巴工業:遠心分離機と化学品販売の二本柱、新中計で株価3割高+配当利回り4%超
1941年設立、遠心分離機を主とする産業機械メーカー機能と、化学品専門商社機能を併せ持つユニークな企業。創業以来の機械事業で培った技術力と、グローバルなネットワークを駆使した化学品事業を両輪とし、安定した事業基盤を構築している。近年は環境・脱炭素といった社会課題解決に貢献する新製品の投入を積極化しており、新たな成長ステージへの移行を進めている。
同社事業は機械製造販売事業と化学工業製品販売事業の2本柱。2025年10月期の売上高構成比は機械事業が26%、化学品事業が74%、セグメント利益構成比は機械事業が35%、化学品事業が65%と、両事業がバランスよく収益に貢献している。
機械製造販売事業は、主力の遠心分離機を下水処理場などの官公庁向けや、化学・食品・廃プラリサイクルプラントなどの民間企業向けに製造・販売している。長年の実績に裏打ちされた高い技術力とメンテナンス体制が強みであり、安定した収益基盤となっている。足元では官公庁向け、民間向け共に販売が伸長し、部品・修理の需要も堅調に推移している。新たな取り組みとしては、遠心分離機に次ぐ第二の柱としてバイナリー発電装置の拡販に取り組むほか、第三の柱として下水汚泥などを低温で乾燥させ処分費を大幅に削減できる「超低温ベルト乾燥機」や、「水素濃度センサー」をはじめとした水素関連商品など、脱炭素・環境負荷低減に貢献する海外製新商材の拡販に注力しており、新たな収益源として期待されている。
化学工業製品販売事業は、建材やインキ・塗料、半導体、自動車など、多岐にわたる産業分野へ原材料を中心とした化学工業製品を供給する。世界各地からの調達力と、顧客の要求に応える提案力が強みである。直近では、鉱産関連が、家電製品、建材、自動車部品などで使用されている三酸化アンチモンの中国による輸出規制を背景とした特需も追い風となり業績を牽引している。一方、EV市場の減速感から機能材料分野のパワー半導体向け部材が軟調となっているが、ポートフォリオにおける顧客セグメントは分散が効いており、業績は底堅く推移している。
事業環境は、国内外で物価上昇、地政学リスクなど不透明な状況が続くが、機械事業における官公庁の需要は安定している。民需においても、コロナ禍におけるペンディング需要が継続していることに加え、マクロ環境的にも旺盛な需要が継続していることは追い風。また、化学品事業における幅広い産業分野への製品供給がポートフォリオの多様化をもたらしており、安定した収益基盤となっている。
2025年10月期は、売上高が前期比13.9%増の59,365百万円、営業利益が同13.8%増の5,352百万円となり、売上高は2期連続、営業利益は5期連続で過去最高を更新、上方修正されていた事前予想を上回って着地した。化学工業製品販売事業は、売上高44,127百万円(前期比12.8%増)、営業利益3,508百万円(同0.2%減)。三酸化アンチモン、コーティング用途向け材料等が伸長した一方、人件費増を主因とする販管費の増加が利益を圧迫した。機械製造販売事業は、売上高15,238百万円(前期比17.2%増)、営業利益1,844百万円(同55.4%増)と大幅増収増益。好調な受注に支えられ、官需および民需向け販売が好調だった。2026年10月期は、売上高で前期比6.5%増の63,200百万円、営業利益で同7.4%増の5,750百万円と引き続き過去最高の更新が見込まれている。
先の中期経営計画(FY2023-2025)では、二度目の上方修正後の最終年度の数値目標として売上高57,000百万円、経常利益5,000百万円を掲げていたが、前期の着地はこれを大幅に上回った。ROEも9.4%と目標の8.9%を上回り、PBRも1倍を超えた。2028年10月期を最終年度とする新中期経営計画は、売上高で70,000百万円(化学品50,000百万円、機械20,000百万円)、営業利益で7,000百万円(化学品4,200百万円、機械2,800百万円)、ROE10.5%が掲げられている。また、前中計からインド進出およびインド・東南アジアにおけるネットワーク構築等の海外展開の拡大など将来に向けた種まきを行っており、いずれの事業でも重点施策の1つとして挙げられている。
同社は株主還元については、配当性向40%以上としていた目標を、株主資本配当率(DOE)5%を下限とし、連結配当性向50%以上とすることで安定的且つ継続的な配当を実施するとした。今期予想においても、配当利回りは3.74%と高いが、中期経営計画が達成された場合の利回りは4.3%に達する。
過去最高益更新という好業績、配当性向50%以上とする株主還元への姿勢は株価にとって大きなサポートとなっている。また、脱炭素に貢献する機械事業の新製品は、今後の成長ドライバーとなるポテンシャルを有している。足元の株価バリエーションはPBR1倍程度であり、それを1.5倍(時価総額700億円)とする目標も掲げられている。中長期の観点から魅力的な投資対象と考える。
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