アップル Research Memo(4):2025年12月期はタイの市場環境変化が響き、減収減益に転じる(1)
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比6.8%減の40,809百万円、営業利益で同58.7%減の568百万円、経常利益で同63.6%減の558百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同34.3%減の787百万円と減収減益に転じた。期初計画に対して売上高は上振れたものの、利益面ではタイにおける自動車流通市場の環境変化や、3月に名古屋で発生した雹被害もあって大幅未達となった。
売上高は中古車買取販売事業が前期比22.7%増の14,117百万円となったものの、中古車輸出事業が主要販売先であるタイ向けの落ち込みにより同17.5%減の26,599百万円となったことが減収要因となった。売上総利益率は前期の8.7%から7.4%に低下し、売上総利益は同802百万円の減益となった。タイの自動車流通市場の環境悪化により1台当たり売上総利益が減少したことが要因だ。タイでは政府のEV促進政策もあって中国製EVが急速に台頭したほか、政権の混乱に伴う景気低迷や金融機関におけるローン審査の厳格化などが重なり、日本車の需要が冷え込んだ。また、同社固有の要因として2025年3月に名古屋で発生した雹被害を受けた自動車について価格を引き下げて販売せざるを得ず、在庫調整も含めてマイナスの影響が第3四半期まで続いた。ただ、第4四半期は低採算取引の縮小とコスト抑制に取り組んだことにより、タイ向けの収益も底打ちし、上向きに転じたものと見られる。
販管費は前期比0.2%増と横ばい水準となり、売上総利益の減少が営業利益の減少に直結した格好だ。また、営業外収支は同169百万円悪化した。持分法による投資利益は円安効果で同12百万円増の194百万円となったものの、貸倒引当金繰入額が同127百万円増加したほか、支払利息が同28百万円の増加、為替差益が23百万円の減少となった。また、政策保有株式の売却を進めたことで投資有価証券売却益498百万円を特別利益として計上した。
2. 事業セグメント別動向
(1) 自動車販売関連事業
自動車販売関連事業の売上高は前期比6.9%減の40,716百万円、セグメント利益は同54.4%減の695百万円となった。2025年の中古車業界の動向は国内の登録台数が前年比0.8%減の3,632千台と微減にとどまったものの、為替の円安傾向が続いたこともあり、輸出台数は同9.3%増の1,490千台と3期連続で過去最高を更新した。
こうしたなか、同社の中古車輸出事業は前期比17.5%減の26,599百万円と減収に転じた。地域別売上高を見ると、タイ向けが同53.0%減の6,875百万円と大きく落ち込んだ一方で、マレーシア向けが同29.7%増の18,315百万円と為替の円安を背景に好調に推移した。これまではタイが仕向け地別で最大の販売先であったが、既述のとおり市場環境が大きく変化したことで大幅減収となった。中国EVメーカーの積極的な価格攻勢※1もあって日本の主力車種(ピックアップトラック等)の中古車相場が下落し、粗利率の悪化につながったほか、オートローン審査の厳格化※2も販売台数の減少要因となった。
※1 BYDの主力車種「ATTO 3」の価格が2024年発売当初の129万THBから69.8万THBに引き下げられたほか、8年のメンテナンスフリーを付けて販売した。ローン審査についても中華系の銀行が対応することで販売台数を伸ばすことができた。
※2 2023年12月にタイ政府が債務者保護法令を発効し、延滞債務者への返済猶予期間を設けたことで金融機関のキャッシュ・フローが悪化し、新規融資に関する審査が厳格化した。
一方、マレーシアでもEVが普及しつつあるものの、同社の販売主力車種である高級ミニバン(アルファード、ヴェルファイア等)に対する需要は根強く、高単価・高利益率が続いたほか、為替の円安傾向が続いた※ことで販売台数も前期比20.4%増の3,421台と大きく伸長し、マレーシア向け販売事業者ランキングでも2023年の5位から2025年は3位と順位を着実に上げている。
※ 2024年の平均レート33円/MYRに対して2025年は35円/MYRであった。
国内の中古車買取販売事業は前期比22.7%増の14,117百万円となり、増収基調が続いた。新車納期の大幅な遅延が解消されたことにより下取り車両の供給が増加し、買取台数が堅調に推移したこと、前年に急騰した中古車オークション相場も高値安定が続いたこと※が増収要因となった。利益面では全国のアップル加盟店舗を通じた直接買取を推進し、中間コストの削減に取り組んだことで1台当たりの粗利益を維持したほか、海外や国内で人気の高い車種を重点的に買い取ることで、資金回転率を高める取り組みを推進した。
※ 国内オークション運営の最大手であるUSSの2025年成約車両単価は前年比3%増の123万円となった。
(2) その他(リユース流通事業)
子会社のアップルオートネットワークで展開しているリユース流通事業は、売上高で前期比64.4%増の92百万円、セグメント損失で16百万円(前期は41百万円の損失)となった。査定から売却までインターネット上で完結するシステムを構築するとともに、2024年8月に東京都内に「リユース買取アップル」を2店舗出店し、時計や貴金属等のブランド品の買取からスタートして順調な立ち上がりを見せた。インフラコストなどの固定費がかかっているため、通期では損失が続いたものの、四半期ペースでは第4四半期の売上高は前年同期比23.4%増の30百万円と過去最高を更新し、セグメント利益も86千円と事業開始以降初めて黒字を計上した。売上規模が増加すれば、十分に利益貢献する見通しで、同社は2026年12月期に10店舗の出店を計画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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