株式会社ヘッドウォータース:2025年12月期第2四半期決算説明会文字起こし(3)
当社の事業内容についてご説明いたします。
まず、「AIインテグレーションサービス」についてです。近年の動向をご存知の方も多いかと思いますが、今から3〜4年前、まだ生成AIが登場する前の段階では、AI、特にディープラーニング技術をいかに活用するかという観点から、精度の向上に関する検証や、実証実験(PoC)が中心となっていました。多くの企業では、いわゆる研究開発段階のプロジェクトをAI活用と位置づけ、あくまで試験的な取り組みに留まっていたのが実情です。
当時の「AI企業」と呼ばれる会社の多くは、そうした実証実験や研究開発を請け負うことで、クライアント企業から開発費用を受け取り、収益化するビジネスモデルを展開していました。言い換えれば、実用化を前提としたAI導入というよりは、「お試し」としての利用が主流だったと言えます。
当社は、10年以上前から一貫して「AIを社会に実装する」「企業の業務に定着させる」ことを主眼に、AI事業を展開してまいりました。費用対効果が見込めないソリューションは定着せず、使いにくいものは使われない。そうした現実を直視し、「AIの導入によって企業が儲かる」「サービスがより強くなる」といった本質的な成果を実現しない限りは意味がない、という姿勢で10年間歩んできました。
このため、当社の「AIインテグレーションサービス」は、単にAIモデルを提供するだけではなく、その周辺技術、たとえばクラウド基盤の構築、各種システムとの連携、セキュアな運用環境の整備までを一貫してカバーしています。さらに、導入後の保守運用や追加学習を通じた継続的な精度向上まで、一貫した体制のもとでご提供できるのが当社の強みです。
近年では、特に「AIエージェント」が注目を集めています。1体のAIエージェントがユーザーと対話し、何らかの出力を行っているように見えても、その裏側では複数の生成AI、ディープラーニングモデル、さらには他のAIエージェントが連携・協調しながら稼働しています。こうした構造は高度に複雑化しており、もはや「少しAIを触れます」といったスキルセットでは対応できない領域に来ています。
実用的なAIサービスを構築するには、クラウド基盤の構成、データ統合、環境構築、UI/UX設計など、あらゆる技術要素を高度に統合しなければなりません。当社は、そうした複合的な技術の統合を、実際にサービスとして提供できる、数少ないプレイヤーの一社だと自負しております。また、これらの取り組みは、Microsoftとの連携を深めながら進めております。
DXサービスについてご説明いたします。現在「モダナイゼーション(システムの近代化)」という言葉が広く使われています。
従来、日本の大手企業のシステムはオンプレミス、すなわち自社でサーバーを構築し、インターネットから切り離して安定稼働させる、いわゆる「レガシーシステム」によって運用されてきました。確かに、枯れた技術は安定しており、セキュリティリスクも限定的です。さらに「インターネットに繋がなければ安全」というエクスキューズのもと、大規模なシステム構築に多額のコストがかけられてきたのが実情です。
しかし、こうした旧来型のアプローチには大きく2つの問題があります。第一に、最新のテクノロジーを柔軟に取り込むことができず、世界中で進化を続ける最先端技術から大きく後れを取ってしまうという点です。
こうしたレガシーなシステム構成の問題点の二つ目として挙げられるのが、「ユーザー自身による柔軟な運用・活用が困難である」という点です。
オンプレミス環境では、たとえば「データを抽出して新しい帳票を作成したい」「特定の分析を試してみたい」といったニーズが発生しても、都度システムインテグレーターに依頼しなければなりません。その結果、「このレポートを出すのに1億円」「この機能追加で2億円」といった多額のコストがかかってしまうのが実態です。
一方、クラウド環境に移行することで、こうした制約は大きく改善されます。クラウド上ではアプリケーションレイヤーの開発を自社で進めることも可能であり、業務部門が自ら必要なデータを抽出し、柔軟に活用することができるようになります。
イノベーションというのは、外部から与えられるものではありません。実際に事業を推進している「当事者」である企業自身が、自らの意思と手段で起こしていくべきものです。つまり、主体者である企業が、自社のデジタル資産やデータを自由に活用できない限り、イノベーションは決して実現しません。しかしながら、従来のオンプレミス中心のレガシーシステム構成においては、そうした自由度が著しく制限されてきました。そのため、今、世界的に、そして日本国内においても、「自社で柔軟に開発・活用が可能なモダンなシステム構成」への転換が、重要視されています。
当社が提供するDXサービスの基本的な考え方は、モダナイゼーションの推進にあります。すなわち、オンプレミスに蓄積された既存のシステム・データをクラウド環境へ移行・統合し、それらを活用しながらAIに学習させ、実際の業務や意思決定に活かしていくという、データ駆動型のDXを目指しています。この全体構成を実現するには、AI領域だけに精通しているだけでは不十分で、DX/モダナイゼーション全般にわたる技術力と統合力が不可欠です。当社のDXサービスは、そうした包括的な技術支援を前提に設計されております。
当社のプロダクトサービスについてご説明いたします。
この領域では、当社がこれまでに開発してきたAIモデルや、AIを実運用するために必要な各種機能を、当社独自のプラットフォームを通じて提供しています。これにより、クライアント企業からはライセンスフィーを頂戴するビジネスモデルとなっております。
また、Microsoft Azureをはじめとしたクラウド環境の活用に際しては、使用量に応じた従量課金が発生いたしますが、その一部を当社収益として計上する仕組みも採用しています。今後、この分野を増やしていくことによって収益の安定性というのが実現できます。これについては後ほどまたお話しいたします。
こちらは、当社のビジネスの流れをカスタマージャーニー的に表現した図になります。
ここでお伝えしたいのは、「我々はお客様の課題が明確な場合だけでなく、課題がまだ顕在化していない段階から寄り添い、共に考えていく」という点です。まず、コンサルティングから入り、課題の抽出、そしてその課題をどのようなテクノロジーで解決できるかといった企画立案を、お客様と伴走する形で行います。
我々が担うのは最先端のテクノロジー領域のため、技術の実用性を検証しながら進めるケースも多々あります。特にAI領域では、1年半かけて開発したものがリリースされる頃には、すでにそれを凌駕する新しい技術が登場していることも珍しくありません。そのため、開発は基本的にアジャイル型で行い、「スピードとコスト効率」を両立させることに重点を置いています。
最近では特に「AI駆動開発」が注目されており、我々もこれを積極的に取り入れています。お客様とディスカッションを重ねながら、必要に応じて技術検証を行い、実用的かつスピーディーな開発を進めていきます。
さらに、AIは一度開発して終わりではなく、1年後には新たなモデルやエンジンが登場します。そこで当社では、大企業様向けに「ラボ型開発チーム」を組成し、研究開発から実装までを一体で行う体制を整えています。お客様とともに最新のAI技術を研究・検証し、サービスへの実装を共同で進める。このような取り組みを通じて、常に最適なソリューションを提供できるよう努めております。また、お客様と共同で開発したものについては、ライセンス型で提供するケースもあります。
最後に、当社が特に重視しているのが「内製化支援」です。
企業がイノベーションを起こすためには、テクノロジーの活用が前提となりますが、それを実現するには、業務アプリケーションのレイヤーにおいて自ら開発・改善できる能力が不可欠です。特に、プロフェッショナルなコーディング技術が必要な領域を除けば、データの活用方法やアプリケーションの表現・操作について、ユーザー自身が内製で対応できる環境を構築することが、スピードと創造性の両立に直結すると当社は考えています。
海外ではすでに内製化が一般化している一方、日本では依然として外部ベンダー依存の体制が色濃く残っており、大きな課題となっています。当社は、そうした現状を変えるべく、クライアント企業と伴走するハンズオン型の支援を通じて、内製化の推進に取り組んでいます。これにより、従来型のシステムインテグレーションの在り方を大きく変革し、より柔軟で俊敏なデジタル組織の構築を実現していくことを目指しています。
なかなか難しいところですが、実際にクライアント企業様とお話をしていると、大手のSIerさんでも「内製化支援」というメニューをサービスとして掲げているところがあります。ただ、当社ではこれを本気で、全力でやっているわけですが、そういった大手SIer様と比較された際に「内製化支援と書いてありますね、同じですね」と言われることがあります。そのとき、実際に大手SIerの方から言われたのが、「最近は“内製化”と言わないとクライアント受けが悪いので一応メニューには入れているんです」と。ただ実際には「内製化が進んでしまうと自社の仕事がなくなってしまうので、あまり積極的には進めていないんです」といった話を伺うこともあります。
こういった現状がある中で、本当の意味で内製化を、ハンズオンでしっかりと推進していくという姿勢は、既存のビジネス構造に縛られない当社のような企業だからこそ実現できるものだと考えています。そのためには、単に内製化を支援するというだけでなく、それを可能にするためのテクノロジー、たとえばモダナイゼーションに対応できる技術力、クラウドやデータ統合、AIといった先端技術を活用できる力が必要です。こうした技術をしっかり持っている企業でなければ、本当の意味で内製化支援を成し遂げることは難しいと考えています。
我々は、これらの技術を背景に、お客様と一緒にゴールを見据えながら、伴走して内製化を推進していく。このような姿勢こそが、当社の強みであり、特長であると自負しております。
株式会社ヘッドウォータース:2025年12月期第2四半期決算説明会文字起こし(4)に続く
<KM>
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