CAICAD Research Memo(9):システム開発業として50年以上にわたる実績
CAICA DIGITAL<2315>は、1989年7月の設立以来、システム開発業を営んできた。後に経営統合した企業の実績を含めると、システム開発業としての実績は50年以上にわたる。金融業界向けのシステム開発を主力として業績を伸ばし、2003年3月には日本証券業協会に店頭登録した(その後、東京証券取引所JASDAQ市場に上場。2022年4月の同市場区分再編に伴い、スタンダード市場へ移行)。その後も中国への展開などにより業容は大きく拡大した。
同社にとって大きな転機となったのは、中国における業績面の悪化や有利子負債の増加、さらには過去における不適切な取り引きの発覚(2014年10月)などから、経営体制の刷新、中国事業からの撤退、ネクスグループとの資本業務提携を相次いで実施し、2015年10月期より新たなスタートを切ったことである。成長性の期待できるブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野と位置付け、とりわけフィスコ<3807>グループとの連携により、暗号資産関連ビジネスに経営資源を投入してきた。また、M&Aにも積極的であり、2017年2月に(株)東京テック、同年8月に(株)ネクス・ソリューションズを連結化(ただし、2019年9月に売却)した。2017年11月に戦略子会社(株)CCCTを設立し、「暗号資産関連事業」の本格的な事業化に向けた体制を整えると、2018年2月にはeワラント証券(株)(現 (株)EWJ)などを買収し、新たに「金融商品取引事業」を開始した。さらに同年12月には暗号資産交換所「Zaif」や「フィスコ仮想通貨取引所」を有する(株)フィスコデジタルアセットグループ(以下、FDAG。現 (株)ネクスデジタルグループ)を持分法適用関連会社化し、自社グループ内に取り込むなど、FinTech分野のトップランナーとしてのポジションや新たな事業モデル(金融プラットフォーマー構想)の実現に向けて着々と基礎固めを行ってきた。2020年3月にはグループ経営体制を強化すべく、持株会社体制へと移行し、商号も「(株)CAICA」へと変更。2021年3月には暗号資産交換所を擁する(株)カイカエクスチェンジホールディングス(現 ネクスデジタルグループ)を連結子会社とし、「CAICAテクノロジーズ」「カイカエクスチェンジグループ」のデジタル金融の体制を構築するとともに、同社商号も「CAICA DIGITAL」へと再変更した。
ただ、暗号資産市場の低迷に伴う業績悪化などを背景として、2023年10月31日付で「Zaif」を含む連結子会社3社を譲渡し、「ITサービス事業」に集中するとともに、Web3事業の拡大に向けた体制を整備した。
■業績推移
「金融サービス事業」再編や「ITサービス事業」底上げで業績は回復傾向
この数年の売上高を振り返ると、既存の大手SIer向けの開発案件は総じて堅調に推移した一方、売上高全体では、連結子会社の動き(連結対象範囲の変更)や暗号資産市場の混乱などによる影響を大きく受けてきた。2018年10月期は、ネクス・ソリューションズやeワラント証券(現 EWJ)などの連結効果により大幅な増収を実現したものの、2019年10月期は外部要因やネクス・ソリューションズの連結除外などにより下振れるとともに、2020年10月期についても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響やクシムの連結除外などにより低調に推移した。2021年10月期はクシムの連結除外による影響が残ったものの、カイカエクスチェンジホールディングス(現 ネクスデジタルグループ)の連結化(6ヶ月間の上乗せ)によりほぼ横ばいを確保した。2022年10月期はカイカエクスチェンジホールディングスの連結効果(残り6ヶ月分の上乗せ)と「ITサービス事業」の伸びにより増収を確保したが、暗号資産市場の混乱による影響を受け、計画に対しては下振れる結果となった。2023年10月期も「ITサービス事業」が順調に伸びた一方、暗号資産市場の低迷による影響が続き、「金融サービス事業」が大きく落ち込んだ。ただ、「Zaif」を含む連結子会社3社を譲渡し、「金融サービス事業」の再編に踏み切った2024年10月期は、「ITサービス事業」の伸びによりほぼ前期比横ばいで推移した。2025年10月期は一旦伸び悩んだものの、今後は増収基調が続く見通しである。
一方、利益面に目を向けると、2017年10月期の営業利益率は5.6%の水準を確保したものの、2018年10月期から2023年10月期まで営業損失を計上している。「暗号資産交換所システム」の開発コストや「金融商品取引事業」における基盤整備など、将来を見据えた先行費用のほか、2020年10月期はコロナ禍の影響を受けたトレーディング収益の悪化などが利益を圧迫した。2021年10月期以降も相場下落に伴う暗号資産関連ビジネスの下振れなどにより営業損失が継続した。一方、経常利益については、持分法投資損益や暗号資産売却損益などの影響により大きく増減してきたことに注意が必要である。2018年10月期は暗号資産売却益(915百万円)により営業損失を大きくカバーする格好となったが、2019年10月期はFDAG(現 ネクスデジタルグループ)による持分法投資損失により、損失幅がさらに拡大した。2022年10月期と2023年10月期は暗号資産市場の低迷により、経常損失を計上した。2024年10月期は「ITサービス事業」の伸びや「金融サービス事業」の再編効果により大幅な損益改善(黒字転換)を実現し、2025年10月期も黒字を維持した。
財政状態については、積極的なM&Aにより2018年10月期末の総資産が100億円を超える水準に到達すると、2021年10月期末には「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングス(現 ネクスデジタルグループ)の連結化により、1,000億円を超える規模にまで大きく拡大した。一方、自己資本比率については、2016年10月期末は21.7%にとどまっていたものの、新株予約権の行使や内部留保の積み増しに加えて2017年11月に実施した第三者割当増資によって改善を図り、2020年9月にはライツ・オファリングによる資本増強を実現したことで、2020年10月期末の自己資本比率は81.8%と大きく改善した。ただ、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴い、2021年10月期末の財政状態は大きく変化し、自己資本比率も10.3%に低下した。しかし、2023年10月期末には「Zaif」を含む連結子会社3社の譲渡によりバランスシートが大きく圧縮され、自己資本比率は70%水準に戻った。2025年10月期はネクス連結化(株式交換)に伴う新株発行により自己資本比率は84.2%に上昇した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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