ジーデップアドバンス Research Memo(7):大規模AI時代に向けた環境整備が進捗
1. 中期経営計画 数値目標
ジーデップ・アドバンス<5885>は2025年5月期を初年度として2027年5月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。最終年度の売上高は8,415百万円、営業利益は1,055百万円を目標に設定した。3年間の年平均成長率は、売上高で23.9%、営業利益で16.8%、3年後に売上高を1.9倍、営業利益を1.6倍にする計画である。最初の2期は、ヒト・設備への投資期間と位置付け、トップラインの伸びは加速するものの、営業利益の伸びは抑制される。最終年度においては、その成果により営業利益が大きく伸び、10億円を突破する計画だ。中期経営計画終了後はできるだけ早い時期に売上高で100億円を達成する考えだ。
2. 中期経営計画 成長戦略
成長戦略として、3つの重点施策を推進する。
(1) 上位レイヤービジネスへの移行
生成AIやマルチモーダルAIの研究用途としての案件規模が拡大している。同社では、デスクサイドのAIワークステーションから大規模なGPUクラウドまで、製品・サービスのポートフォリオを上位レイヤーへ拡充し、大規模AIのユーザーニーズにタイムリーに対応し確実なアップセルを促進する。また、国内4ヶ所のデータセンターと連携し、高負荷な最新のGPUシステムを安定稼働させるためのファシリティを提供するとともに、効率の良いAI学習を総合的に支援する取り組みを強化する。
2025年3月には、占有型のGPUクラウド「GX CLOUD」サービスを開始した。国内の大手データセンターの協力の下、最新の高負荷GPUが安定動作する環境下で「NVIDIA DGX B200」など最新のGPUサーバーを占有クラウド(シングルテナント)として提供する。
(2) 大規模AI時代に合わせたエコシステムの増強
国内では、クラウドベンダーやデータセンターと提携しオンプレミスとクラウドのハイブリッド利用を促進する。また、AIスタートアップとのコラボソリューションもラインナップする。「エキスパートサービス」では、プログラム高度化支援、モビリティ向け開発支援、ゲノム解析支援など多数のメニューを揃える。「GPUマルチクラウド」では、GPUテストドライブでのトライアル環境から大規模オンデマンド利用環境までを整える。モビリティ向けのPoCセンターである「GAT」ではテスト環境の提供を行っており、良質の案件開拓が可能となっている。また、TDSE<7046>との協業により、「Dify」を用いた生成AIの開発を「NVIDIA DGX B200」のプライベートクラウド上で利用するサービス「GX CLOUD × Dify」を2025年6月に提供開始した。大規模オンデマンドのニーズに対しては、大規模資産の一時利用サービスを提供する。「オンプレ資源最適化支援」では、GPU対応コロケーションサービス(リスクを最小化するデータセンター共有)を行う。
グローバルでは、従来のグローバルパートナーに加えて、NVIDIAと関係が深いOEMベンダー、ストレージベンダー、ソフトウェアベンダーとのパートナーネットワークをさらに強化し、製品調達力の向上とオリジナリティのある大規模システムの構築を目指す。
(3) 事業ドメインの拡大
親和性の高い事業ドメインへの新規参入やM&Aを通して成長を加速し、先進的なソリューションを提供する「アドバンスドソリューションベンダー」を目指す。手元の既存リソースはPoC用途に使用するほか、最新機器はデータセンターでプライベートクラウドとして利用し、大規模計算時にはパブリックの大規模システムへバーストするという顧客の各ステージに寄り添う体制を整備することが基本戦略である。これにより相乗効果が見込める「SoftwareVendor(AI Startup)、「Cloud Vendor」、「SaaS」、「Consumer/Prosumer」などの領域で大きな事業機会が期待できる。
3. 大規模案件の実績:東京工科大学の大規模AIシステム「青嵐」プロジェクトに参画。スパコンランキングにランクイン
同社は大規模AI時代に向けて技術に磨きをかけており、その実績が顕在化している。東京工科大学は、2019年にコンピュータサイエンス学部に人工知能専攻を設けるなどAI技術を大学の教育と研究の中心に位置付け、次世代の技術者育成や社会課題の解決、産業界との連携強化を目指す包括的な取り組みとして「AI大学」構想を掲げている。そのなかで、AIスキル習得には実践が不可欠であり、小規模AIプロジェクトに満足していてはイノベーションにつながる学びは得られないという課題があった。2025年10月に構築した大規模AIシステム「青嵐」は、NVIDIAのリファレンスアーキテクチャに沿って、最新の高性能サーバー群(「NVIDIA Blackwell」を搭載した「DGX B200」を12台)を高速ネットワークと大容量ストレージでつないだ大規模な計算システムで、学生や研究者は、計算性能の制約を気にせず、生成AI・ロボティクス・デジタルツイン等の先端テーマを実践的に進められる。
この大規模AIシステム「青嵐」は、2025年11月に発表された世界スーパーコンピュータランキング「TOP500」において374位、「HPCG」において83位にランクインした。東京工科大学のAI教育・研究推進の成果であると同時に、同社が提供するGPUクラスター構築技術が世界基準の性能と品質を達成した証でもある。
4. GPU動向:「NVIDIA Blackwell」「NVIDIA Blackwell Ultra」に移行中。次世代GPU「Rubin」は2026年後半に提供開始予定
NVIDIAのGPUアーキテクチャは「Blackwell Ultra」の出荷が開始され、「NVIDIA Blackwell」及び「Blackwell Ultra」が現在の中心である。同社の主力GPUサーバー製品でいえば、「NVIDIA DGX B200」及び「NVIDIA DGX B300」などが最新モデルとなる。2026年1月に行われた「CES2026」で登壇したNVIDIAのCEO Jensen Huang氏は次世代AIデータセンター向けの新型GPU「Rubin」の正式発表を行い、推論性能が「Blackwell」の約5倍、データセンターにクーリングシステムが不要などの進化を報告した。2026年後半に提供が開始される計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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