学情 Research Memo(3):求職者と企業のニーズに合わせた質の高いマッチングを実現(2)
「1. 主な商品」の続き
f) 「Re就活ユース」
「Re就活ユース」は、高卒の10代・20代前半のための転職サイトであり、2025年5月にサービスを開始した。高校生の就職活動では、「1人1社」の応募が原則であり、企業が直接情報提供できる機会も限定的なため、ミスマッチが生じやすい。入社後3年以内の離職率は大卒者より高く、同サービスにより転職を支援する。
これらの新サービスやリニューアルによって、「Re就活シリーズ」では多様な選択肢を提案できる体制が整った。今後も、新卒の「キャリアスタート」、10代~20代の「キャリアチェンジ」、30代の「キャリアアップ」、それぞれのライフステージ・キャリアステージに応じた就職・転職支援を強化し、求職者と企業双方にとって価値あるマッチングを提供し続ける方針である。
g) ソーシャルソリューション事業
採用・就職支援活動の実績を生かし、各省庁や地方自治体の雇用促進・人材確保支援事業などを受託している。近年はインターンシップの支援や、デジタル人材のマッチング促進、就職氷河期世代の就職支援など、国が重点課題として位置付けるテーマで多くの案件を受託している。なお、これら案件はこれまでの実績が高く評価され随意契約になることもあり、安定性が高い。
「Re就活シリーズ」のブランド力により、340万人にアプローチ可能
2. ビジネスモデルとその強み
同社のビジネスモデルは採用活動を行う企業からの広告掲載料やイベント参加料、採用の成功報酬が主たる収入源であり、学生や求職者が費用を負担するモデルではない点に特徴がある。これにより求職者の登録者が拡大しやすく、採用側からするとマッチング機会が増大するなど、双方にとってメリットがある。
同社の強みは、1) 340万人にアプローチ可能な自社メディアを運営、2) 10代~30代のあらゆる就職・転職に対応、3) リアルでの集客力、4) 「Re就活」の相乗効果、5) 20代のニーズに寄り添う発信力、6) 公的事業受託の信頼と社会貢献、の6点があり、これらを生かして質の高いマッチングを実現している。
■業績動向
2025年10月期は増収も、成長投資継続により減益
1. 2025年10月期の業績概要
2025年10月期の業績は、売上高11,019百万円(前期比2.7%増)、営業利益2,332百万円(同12.2%減)、経常利益2,654百万円(同13.1%減)、当期純利益1,892百万円(同15.1%減)と増収減益となった。
構造的な人手不足を背景に、若手人材への需要が引き続き高水準で推移している。新卒採用だけでは人材確保が難しくなっており、第二新卒やキャリア採用も組み合わせる企業が増加している。こうした環境下、「Re就活」が高い支持を得て会員数が堅調に増加しており、求人掲載件数も増加した。これによって、「Re就活」の売上高が堅調に拡大し、全体の売上成長をけん引した。一方、新卒採用領域では、採用広報時期の早期化や景気減速懸念を受けて企業の予算執行が慎重であったことから、売上高は伸び悩んだ。利益面では、求職者向けプロモーションを中心とした戦略的投資に伴う売上原価の増加に加え、人材育成を目的とした教育研修費、生成AIアシスタントの導入に伴うシステム管理費、販売促進施策の強化に伴う広告宣伝費などによって販管費が増加し、減益となった。投資有価証券売却益も前期比で減少した。
2025年10月期のトピックスとしては、2025年3月に新卒向け就職情報サイトを「Re就活キャンパス」へブランド変更し、さらに2025年5月には「Re就活テック」をリニューアルし、10代・20代前半の高卒者を主な対象とする「Re就活ユース」のサービスを開始した。これにより、「Re就活シリーズ」を通じて多様な選択肢を提案できる体制が整った。
2. 商品別業績
(1) 「Re就活」
20代専門の転職サイトである「Re就活」の売上高は、3,243百万円(前期比28.4%増)となった。キャリア採用市場では、幅広い業界で若手採用ニーズが高水準で推移しており、特に新卒採用の内定動向が見極められる9~10月にかけて、第二新卒採用による補完ニーズが顕在化した。こうした需要を的確に取り込んだことで、求人件数、応募件数、マッチング数はいずれも堅調に推移し、大幅な増収につながった。
(2) 「Re就活30」「Re就活テック」
ダイレクトリクルーティングサービスである「Re就活30」及び「Re就活テック」の売上高は62百万円(前期比44.1%減)となった。2024年10月にローンチした「Re就活30」は、登録会員数が計画比2.3倍となる2.0万人を突破したものの、マッチング数が伸びず減収となった。
(3) 「Re就活エージェント」
20代向け転職エージェント「Re就活エージェント」の売上高は816百万円(前期比5.3%増)となった。面談数は、期中一時的な減少が見られたものの、「Re就活」との連携強化や潜在層の掘り起こしといった施策が奏功し、下半期にかけて回復して前期比8.4%増となった。一方で、マッチング件数は同6.1%減少したが、キャリアアドバイザーの生産性向上施策により高年収帯の案件が増加し、結果として増収となった。採用決定後から入社までの手数料受入予定額を示す受注高は、2025年10月末時点で前期比208.2%増と積み上がっている。
(4) イベント
転職博・就職博などのイベント事業の売上高は、3,177百万円(前期比0.1%減)となった。新卒採用の早期化を背景に、大学4年生向けイベントの開催数及びブース数は減少した一方、インターンシップ向けはいずれも増加した。インターンシップ対象イベントは、ブース単価が高く、出展社数が少なくても売上を確保できる構造となっている。また、転職対象イベントは、キャリア採用領域の好調を背景に、開催数及びブース数がともに増加した。
(5) 「Re就活キャンパス」
大学生向けの就職情報サイト「Re就活キャンパス」の売上高は2,002百万円(前期比3.4%減)となった。新卒採用の早期化によって採用活動期間が長期化しており、採用手法や採用ポートフォリオの見直しが進んでいる。こうした影響により、新卒採用広報に対して慎重な姿勢を取る動きも一部で見られ、2027年卒向けの求人件数は前期比0.2%減少した。一方、マッチング件数(応募数)は同37.1%増と大きく伸ばした。ただし、3年生の就職活動開始時期が想定以上に早まったことで、冬・春のインターンシップ募集需要が一部消失したことが、減収要因となった。
(6) 「ソーシャルソリューション事業」
ソーシャルソリューション事業の売上高は、915百万円(前期比19.4%減)となった。同事業は、転職・就職情報の提供や採用支援を通じて蓄積したノウハウを生かし、国や地方自治体からのプロジェクト受託を主な収益源としている。前の政権下における予算成立の遅れを背景に、地方創生関連事業の案件化が進まず、受託案件が減少したことから減収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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