rakumo Research Memo(1):2025年12月期は価格改定が奏功。コスト増を跳ね返し、2ケタ営業増益
rakumo<4060>は、Google Workspaceのユーザー管理、認証、セキュリティ機能を共通利用し、Google Workspaceの機能を補完する領域(共有カレンダー、共有アドレス帳)から、Google Workspaceにない領域(電子稟議、電子掲示板、勤怠管理、経費精算)までをカバーし、クライアントの効率性向上に寄与するグループウェアサービス「rakumo」をSaaS方式で提供している。Google Workspace自体の利用者数が今後も増加することが見込まれており、Google Workspace導入企業へのマーケットシェアの拡大余地も大きいことから、同社は中長期的に高い売上成長が期待される。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比26.8%増の1,830百万円、調整後EBITA※1が同34.0%増の585百万円、営業利益が同11.6%増の428百万円、経常利益が同14.0%増の428百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.6%増の272百万円となった。サービス別売上高を見ると、rakumoサービスは価格改定効果やクライアント数の増加などにより前期比17.3%増の1,414百万円、その他サービスは(株)スタートレ(現 (株)DEGINA)※2及び(株)エージェントシェアの新規連結効果により同75.1%増の415百万円と拡大した。営業利益率は人件費増やのれん償却費などの影響で23.4%と前期比3.2ポイント低下したものの、本業の実力値を示す調整後EBITAマージンは同1.8ポイント改善の32.0%と過去最高を更新した。成長投資を進めながら高い収益性を維持している点がポジティブであり、来期以降の利益成長余地は大きいと判断される。
※1 調整後EBITA=営業利益+のれん償却費(PPAによる取得原価配分後の各種償却費を含む)+株式報酬費用+一過性のM&A関連費用(仲介費及びデューデリジェンス費用)。また、PPAはPurchase Price Allocationの略で、M&Aにより取得した資産及び賦算を時価評価する会計処理のこと。
※2 2026年3月1日より株式会社DEGINAへ商号変更。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.3%増の2,330百万円、調整後EBITAが同31.5%増の770百万円、営業利益が同28.5%増の550百万円、経常利益が同26.1%増の540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の318百万円と高成長が続く見通しである。rakumoサービスは価格改定効果、「rakumo for Microsoft 365」の拡販、自治体案件の獲得などにより前期比25.7%増の1,778百万円を見込んでいる。調整後EBITAマージンは増収効果により同1.0ポイント向上する見通しである。rakumoサービスは価格改定による単価上昇に加え、「rakumo for Microsoft 365」の拡販により数量拡大が進み、単価と数量の両面から成長が期待される。今後は人材や開発への先行投資を継続しながら、高い増益率を維持できるかどうかが中期的な焦点となろう。
3. 中長期の成長戦略
同社は2025年2月に、2025年12月期から2027年12月期までの中期経営計画を公表した。グループウェア・コラボレーションツール※1での「働き方改革支援」から、生成AIなどのテクノロジーを用いて企業の各組織が抱えている課題を解決する「組織改革支援」への進出を目指している。2027年12月期にはARR※230億円、営業利益7億円などを目標とし、30億円のM&A投資枠を設定した。成長戦略は、既存サービス「rakumo」のグロース、新領域でのプロダクト展開、M&Aの加速の3本柱である。既存サービスでは代理店販売のプロセス改善や直販体制強化、AI機能の追加による競争力強化を図る。新領域では(株)パソナと連携しHR※3テック領域で人材管理・採用支援ソリューション「aloop(アループ)」を展開し、多様な人材活用支援と成果報酬型モデルによる拡大を進める。M&AではCMS事業を展開するスタートレ(現 DEGINA)、HR領域のサービスを提供しているエージェントシェアを子会社化し、ARRやEBITAへの寄与に加え、顧客基盤やプロダクトの補完関係によるシナジーを見込む。これらの施策は解約率の低いサブスクリプションモデルを基盤とした継続収益強化に直結し、同社はSaaSベンダーから組織改革を支援するソリューションプロバイダーへ進化することで、中長期的な成長基盤を確立する方針である。
※1 組織内のコミュニケーションや情報共有を行うツール。
※2 Annual Recurring Revenueの略で、毎年経常的に発生する収益のこと。
※3 Human Resourcesの略であり、人的資源のこと。
■Key Points
・2025年12月期はコスト増を価格改定で吸収し、2ケタ営業増益を達成
・2026年12月期も価格改定効果の寄与により高成長が継続する見通し
・中期経営計画では2027年12月期にARR30億円、調整後EBITA10億円を目指す。M&Aは既に2件実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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