やライセンス交渉等を進め、同事業を育成していく考えだ。
c) メディプロデュースの子会社化
2026年7月1日付で(株)メディプロデュースの全株式を150百万円で取得し、連結子会社化した。メディプロデュースは、医療・ヘルスケアマーケティングPRを強みとするほか、医療系イベントの企画運営や、眼科専門医と開発した目もと専用アイシャンプーなどの化粧品企画・販売事業を展開している。医療専門家ネットワークとコンシューマー向け製品開発・販売の両面で強みを有していることを評価し株式取得を決定した。今回の子会社化により、医療・研究・コンシューマー領域を横断した事業ポートフォリオの拡充を図るほか、化粧品事業における販売面での連携や海外展開の推進、医療系学会・研究会ネットワークの活用による研究開発成果の社会実装加速などのシナジーを見込む。また、安定的な収益基盤の取り込みによる収益構造の多層化も期待している。直近の業績(2026年1月期)は売上高411百万円、営業利益17百万円で、純資産は106百万円となっている。同社の連結業績には2027年3月期第2四半期より組み込まれ、売上高については上振れ要因となる見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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