tripla Research Memo(1):2024年10月期中間期は大幅な増収増益となり通期予想への進捗も順調
1. 会社概要
tripla<5136>は、「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」をパーパスに設定し、宿泊施設に対してSaaS型ソリューションを提供するテクノロジー企業である。2015年4月に(株)umamiとして設立し、2017年に現社名へ変更した。設立以来、宿泊予約のDXを支援するプロダクトの開発・提供を通じて、宿泊施設の売上拡大と業務の効率化に貢献してきた。
同社のビジョンは「顧客体験の向上と省人化を実現するデジタルソリューションを提供し、旅行業界を革新する。」としており、この実現に向け、予約エンジン「tripla Book」、AIチャットボット「tripla Bot」、CRM・MA(マーケティングオートメーション)ツール「tripla Connect」、決済ソリューション「tripla Pay」などを一体的に展開している。予約・問い合わせ・決済・顧客情報の活用といった一連のサービスによって、宿泊施設が持つ潜在的な課題を包括的に解決できることを特徴としている。
このほか同社は7つのコアバリューを掲げ、徹底した現場視点とスピーディな開発体制で、顧客課題に即応するプロダクトの改善と拡張を継続し成果を出し続けている。2022年11月には東京証券取引所グロース市場に上場し、以降は海外展開を加速してきた。同社は今後も、Vertical SaaSのグローバルリーダーとして、宿泊産業の成長と進化を支える存在を目指していく。
2. 2025年10月期中間期の業績概要
2025年10月期中間期の連結業績は、営業収益1,230百万円(前期比61.7%増)で大幅増収となった。主力サービスの拡大と海外子会社の寄与が成長をけん引し、特に宿泊施設向けのVertical SaaSモデルが着実に浸透した。営業利益は238百万円(同335.2%増)と急増し、営業利益率も19.4%に達するなど、収益性の改善が顕著である。経常利益は269百万円(同515.8%増)とさらに高い伸びを示し、金融収支や子会社貢献も含めて収益構造の強化が進んだ。親会社株主に帰属する中間純利益は232百万円(同782.1%増)となり、純利益率も18.9%と高水準で推移した。
同社単体の営業収益は996百万円となり、前年同期比で270百万円の増収(同37.1%増)を達成した。サービス別では、主力の「tripla Book」が宿泊施設の自社予約化ニーズを的確に捉えて、754百万円(同47.6%増)と好調を維持している。「tripla Bot」は181百万円(同1.9%減)と微減だったが、予定していた提供プラン切り替えによるものであり、計画比では103.7%と想定を上回る水準を確保し、一定の需要を維持している。「tripla Connect」は宿泊施設向けのCRM・MAツールとしての認知と導入が進み、32百万円(同48.6%増)と順調に拡大した。その他の収益も28百万円(同219.2%増)と大幅に伸長し、新たな収益源としての可能性を示した。また、通期業績予想に対する中間期の進捗率は、営業収益が44.4%、営業利益が45.2%、経常利益が51.1%、親会社株主に帰属する中間純利益が57.6%とおおむね順調であることから、通期業績予想を据え置いた。サービス構成のバランスが取れつつあり、既存顧客の継続率やクロスセルの進展も業績を支える要因となった。
3. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の営業収益は2,770百万円(前期比48.3%増)を見込んでおり、事業拡大とグループ会社の成長を背景に着実な拡大が期待される。営業利益は528百万円(同96.9%増)、経常利益も528百万円(同116.0%増)と、いずれも2倍近い増益となる見通しである。コストを大幅に上回る営業収益獲得により、営業利益率は14.4%から19.1%、経常利益率も13.2%から19.1%へ上昇するなど、収益性の大幅な改善が見込まれる。親会社株主に帰属する当期純利益は403百万円(同92.5%増)、純利益率も11.2%から14.6%へと上昇するなど、最終利益段階でも顕著な改善が見込まれる。
以上より、同社は2025年10月期において、量的成長(営業収益拡大)と質的成長(利益率向上)を両立する好調な業績予想を掲げており、中長期的な成長軌道への確かな手応えを示している。
4.中長期の成長戦略
同社は毎期、ローリングフォーキャストとして来期以降3期分の中期経営計画を発表している。直近では2025年10月期から2027年10月期を中期経営計画期間と位置付け、SaaS事業の成長加速とアジア拠点の展開によるグローバル展開強化を柱として掲げている。営業収益は2024年10月期の1,867百万円から2027年10月期には4,297百万円へ、年平均成長率(CAGR)約32%の高成長を見込む。営業利益も270百万円から1,203百万円へと約4.5倍の増加、営業利益率は14.5%から28.0%への改善を計画している。
国内では「tripla Book」「tripla Bot」「tripla Connect」の深耕と顧客単価の向上を進めるとともに、海外ではM&Aを含む現地拠点拡充により契約数を積み上げる。特にインドネシア・台湾・シンガポール・タイ・香港の子会社を軸に、現地ニーズに応じた機能開発と営業体制の最適化を通じて、アジア全域でのプレゼンスを拡大していく。
さらに、複数プロダクトを同一顧客に提供するクロスセル戦略の強化、パートナーとの連携による販路拡大、システム連携による導入障壁の低減などを通じ、成長を加速させる考えである。
同社は当面、配当は実施せず、M&Aや人材確保といった成長投資を優先する方針である。自社ソリューションは市場での浸透が進み、グローバルな収益機会も豊富と捉えており、利益成長により株主の期待に応えていく。
■Key Points
・宿泊施設に特化したSaasソリューションを重層的に提供し、宿泊施設の収益力向上と業務効率化を支援
・ポイント経済圏から宿泊施設にマーケティングを取り戻す構造転換をけん引し、宿泊産業のゲームチェンジを狙う
・2025年10月期中間期は大幅な増収増益、主力の「tripla Book」が好調で、既存顧客の継続率やクロスセルの進展も好業績を支える
・2025年10月期通期も大幅な増収増益、収益性もさらに改善する見通し。中間期の進捗はおおむね順調
・当面、配当は実施せず成長投資を優先。利益成長を通じて株主の期待に応えていく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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