セキュア Research Memo(8):旺盛な需要を背景に2026年12月期は大幅な増収増益を見込む(2)
2. 事業の進捗状況
(1) アライアンスの推進
(a) TOUCH TO GOの子会社化
2026年2月、(株)TOUCH TO GO(以下、TTG)の子会社化を発表した。TTGは、AIカメラや重量センサーを活用した無人決済店舗「SENSE」シリーズや、無人オーダー決済端末「MONSTAR(セルフレジ)」を主軸としてプロダクトを展開しており、東日本旅客鉄道<9020>グループが運営する施設や(株)ファミリーマートのコンビニエンスストアなどへの幅広い導入実績を有する、無人決済分野で国内屈指の技術力を有する企業である。子会社化の狙いは、TTGの無人決済に関する技術力を同社の「SECURE AI STORE LAB」などの事業運営に生かすほか、同社の有するリソースをTTGの事業拡大に活用することである。具体的には、同社の有する全国規模の施工・保守ネットワークをTTGのプロダクト展開に生かすことや、両社の顧客基盤へのサービスやプロダクトのクロスセル、決済とセキュリティの融合によるトータルソリューションの提供により、リテール(小売)DX市場で競争優位性を確立し、同社の成長エンジンとする方針だ。
(b) セキドとの業務提携
2026年1月、セキド<9878>との、無人店舗とAI活用による新たな出店モデル構築に向けた業務提携締結を発表した。セキドはブランドショップ「LoveLove」や韓国コスメセレクトショップ「&choa!」などをチェーン展開している。同社の有する無人店舗モデルやAI・セキュリティ技術、セキドの有する有人店舗運営の豊富なノウハウや会員の購買データを融合させるほか、セキドの生成AIや音声対話技術を活用した接客ソリューション「AIマエストロ(C)」との連携により、安心・安全で持続可能な店舗運営モデルの確立を目指す。協業では、「省人化・省力化による店舗運営の最適化」「有人店舗と無人店舗を組み合わせた出店戦略の構築」「データ活用によるマーケティング・店舗DXの高度化」「AI接客ソリューションとの連携」を中心に進める計画だ。
(2) SECURE AI STORE LAB 2.0
2025年3月、日本の野球場で初の、クレジットカード使用のみで入店可能な完全ウォークスルー型レジレス店舗「Hawks Smart Stand Powered by SECURE」を、みずほPayPayドーム福岡にオープンし、実証実験を行った。同店舗は利用客がクレジットカードをタッチして入店し、商品を手に取ってそのまま退店すると自動で決済を完了する仕組みで、レジ待ちが一切ないスピーディーな買い物が可能だ。店舗内では重量センサーを使用せず、天井に設置された監視カメラの映像をAIが解析し、購買行動を検知する。3月23日から6月30日まで実施された実証実験では、野球場内の店舗として、コンビニアンスストアやショッピングモール以上に顧客の混雑するなか、ウォークスルー化することによる顧客回転率の改善度や、冷蔵庫内の物品販売の有効性、さらにレプリカユニフォームなど高単価グッズ販売での採算性等を検証し、成果を得たようだ。「SECURE AI STORE LAB 2.0」については2023年にNTT<9432>グループのテルウェル東日本(株)とウォークスルー型店舗の商用化に向けた共同実験を実施し、2024年にはミニストップ<9946>と協業して「ミニストップポケット サンイースト辰巳店」においてウォークスルー型店舗の実証実験を行った。同年に協業したイオンモール(株)とは、「イオンモール羽生」にて最新のデジタル技術を活用した、完全レジレス・無人店舗の実証実験を実施し、SKU(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)の向上や、決済精度が99%を超える水準に達するなど成果を出した。これら実証実験を経て、2026年12月期はいよいよ本格的な収益化がはじまる見込みであり、今後に注目したい。
(3) 新サービスの開発
(a) 盗撮防止ソリューションの開発
2025年7月、「盗撮防止ソリューションの開発」を発表した。教育現場や公共施設などにおける盗撮被害が深刻な社会問題となるなか、特に監視カメラの設置が難しい、トイレや更衣室といったプライバシー性の高い空間に対応可能な「盗撮防止ソリューション」の開発を進めている。映像監視を行うことなく、デバイスの発する熱源をAIが学習し、センサーで盗撮を検知するという独自の技術により、盗撮行為を防止する。2026年の実用化を目指しており、文教施設や商業施設、公共施設など、多数の人が利用する場所への導入を想定している。発表以降、大手企業をはじめ各方面からの問い合わせが多く寄せられており、ニーズの高さがうかがえる。同ソリューションについては2026年12月期業績予想には織り込まれていないため、商品化が早期に進めば業績への寄与は高いと弊社では見ている。
(b) とも連れ検知機能パッケージの提供開始
2025年8月、「とも連れ検知機能」の提供開始を発表した。マンションにおける不審者侵入対策の強化に向け、これまで官公庁や金融機関などの施設で利用されてきた「とも連れ検知機能」をマンション向けに最適化してパッケージとして販売する。従来の高度な機能はそのままで、導入のハードルを下げた。これにより、既存のオートロックや認証機器との連携が可能といった導入のしやすさ、入居者は通常どおりの認証動作だけで利用可能などの利便性が維持される。中規模マンション等でも導入しやすい価格設計により、幅広い集合住宅での導入を見込んでいる。
(c) 無人店舗運営におけるAIエージェントソリューションの共同開発
2025年9月、AIソリューション事業を手がけるヘッドウォータース<4011>と共同で、無人店舗運営における主要課題を解決するAIエージェントソリューションを開発した。骨格検出により来店客の行動データを高精度に取得し、その購買行動を定量データ化して活用する。これにより店舗の商品陳列や販促施策、レイアウト改善などに役立て、無人店舗運営の意思決定を高度化する。また生成AI(GPT-5)による自律運営と「Azure AI Foundry」(Microsoftの提供するAI開発・運用基盤)でのGrok(X.AI Corp.の開発した大規模言語モデル)活用により、顧客行動や店舗状況をリアルタイムで分析し、安全な基盤上で即時の施策実行が可能となる。これらの機能は「SECURE AI STORE LAB 2.0」の実証実験を通じて開発されたもので、同事業の今後の本格的な事業展開での活用も期待される。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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