スカラ Research Memo(6):2026年6月期業績は人材事業、TCG事業が伸長し実質2ケタ増益へ(1)
1. 2026年6月期の業績見通し
2026年6月期の連結業績(IFRS基準)は、売上収益で前期比7.6%増の8,800百万円、営業利益で同16.2%減の630百万円、税引前利益で同18.6%減の590百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同58.2%減の410百万円と期初計画を据え置いた。売上収益はDX事業・人材事業・TCG事業の伸長により、増収に転じる見通し。また、段階利益が減益見込みとなっているのは、前期に一過性の利益や繰延税金資産を計上したことが要因※で、これらの影響を除いたNon-GAAP指標との比較では、営業利益で同12.3%増、税引前利益で同10.5%増、親会社の所有者に帰属する当期利益で同10.8%増と実質的には2ケタ増益を見込んでいる。
※ 前期は、営業利益段階でDX事業における事業整理に伴う189百万円の収益を計上したほか、繰延税金資産の計上により法人税等調整額350百万円(益)及び非継続事業からの当期利益61百万円を計上した。
中間期までの進捗率が売上収益で45.5%、営業利益で9.0%となっており、利益ベースの進捗率が低いが、下期は各事業ともに売上収益が伸長するほか、DX事業においてシステム開発案件の納品予定があること、引き続き経費の節減に取り組んでいくことなどで計画達成を目指す。
DX事業は先行投資で減益となるも人材事業とTCG事業は2ケタ増益見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) DX事業
DX事業の売上収益は前期比7.2%増の4,950百万円、営業利益は同47.2%減の410百万円を計画している。売上収益は、SaaS/ASP事業やSES事業の伸長によりスカラコミュニケーションズが増収となるほか、エッグもふるさと納税事業を中心に増収に転じる見通し。営業利益は、一過性の収益を除いたNon-GAAP指標との比較においても30.0%減益となる見込みだ。これはスカラコミュニケーションズにおいて、サーバーの移転増強、生成AI機能を活用した新サービスの開発強化、積極的な人材投資など先行投資を実施することが要因で、2027年6月期以降は増収増益基調に復帰する見通しだ。
スカラコミュニケーションズのSaaS/ASP事業については、2026年4月より主要サービスの料金改定を予定しており(2~3%の値上げ)、月額売上で4~5百万円の上乗せ要因となる見通しだ。また、新規顧客獲得施策として、従来はデジタルマーケティングや電話セールスを中心に展開してきたが、WEB制作会社などを代理店としたパートナー施策も強化する。そのほか、各種展示会への出展によるリード獲得や既存顧客においてはキーパーソンとの関係構築を強化し、クロスセル・アップセルなどにより顧客当たり売上高のアップを狙う。
新サービス開発の取り組み状況としては、生成AI機能を活用した新サービス「次世代検索サービス」の2026年春頃の完成、2026年夏からのサービス提供開始を目指している。RAG※技術を活用してゼロクリックサーチを実現するサービスであり、ユーザーは調べものをする際に検索する手間を省くことが可能となる。また、保険会社と共同開発を進めている「SmartRAG」は、実用化に向けた実証試験を開始しており、問題がなければ本サービスに移行する予定だ。同サービスでは、毎月自動で更新される最新の法令データのみを参照し、コンテンツ原稿・保険募集文書の初稿内容を添削する機能を提供する。保険業界では法令遵守が厳格に求められており、保険募集文書などの確認作業の効率化につながるサービスとして需要が見込めることから、共同開発先以外にも横展開する計画である。
※ RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)とは、ChatGPTのような生成AIに、社内マニュアルや顧客データベースといった外部の専門知識を「参照」させながら、回答を生成させる技術のこと。
アライアンス事業も売上規模こそ小さいものの着実に育ちつつある。2022年から大塚製薬との共創プロジェクトとして開発を進めてきた「スマートヘルスケアプラットフォーム」の第1弾として2024年9月よりサービス提供を開始した法人向け健康サポートプログラム「fitbiz(フィットビズ)」は、健康経営に対する企業の関心の高まりもあり、順調に引き合いが増えている。「fitbiz」はスマートフォンアプリを通じて、“従業員の健康習慣づくりのためのサポート”や“健康施策結果の見える化”を行う「従業員の健康習慣づくり」のためのサービスである。提供する「生活習慣学習サポートプログラム」は学習コンテンツに加え、大塚製薬の製品も用いながら生活習慣を見直す12週間の有償プログラム(1万円/人)であり、プログラム終了後の結果や課題についてのレポートは、健康経営優良法人※の認定要件にも活用可能となっている。当初は50~100人規模の利用契約が多かったが、最近では大企業から5,000人規模で利用したいとの引き合いも出始めている。同社はシステム開発費に加え、サービスの運営・保守料や利用料の一定割合を売上に計上しており、2026年6月期の売上高は10~20百万円が見込まれ、当面の売上目標として1億円を掲げている。
※ 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」するための、日本健康会議が認定する顕彰制度。従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けられる環境整備を目的としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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